団塊世代の「石部金吉」こと『ざーやん』がマンションの再生を「ハード」と「ハート」の視点から提案します

団塊世代の「石部金吉」こと『ざーやん』がマンションの再生を「ハード」と「ハート」の視点から提案します
「石部金吉」は、人の名前と思うかもしれませんが、石と金と二つの堅いものを並べた擬人名の四字熟語で、道徳的に堅固で、金銭に心を迷わされない人を言いますが、筆者が若輩のころ、郷土の先人で尊敬する元首長が公益財団法人の総会で、「石部金吉」のように石橋を叩いて渡る財政運営を訴えていたことを思い出します。マンションの再生は、長期修繕計画に基づく堅実な財政運営を基本に、適時・適切な改修工事を通じて再生が実現できると信じています。 
 「石部金吉」こと『ざーやん』は、団塊の世代で、現在でも「2025年問題」がが叫ばれるなど社会や経済に様々な影響を与えてきた世代です。筆者も学生時代は大学紛争、卒業後は、全体の奉仕者として地方自治体の職場で企業戦士のように働き、また、総評時代には働く仲間の地位向上のため労働組合の在籍専従役員として指導者となり、平成時代になってからは、地方創生をかけた博覧会の本部スタッフや地域活性化のための「タラソテラピー施設」建設の事務方の責任者を務めるなど、多彩な仕事を行いました。
 核家族化などのライフスタイルの推進役を演じてきた団塊世代は、未曾有の東日本大震災を経験し、10年余が立ちます。決して長いとは思えない残りの人生を悔いなく生きられるよう、マンションの再生を「ハード」(施設設備の整備水準)は勿論のこと、「ハート」(コミュニティの在り方)の視点から提案します。

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間取り図の基本:略語や数字の意味と間取りのタイプを知ろう?


間取り図の基本:略語や数字の意味と間取りのタイプはこれだ!
 マンション購入やリフォームを検討しているの皆様が、自分のライフスタイルにあう間取りを選ぶためのコツやポイントを解説します。今回は、間取り図の基本について確認してみましょう。

意外と知らない?間取りに出てくるアルファベットの意味を解説します 
 間取りの図面をみると、たくさんのアルファベットが出てきます。間取りを表すときによく使われる「3LDK」などの「数字+アルファベット」の文字ですが、どんな意味か学びましょう。

 
 これは居室の数とそれ以外の場所を示す略語を組み合わせたものです。「3」という数字が居室の部屋数を表し、次に続くアルファベットが居室以外の場所についての略語になっています。例えば「
L」は「リビング(居間)」、「Ⅾ」は「ダイニング(食事室)」、「K」は「キッチン(台所)」を表します。
この3室の組み合わせにより、3室一体化した空間「LDK」、居間を独立、食事と台所を一体化した「L・DK」、台所を独立、居間と食事室を一体化した「LD・K」、それぞれを独立させた「L・D・K」などがあります。つまり「3LDK」は3つの居室と、一体化したリビング・ダイニング・キッチンを有する間取りであることがわかります。この「DK」又は「LDK」という略語の始まりは、戦後の住宅難の時代に建設された集合住宅(公団アパート)で「ダイニングキッチン」(=DK型)が取り入れられたことが始まりでした。「DK型」は、限られた面積の中で「食寝分離」を実現させるために最も有効であると考えられ、同時に床に座って食事をするスタイルから椅子に座るスタイルへの転換を推し進めました。その後、家族の公の場であるリビング(居間)と個人の生活の場(個室)を分けて家族それぞれのプライバシーを尊重したいという要求から「
LDK型」の間取りが広く取り入れられるようになり、現在に至っています。
間取り図に「DK」または「LDK」と表記するために最低必要な広さの目安については、これまで不動産会社によって広さが異なるなどの問題が生じていました。そのため、不動産公正取引協議会連合会が2011年11月に次のような最低限の基準を定めています。例えば「2DK」なら2つの居室と6畳以上のDK、「2LDK」なら居室2室に10畳以上のLDKという間取りとなります。なお、一畳あたりの広さは1.62㎡以上となります。
(社)首都圏不動産公正取引協議会「DK(ダイニング・キッチン)及びLDK(リビング・ダイニング・キッチン)の広さ(畳数)の目安となる指導基準」より

「3LDK」を探していたら出会う「2LDK+S」の正体とは? 
 「2LDK+S」という表記を見かけるますが、このSの正体は、「サービスルーム」のことを指します。3LDKと表記せず、2LDK+Sと表記する理由は居室の定義が法律で決まっているからです。建築基準法で居室は以下のように定義されています。
・採光に必要な開口部(窓)が、床面積の1/7以上
・換気に必要な開口部が床面積の1/20以上 
 つまり、サービスルームと表記されている部屋に窓はあるが、採光や換気の観点で法律の基準を満たしていない部屋ということになります。法律上、1部屋として数えられないものの、実際に見学をして違和感がなければ住み心地は3LDKと同等と言っても差し支えない場合もあります。3LDKをお探しの方は、2LDK+Sで探してみてもいいのではないでしょうか。中には納戸に等しいくらいの窓なしの物置スペースもSと表記する場合もあるので、間取り図で部屋の大きさや窓の有無は確認しましょう。

 アルファベットで表記される室名がまだまだあります 
「LDK」の他にも、アルファベットで記載されている室名はたくさんあります。

【図2】略語と意味

 実際にこれらの略語が使われている間取り図と、略語が示す場所の参考写真を見ながら説明しましょう。

「LDK」の他に「N」「DEN」などもよく使用されます。「N」は納戸、「DEN」は書斎や仕事部屋などに使う「多目的の小部屋」を示します。

「N(納戸)」
「DEN(書斎や仕事場)」

 室名ではありませんが、「MB」「WIC」「PS」「SK」なども見かける機会が多いでしょう。「MB」はメーターボックスの略で、中には電気や水道、ガスのメーターなどが格納されています。他人が検針するため、共用廊下の玄関近くに設けられます。MBの面積は専有面積には含められません。

「MB(メーターボックス)」

「WIC」はウォークインクローゼットを示します。ハンガーにかけた洋服を収納する一般的なクローゼットは奥行が55センチ~60センチですが、ウォークインクローゼットは扉の中に一歩入ってモノをしまうため、奥行はより広くなります。

「WIC(ウォークインクローゼット)」

 「PS」はパイプスペースの略で、中には給水管や排水管が通っており、キッチンの流しやユニットバス、トイレの近くに設けられます。将来、これらの水回りを移動するような大がかりな間取り変更リフォームの予定がある人は、このPSの位置が重要になってきます。

「PS(パイプスペース)」

 「SK」はスロップシンクの略で、蛇口と深いシンクがセットになっています。マンションではバルコニーに設けられることが多く、ガーデニングの水やりや掃除の際にぞうきんを洗ったりと、あると便利な設備のひとつです。

「SK(スロップシンク)」

 住まいを購入する時に必ずチェックする「間取り図」ですが、その中に表記された数字や記号には、ひとつひとつに意味があることをご理解いただけたと思います。これらを知っておくことで、間取り図を正しく読み取ることができ、購入の際の比較検討にも役に立つでしょう。これからの連載の中で本日ご紹介した略語が出てくる場面が多々あるかと思います。住まいさがしにおいて間取り図を見る時にもぜひ参考にしてください。

井上恵子(いのうえ・けいこ)

井上恵子(いのうえ・けいこ)
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所主宰/一級建築士/インテリアプランナー
総合建設会社の設計部で約14年間、主にマンションの設計・工事監理、性能評価などを担当。2004年の独立後は生活者の視点から「安心・安全・快適な住まい」「間取り研究」をテーマに、webサイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活動。
著書に「住宅リフォーム計画」(学芸出版社/共著)「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」(朝日新聞出版)などがある。夫と子ども2人との4人暮らし。
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 http://atelier-sumai.jp/
※ 出典/転載:間取りの基本:略語や数字の意味と間取りのタイプ | マンションデータPlus【トレンド・コラム】byノムコム (nomu.com)


マンション間取り図の読み方、見方とチェックポイントを知ろう?


マンション間取り図の読み方、見方とチェックポイントはこれだ!

 前回は主な間取りのタイプや、略語についてご紹介しました。間取り図からは、住戸の向き(方位)、住戸の形、部屋の構成、各室の広さ、窓や扉の位置と開き勝手、バルコニー形状、家具や家電を置くスペースなどの情報を読み取ることができます。今回は、イザという時役に立つマンションの間取り図の読み方、見方とチェックポイントを解説します。

次の【図1】は一般的なファミリータイプのマンションの間取り図です。まずは住戸の向き(方位)と形を確認しましょう。

間取り図から住戸の方位と形を確認する

【図1】間取り図の例

 図中「17.方位記号」を見ると、北を示す「N」が右方向を指しているためバルコニーは東向きで、すなわちこの住戸は「東向き住戸」ということになります。一般的に日本では日当たりのよい南向き住戸が好まれる傾向がありますが、最近では、朝早くから活動する人は東向き、洗濯物を遅い時間に干し始める人は西向き、夫婦共働きで家には寝に帰る程度という人は北向きなど、ライフスタイルによって好む向きはさまざまになっています。【図1】の住戸の形に注目するとバルコニー面(間口)が短辺となる長方形をしています。この間口が狭い長方形の住戸は低層~高層の外廊下型マンションの中住戸によく見る形です。住棟の両端にある角住戸はもう少し複雑な形が増えてきます。

部屋の広さの確認方法 
 間取り図には、各室の広さが明記されています。和室の場合、1帖(畳)の広さは不動産の表示ルールで1.62m2以上とされており、今回の間取り図のように5.5帖と明記されている場合は8.91m2以上あることを示しています。間取り図ではこの和室には畳が6枚あるように見えますが、面積としては5.5帖分ということになります。一枚当たりの畳の大きさが基準より小さい等の理由が考えられます。
窓や扉の位置と開き勝手、バルコニー形状
 間取り図で黒い太線の部分は壁を示し、白抜きの部分は窓や扉、もしくは手すりやパネルなど壁以外のものを示しています。窓や扉には開き戸と引き戸があり、図の表現方法の違いで見分けます。

【図2】扉の種類

例えば「5.引き戸」は扉が開く軌跡を示した1/4円が描かれておらず、横にスライドして開く引き戸であることがわかります。
「6.(10.)開き戸」は、浴室方向に90度の角度で開く開き戸がついていると読み取ることができます。
「13.引き違い扉」は左右どちらでも開閉できる引き戸が2枚あることを、「14.3本引き戸」は引き戸が3枚あることを示しています。開き戸の場合、扉の軌跡上にはモノが置けないので注意が必要です。

ウォークインクローゼットの引き戸
浴室の方に90度開く開き戸
和室とリビングを仕切る3本引き戸(写真左)

 最近では、バルコニーは単なる物干しスペースではなく、植物や野菜を植えてガーデニングを楽しんだり、イスやテーブルを置いてアウトドアリビングとして活用する人もいます。その場合は、バルコニーの形状や広さなどもチェックしてみてください。

家具や家電を置く場所のチェック

【図3】家具や家電を置く場所

 マンションの間取りは、家具や家電を置く場所をある程度想定してスペースを取っています。例えば「8.洗濯機置き場」「21.冷蔵庫置場」「22.食器棚置場」などが該当します。実際に内見すると、洗濯機置き場には給水のための蛇口と洗濯パン、冷蔵庫置場には冷蔵庫用のコンセントが設置されています。食器棚置場のスペースは空間だけで何もないことも多いのですが、炊飯ジャーや電子レンジを置く予定の人は、コンセントが近くにあるかどうか確認したいところです。

洗濯パン参考

間取り図のチェックポイント1
 動線(どうせん)
 動線とは、日常の生活で人が動く経路のことです。例えば、毎日の洗濯と食事作りを同時にする人は、洗濯機置き場とキッチンが近くにあると便利ですし、買い物に行く回数が多い人は、玄関と冷蔵庫の距離が近いほうがいいでしょう。このように、よく使う動線の経路が短いと、家事時間を短縮し、効率的に行うことができます。
間取り図のチェックポイント2
 家具のレイアウト
 先ほど、洗濯機や冷蔵庫、食器棚など、必要最低限の家具家電の設置スペースについては触れましたが、そのほかの家具、例えば、リビングセットやダイニングセット、テレビや本棚、ベッド、勉強机などについてはご自身で置けるかどうかチェックをしてみてください。特に、一戸建てからマンションに引っ越す場合は以前使っていた家具が入り切れないケースも多々見られます。地震対策の面からみても、置き家具はなるべく減らしたいところです。せっかく新居に引っ越すのですから、スッキリ暮らせるように家具は厳選してみてはいかがでしょうか。

ノムコムのVRホームステージングではモデルルームのように家具をバーチャルコーディネートしている

より詳細な図面もしくは内見時には詰めのチェックを忘れずにします 
 今回は間取り図の見方を中心に解説をしました。新築マンションのパンフレットに掲載される間取り図では、梁の位置やエアコン、コンセントの設置位置など、より詳しい情報が盛り込まれていることがあります。インターネット上では見やすさを重視して簡略化することが多いため、分譲時の詳細な間取り図を入手することができるのか営業担当者に確認をしたり、内見時に位置やサイズをチェックしておくこともポイントです。間取り図の読み方がわかると、そこでの生活がより具体的にイメージできるようになりますね。住まい探しの際にも、間取り図を読み解くことで、ご自身の求める暮らしが実現できるかどうか、有力な判断材料となりうるのではないでしょうか。

井上恵子(いのうえ・けいこ)

井上恵子(いのうえ・けいこ)

住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所主宰/一級建築士/インテリアプランナー
総合建設会社の設計部で約14年間、主にマンションの設計・工事監理、性能評価などを担当。2004年の独立後は生活者の視点から「安心・安全・快適な住まい」「間取り研究」をテーマに、webサイトでの記事執筆、新聞へのコラム掲載、マンション購入セミナーの講師として活動。
著書に「住宅リフォーム計画」(学芸出版社/共著)「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」(朝日新聞出版)などがある。夫と子ども2人との4人暮らし。
住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 http://atelier-sumai.jp/
※ 出典/転載:マンション間取り図の読み方、見方とチェックポイント | マンションデータPlus【トレンド・コラム】byノムコム (nomu.com)


マンション管理業者の全国一斉立ち入り検査の結果を公表しています



 管理会社社員による着服・横領犯罪は、依然として発生しています 
 平成13(2001年)8月、マンション管理が適正に行われることにより良好な住居環境の確保を図ることを目的としたマンション管理適正化法が施行され、 マンション管理業を営む者の登録制度を創設し、 種々の業務規制を通じてマンション管理業の適切な実施を確保する仕組みが導入されました。
しかし、適正化法施行20年を経ても管理業者のモラルは低く、管理業の適切な実施どころか、管理会社社員による着服・横領犯罪は。依然として発生しています。国土交通省がマンション管理適正化法を制定して管理業者の監督に乗り出した背景には、 登録管理会社が全国で平成17(2005)年1月末で2631社、平成26(2014)年度末で2214社ある中で、(社)高層住宅管理業協会(※1)に加入しているのはわずか十数% 、平成22(2010)年3月で417社、平成27(2015)年4月1日で372社にすぎず、 小規模労働集約型中小企業が圧倒的であり、(加入金や審査など中小の協会加入はハードルが高い) これら中小管理会社が引き起こす業界信用毀損が何よりも厄介であり、そのため国土交通省が規制と罰則強化に乗り出した背景があります。ところが管理組合の信頼を失うような犯罪は、むしろ管理業協会に加入している会員会社や管理業協会の理事に就任している幹事会社で発生しています。

(※1) 平成25(2013)年4月1日(社)高層住宅管理業協会は一般社団法人マンション管理業協会に改称しています。
 これまでの取組みのの要点は、以下のとおりです。
(1).適正化法違反行為については、平成18年度に総務省行政評価局が調査を行い、監督官庁の国土交通省に対して改善勧告を出していますが、依然として改善は見られません。
(2).平成27年度に公表された違反件数10件のうち8件が管理会社社員による着服・横領であり、管理業のモラルは完全に壊れています。しかも違反のすべてが公表されているわけではありません。(3).管理組合にどんなに損害を与えても行政処分の多くは「改善措置指示」どまりで、国土交通省がいうような「厳正かつ適正な処分」には程遠く、 もともと国土交通省には違反業者を処分する気などないようです。
(4).平成27(21015)年7月に公表された全国149社への立入検査結果では、全体の40%にあたる60社に違反行為がありましたが、それらの業者名は公表されていません。 平成17年度以降、調査は毎年実施されていて、違反業者をすべて処分していたら大変な数になりますが、立入検査で判明した違反業者名は一切公表していません。 マンション管理業協会あてに一括して改善要請を出しているのみです。
(5).管理会社の社員が着服・横領した事件でも、すべてが処分されるわけではありません。一般報道でニュースとなった事件でも行政処分されないことがあるのです。管理会社の複数の社員らが管理組合から2億7千700万円を横領着服して平成26(2014)年4月に業務停止処分を受けた後、 更に別の複数の社員らが2億900万円を横領着服していたことが判明して平成27(2015)年4月に再び「業務停止」処分を受けた大阪ガスコミュニティライフ(株)への処分を見ても、 「管理業の適切な実施を確保する仕組みのための厳正かつ適正な処分」など空疎な作文でしかないことがわかります。
(6).無届の管理業者の適正化法違反事件は国土交通省の行政処分の対象ではなく、立件は検察庁です。不透明な行政処分ではなく、 すべて送検するほうがすっきりして分かりやすいでしょう。監督官庁が業界を監督指導するというシステムは、ニューヨークにおける大和銀行事件(※2)をきっかけに大蔵省の金融行政が破綻し(※3)、 財務省と金融庁に分割されましたが、国土交通省による不透明な住宅行政はいつまで続くのでしょうか。
(※2) 1995年大和銀行NY支店巨額損失事件で、大和銀行はFRBに対し16の罪状を認め、当時の米刑法犯の罰金としては史上最高額の3億4千万ドル(約350億円)の罰金を払い、米国から撤退した。
(※3) 平成8(1996)年11月に打ち出された「日本版金融ビッグバン」)  
 
 2020年度のマンション管理業者への全国一斉立ち入り検査の結果を公表した。

 国土交通省は、2020年度のマンション管理業者への全国一斉立ち入り検査の結果を公表した。2020年度は全国85社(前年度145社)に立入検査を行い、27社(61社)に是正指導を行いました。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、緊急事態宣言により一部の検査実施がとりやめになるなどしたため、例年に比べ立入検査の実施数が減少しています。是正指導社の割合は31.8%でした。前年度の42.1%より減少したものの、一部のマンション管理業者にはマンション管理適正化法の各条項への理解不足がみられた。マンション管理適正化法の条項ごとの是正指導社数は以下の通りです
①管理業務主任者の設置=2社(前年度2社)
②重要事項の説明等=18社(38社)
③契約の成立時の書面の交付=9社(34社)
④財産の分別管理=6社(14社)
⑤管理事務の報告=6社(27社)
 是正指導が最も多かった「重要事項の説明等」では、契約更新前に区分所有者等全員に対して重要事項説明書を交付していない事例や、新規契約で重説書に必要な事項の一部を記載しないまたは事実と異なる記載をしている事例が目立ちました。是正指導事項別の指導率を前年度の結果と比較すると、概ね減少傾向ですが、「重要事項の説明等」の指導率は21.2%(前年度26.2%)で、他の項目に比べて高くなっています。
今回是正指導を受けた27社の中には、マンション管理業協会の会員も含まれていました。国土交通省は同協会に対し、法令遵守の徹底を図るための研修活動等を推進するなど、マンション管理業の適正化に向けた指導を要請しています。2021年度も感染防止に配慮しつつ、継続的な立入検査の実施に努める方針です。(日刊不動産経済通信)


 
二つの省庁が実施した管理業者の調査内容(平成18年度)
 平成18年度、マンション管理業者の調査は、総務省関東管区行政評価局と国土交通省地方整備局の二つの省庁で実施されました。 管理業者が法令遵守しているかの調査は国土交通省だけではなく、総務省行政評価局も行っています。総務省行政評価局が行う「行政評価・監視」は、行政の運営全般を対象として、 主として合規制、適正性、有効性、効率性等の観点から評価を行い、行政運営の改善を推進するものです。
(1)総務省行政評価局の調査
 総務省行政評価局が平成18(2006)年12月から19年3月にかけて、管理業者における法令遵守と管理組合に対する情報提供が適確に行われているかについて、局管内で登録されている1410業者から31業者を抽出して, 「分譲マンション管理業務などに関する行政評価・監視」を実施したところ、 8割に当たる24業者で「マンション管理適正化法」を遵守していない事例などが見つかったことから、 平成19(2007)年4月25日、総務省行政評価局は国土交通省関東整備局に対し所要の改善を求めています。総務省行政評価局としては、平成13(2001)年8月のマンション管理の適正化の推進に関する法律施行後初となる調査でした。更に、監督官庁である国土交通省関東地方整備局がマンション管理業者登録簿と閲覧システムの内容を長期に渡り更新せず、最新の届出内容が閲覧できない状態だったことも指摘しています。調査結果の概要は、次のとおりです。
① マンション管理業者31業者のうち24業者に登録、登録事項の変更届出の不備、重要事項説明等の不適切、財産の分別管理の不適切等、法令を遵守していない事例あり
② 関東地方整備局が、マンション管理業者登録簿及び閲覧システムにおける内容に関し、長期にわたって更新しておらず、マンション管理業者に関する最新の届出内容が閲覧できない状態であった。[登録、登録事項の変更の届出不備]
〇無登録で営業 (1業者)
〇登録事項(専任の管理業務主任者の変更等)の変更が未届(18業者)
[専任の管理業務主任者が法令上の規定数に不足] (2業者)
[重要事項の説明等が不適切]
 重要事項の説明が契約期間の開始後に行われている(1業者)
[契約の成立時の書面が不適切]
 契約内容等を記載した書面(契約書)に管理業務主任者の記名押印がない (1業者)
[財産の分別管理が不適切]
 保証契約を締結していないにもかかわらず、管理組合の預金通帳(名義人:理事長)と通帳の印鑑を同時に保管(1業者)
[その他]
〇標識が掲げられていない、記載事項が訂正されていない等(9業者)
〇閲覧書類が未作成等 (10業者)
〇従業者証明書の未発行、記載事項の誤り等 (12業者)
総務省ホームページバナー画像※ 出典:総務省「分譲マンションの管理業務等に関する行政評価・監視」平成19年4月25日 PDF(383KB)
 この総務省行政評価局の調査と前後して、国土交通省各地方整備局が全国のマンション管理業者への立入調査を実施しています。

(2)国土交通省各地方整備局の調査 
 国土交通省の各地方整備局及び北海道開発局並びに内閣府沖縄総合事務局では、平成18(2006)年10月から概ね3ヶ月間において、 全国のマンション管理業者62社(昨年度57社)を任意に抽出し、事務所等への立入検査を実施しました。 立入検査は平成17年度から実施しています。以下、その報告書からの抜粋です。   マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、「適正化法」という。)の平成13(2001)年8月の施行以来、マンション管理業者の登録数が順次拡大する(平成19年3月末現在、2,727社が登録)状況の中で、 各登録業者が適正化法に則り適正にマンション管理業を運用することを確保することは、極めて重要である。 このため、平成17年度に引き続き、マンション管理業者の事務所等へ直接立ち入り、適正化法に基づく業務規制に係る事項について検査を行い、必要に応じて、業務に関する是正指導等を実施することとした。
2.検査結果
 全国62社に対して立入検査を行った結果、全体の56%にあたる35社に対して業務に関する是正指導を要する事例を発見し、 うち1社に対しては、後日、業務停止処分を行った。以下、適正化法の各条項ごとの指摘該当社数(重複該当あり)。

 【適正化法条項】             【指摘該当社数】
〇 登録事項の変更の届出(法第48条関係)    11社
〇 標識の掲示(法第71条関係)         12社
〇 重要事項の説明等(法第72条関係)      16社
〇 契約の成立時の書面の交付(法第73条関係)  16社
〇 帳簿の作成等(法第75条関係)        11社
〇 財産の分別管理(法第76条関係)        4社
〇 管理事務の報告(法第77条関係)        3社
〇 書類の閲覧(法第79条関係)         28社
〇 証明書の携帯等(法第88条関係)       17社
3.指摘事項の傾向分析及び今後の対応策
 調査の結果、収納代行方式により修繕積立金等金銭を管理していたにもかかわらず、返還債務を負うことになった場合に必要な保証契約を締結していなかったことが判明した業者1社に対しては、 平成19(2007)年3月28日付けで近畿地方整備局が監督処分(業務停止処分、指示処分)を行いました。その他、業者に対し是正指導を行ったものとしては、事務所等に設置すべき標識、業務状況調書、従業員証明書の携帯に関する指摘事項等、社内管理面での不徹底によると思われるものが多く見受けられました。 一方、重要事項説明書等への記載が十分でないなど主要事務にかかわる事項も一部あったそうです。これらの指摘事項に対してはその場で、又は、検査後に、是正指導を実施したようです。 今回の検査では、是正指導を実施した業者数は35社と前回同様でした。その比率においては、 約56%と前回比で約5%減となりましが、依然として各業者において法令の各条項に対する認識が徹底されていない事例が多数確認されました。 このような全般的な傾向を踏まえ、国土交通省としては、立入検査等による法令指導体制の強化を図るとともに、悪質な適正化法違反に対しては、マンション管理適正化法の規定及び昨年度12月に施行された「マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準」に従い厳正かつ適正に対処するそうです。また、法令遵守の徹底を図るため、 関係団体に対して、研修活動等を通じて、マンション管理業務全般の適正化に向けた会員指導等を図るよう引き続き要請を行うこととしました。
※ 出典:国土交通省 平成19年6月14日 PDF(104KB)「マンション管理業者への全国一斉立入検査結果(平成18年度)の概要について」



2. 平成26年度・国土交通省が実施した管理業者の調査内容
<施行13年後の調査・・・業者の法の遵守は進んだのか>
 国土交通省は平成26(2014)年10月から3ケ月の間に、全国149社(平成25年度は128社)への立入検査を実施した結果、 全体の40%にあたる60社に対して是正指導を行ったことを平成27(2015)年7月6日公表しました。マンション管理適正化法の各条項ごとの是正指導数は下記の通りです。 (平成27年7月6日国土交通省発表資料)
 【適正化法条項】             【指摘該当社数】
〇 管理業務主任者の設置(法第56条関係)     3社
〇 重要事項の説明等(法第72条関係)      39社
〇 契約の成立時の書面の公布(法第73条関係)  26社
〇 財産の分別管理(法第76条関係)       16社
〇 管理事務の報告(法第77条関係)       20社
 上記の立入検査で是正指導を受けた個々の会社名については公表されていません。 
 国土交通省では平成27(2015)年7月6日、土地・建設産業局不動産課長名で「国土動第25号」にて「一般社団法人マンション管理業協会 理事長」あてに、 「マンション管理業の適正化について(要請)」を出しています。
3. 一般社団法人マンション管理業協会とは
 (注1)平成25(2013)年4月1日(社)高層住宅管理業協会は一般社団法人マンション管理業協会に改称しています。平成27(2015)年4月1日現在で、一般社団法人マンション管理業協会の会員会社372社で管理業務を受託しているマンションは91356組合・109599棟・56472181戸です。平成27(2015)年6月3日現在における協会の役員は、1名の専務理事(元国土交通省大臣官房付)のみが常勤で、以下、理事長(1名)・副理事長(6名)・理事(14名)・監事(2名)のすべてが非常勤で管理会社の代表者らで構成されており、 管理会社以外では、他に弁護士、大学教授、公認会計士各1名の計3名が非常勤理事となっており、合計役員数は27名となっています。この団体では、過去に適正化法違反(いずれも元社員らが管理組合財産を着服)で行政処分を受けたうちの2社が副理事長、1社が理事、1社が監事に就任しています。 マンション管理業協会の役員27名のうち、4名が既に行政処分を受けている会社であり、更に管理会社への立入検査では4割で違反が見つかっているという状況です。役員構成は昔から変わらず、例えば平成21年当時の(社)高層住宅管理業協会(現在の一般社団法人マンション管理業協会の前身)の唯一の常勤役員が「副理事長・専務理事」で元建設省大臣官房総括監察官で、 他の役員はすべて非常勤の管理業界各社の代表者からなる組織でした。官僚組織は市場主義経済の外側に身を置いて外側から市場経済を統制、コントロールし、常にその競争の審判者の役割を獲得しながら、自ら競争ランナーの中での優越的立場を得ようとします。マンション管理業界への規制と監督指導行政はその典型例です。
4. 行政処分の基準 
 平成18(2006)年12月19日、国土交通省総合政策局不動産業課は、 国土交通大臣が監督処分を行う場合の統一的な基準として「宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準」及び 「マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準」 を策定し、各地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局及び関係業界団体等に通知しています。「マンション管理の適正化の推進に関する法律」が施行された平成13(2001)年8月以後、5年以上も罰則の基準はありませんでしたが、 ようやく決まったその罰則も抜け穴だらけで実質、効果はありません。国交省の業界に対する配慮は行き届いています。当該基準の概要は次のとおりです。

宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準
1.趣旨
  事業者等によるコンプライアンス向上の取組を促進し、不正行為の未然防止を図るため、国土交通大臣が監督処分を行う場合の統一的な基準として「宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準」を作成するものである。
2.基準の概要
(1)個々の違反行為毎に業務停止期間の明確化・標準化
[具体例]
・重要事項説明書に虚偽の記載があった場合は、標準の業務停止期間を7日とし、関係者の損害の程度により15日、30日とする。
・契約締結等の時期の制限違反については、標準の業務停止期間を15日とし、関係者に損害が発生した場合には、30日とする。
・専任取引主任者設置義務違反については、7日とする。
(2)処分の加重・軽減措置
① 主な加重措置
イ  違反行為により発生した関係者の損害の程度が特に大きい場合や違反行為の態様が暴力的行為による等、特に悪質である場合は、業務停止期間を2分の3倍に加重することができる。
ロ  複数の違反行為を行った場合は、次の業務停止期間のうち、より短期である日数とする。
  a 各違反行為に対する業務停止期間のうち最も長期であるものの2分の3倍又は2倍の日数。
  b 各違反行為に対する業務停止期間を合計した日数
ハ 過去5年間に監督処分を受けていた場合は、業務停止期間を2分の3倍に加重する。
② 主な軽減措置
イ  違反行為による関係者の損害が発生せず、かつ、今後発生が見込まれない場合、または関係者の損害補填に関する取組を直ちに開始した場合であって、当該補填の内容が合理的であり、 かつ、当該業者の対応が誠実であると認められる場合は、指示処分とすることができる。
ロ  直ちに違反状態を是正した場合は、指示処分とすることができる。
(3)地域を限定した業務停止処分
 業務停止処分について、一定の要件の下、地域を限定して処分を行うことができる旨規定。
(4)処分内容の公表
 処分の内容について、国土交通省の各地方整備局、北海道開発局及び内閣府沖縄総合事務局のホームページへの掲載により公表。

 マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準
1.趣旨
 事業者等によるコンプライアンス向上の取組を促進し、不正行為の未然防止を図るため、監督処分を行う場合の統一的な基準として「マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準」を作成するものである。
2.基準の概要
(1)個々の違反行為毎に業務停止期間の明確化・標準化
[具体例]
・重要事項説明書に虚偽の記載があった場合は、標準の業務停止期間を7日とし、重要事項説明会を開催しない場合等は、15日、30日とする。
〇 財産の分別管理義務違反については、標準の業務停止期間を30日とし、管理組合の財産に係る損害が発生した場合は、60日とする。
〇 専任管理業務主任者設置義務違反については、7日とする。(2)処分の加重・軽減措置
① 主な加重措置
イ 違反行為の態様が詐欺的である等、悪質である場合や故意により、虚偽の書面の記載又は説明をした場合は、業務停止期間を2分の3倍に加重することができる。
ロ 複数の違反行為を行った場合は、次の業務停止期間のうち、より短期である日数とする。
a 各違反行為に対する業務停止期間のうち最も長期であるものの2分の3倍又は2倍の日数。
b 各違反行為に対する業務停止期間を合計した日数
ハ 過去5年間に監督処分を受けていた場合は、業務停止期間を2分の3倍に加重する。
② 主な軽減措置
 直ちに違反状態を是正し、かつ、違反行為の是正に向けた対応が誠実である場合は、業務停止期間を3分の2倍又は指示処分とすることができる。
(3)地域を限定した業務停止処分
 業務停止処分について、一定の要件の下、必要に応じ地域を限定して処分できる旨規定。
(4)処分内容の公表
 処分の内容について、国土交通省の各地方整備局、北海道開発局及び内閣府沖縄総合事務局のホームページへの掲載により公表。
※ 出典:2006年(平成18年)12月19日・国土交通省総合政策局不動産業課
※ 出典: 宅地建物取引業者の違反行為に対する監督処分の基準 PDF (186KB)
※ 出典: ダウンロード マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基 PDF (184KB)


マンションの管理の適正化に向けて~「マンション標準管理委託契約書」が改訂されています


「マンション標準管理委託契約書」を平成30(2018)年3月に改訂しています
 国土交通省は、平成29(2017)年5月に施行された改正個人情報保護法に対応した見直し、反社会的勢力の排除条項の追加、さらには管理組合とマンション管理業者の間のトラブルを防止する観点から理事会及び総会支援業務の記載の明確化等のため、「マンション標準管理委託契約書」及び「マンション標準管理委託契約書コメント」を、平成30(2018)年3月に改訂しています。「マンション標準管理委託契約書」は、マンションの管理組合とマンション管理業者の間で協議がととのった事項を記載した管理委託契約書を、マンションの管理の適正化の推進に関する法律第73条に規定する「契約成立時の書面」として交付する場合の指針として定めているものです。


「マンション標準管理委託契約書」
の改訂の概要は何でしょうか?

 国土交通省が明らかにした、「マンション標準管理委託契約書」の改訂の概要は、以下のとおりです。
1.改正個人情報保護法に対応した見直し<標準契約書第 16 条本文・コメント>
改正個人情報保護法により、平成29(2017)  年5月から個人情報を取り扱うすべての事業者が個人情報保護法の適用対象となることに対応した変更。
2.反社会的勢力の排除条項の追加<標準契約書第 24 条として本文・コメント新設>マンション標準管理規約の改正(平成 28 (2016)年3月)で暴力団等の排除規定が新たに設けられたことなどを踏まえ、マンション管理業者自身が反社会的勢力に該当しないことを確約し、違反した場合には、管理組合が本契約を解除することができる旨の規定を追加。
3.理事会及び総会支援業務の記載の明確化<標準契約書別表第1 2(1)(2)本文・コメント>理事会及び総会支援業務のうちの一部について、その支援業務の内容に関してトラブルを防止するため、管理組合及びマンション管理業者が協議して決定することが望ましい旨などを記載。
4.その他、管理業務の実態等を踏まえた主な改訂項目
〇管理対象部分に宅配ボックス等を追加<標準契約書第2条本文>
〇マンション管理業者に別途委託するコミュニティ活動業務の支援内容を修正<標準契約書第3条コメント>
〇マンション管理業者が各区分所有者から専有部分内の設備の修繕等で対応を求められることがある現状を踏まえ、こうした場合の考え方をコメントに追加<標準契約書第3条コメント>
〇高齢化の進展に伴い、マンション管理業者による主に高齢者等の特定の居住者を対象とする業務が想定されるが、こうした場合の考え方をコメントに追加<標準契約書第3条コメント

※出典/転載:報道発表資料:「マンション標準管理委託契約書」を改訂しました~マンションの管理の適正化に向けて~ - 国土交通省 (mlit.go.jp)
※ 出典/転載:「マンション標準管理委託契約書」の改訂の概要
001224481.pdf (mlit.go.jp)

「マンション標準管理委託契約書」の改訂は委託業務の範囲や処理方法等が多様化したためか?
 平成13(2001年)8月、マンション管理が適正に行われることにより良好な住居環境の確保を図ることを目的としたマンション管理適正化法が施行され、 マンション管理業を営む者の登録制度を創設し、 様々な業務規制を通じてマンション管理業の適切な実施を確保する仕組みが導入されました。また、標準管理委託契約書が公表されて以来、委託業務の範囲や処理方法等が多様化してきたことが、改訂の趣旨のようです。改訂の要旨は、以下のとおりですが、所有されるマンションの管理委託契約書の内容をチェックする必要があります。
1.更新の申し入れ時期を3ヶ月前までと明記するとともに、自動更新条項を削除する。
2.出納業務に係る財産の分別管理(通帳・印鑑の管理、出納方式等)について詳細に規定する。
3.委託した管理業務と委託費の関係が明確になるよう、委託費の内訳を明記する。
4.マンション管理業者の免責事項について整理・明確化する。
5.コメントで管理委託契約書、各条項の考え方を補足する。



 マンション標準管理委託契約書の改訂のポイントは以下のとおりです
1.マンション管理適正化法との整合性を踏まえた改訂
〇マンション管理業者等の守秘義務を規定(第16条関係)
〇契約更新時に重要事項説明が必要となったことを踏まえ、更新の申し入れ時期を3ヶ月前までと明記するとともに、自動更新条項を削除(第21条関係)
〇事務管理業務を、基幹事務と基幹事務以外の業務区分(別表第1関係)
〇管理組合財産の保護のため、出納業務における財産の分別管理(通帳・印鑑の管理、収納方式等)について詳細に規定(原則方式、収納代行方式、支払一任代行方式の各方式毎に記載)(別表第1関係)
2.管理業務の範囲・内容の明確化を踏まえた改訂
〇委託業務費を定額委託業務費とそれ以外の業務費に区分するとともに、委託した管理業務と委託費の関係が明確になるよう、それぞれの内訳を明記(第6条及び別紙1、2関係)
〇免責事項の整理・明確化(第8条、第10条、第11条、第13条、第17条関係)
〇清掃業務、建物設備管理業務の内容をより詳細に規定(別表第3、第4関係)
3.その他所要の規定の整備
〇当事者双方の通知義務を整理(第12条関係)
〇宅建業者への管理規約等の提供等を規定(宅建業法との整合性)(第14条関係)
〇管理業者の破産等一定の事由における管理組合の解除権を規定(第18条関係)
〇管理委託契約の性質に照らし、当事者双方による任意解除権を規定)(第19条関係)
〇契約期間中における事情変更(法令改正等)に対応し、協議に基づく契約変更を規定(第22条関係)
4.コメントの充実
〇マンション管理適正化法の趣旨の徹底、管理組合等がマンション標準管理委託契約書を使い易くするため、管理委託契約書、各条項の考え方を補足(コメント全般)
〇区分所有法改正案関係(管理規約の電磁的記録化等に関する記述)(コメント12,21関係)・エレベーター設備の保守点検方式について、一般的にフルメンテナンス方式とPGO方式があるため、その違い等を補足(コメント24関係)

※ 出典/転載:マンション標準管理委託契約書等 新旧対照表<本文関係>001224480.pdf (mlit.go.jp)


いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~が公開されています


 いっしょに検証!公的年金(第1話)~「はじめに」を学びましょう
 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』か公開されています。みんなで正しい知識を得たいと思います、なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。
今回は、第1話「はじめ」を学習します。










  公的年金のこと、どのくらい知っていますか?

 皆さんは、公的年金についてどのくらいご存じでしょうか。難しい、よく分からないといった印象を持たれたり、ニュースや新聞などでいろいろな話題を見聞きしたりして、ご自分が受け取る年金に不安のある方もいらっしゃるでしょう。また、少子高齢化で年金財政が厳しいという話を聞き、不安が大きくなっている方もいらっしゃるでしょう。確かに少子高齢化により年金財政は厳しくなりますが、今の年金制度にはその対策も組み込まれており、年金額がゼロになることも、公的年金制度がなくなることも決してありません。過度に恐れず、将来を適切に考えていくため、正しく公的年金について知ることが大切です。

 公的年金はこんなに大事

 現在、日本国内における高齢者世帯の収入のうち6割を年金が占め、高齢者世帯の約半数については収入の全てが公的年金・恩給になっています。

 日本全体でみると、国民の3人に1人が年金を受給しており、年金総額は50兆円を上回っています。これは国民所得比で14%前後に相当し、年金が家計消費の2割を超える地域もあります。このように、公的年金制度は、高齢期の生活のかなりの部分を支えるものとして、極めて重要な役割を果たしています。また、現役世代にとっても、公的年金によって、親の経済的な生活の心配をすることなく安心して暮らすことができるようになっています。さらに、高齢になって働けなくなった場合だけでなく、障害を負った場合や、配偶者やお子さんを残して現役のうちに亡くなってしまったなどの事態にも対応しており、皆さんが安心して毎日を過ごすためにも必要不可欠です。

ガイド少子高齢化が進む中、高齢者が生活に使う公的年金は経済の活性化にも重要だニャ



 公的年金の健全性をチェックする仕組み、「財政検証」 
 公的年金制度は、予測できない生活上のリスクに備えるための仕組みであり、皆さんの生活を支えるとても大切な制度です。このため、公的年金制度を維持するために、国ではさまざまな取り組みを行っています。そして、公的年金が健全に運営されているかについて、財政検証という仕組みで定期的にチェックすることになっています。財政検証は、少なくとも5年に一度、公的年金財政(保険料収入や給付に必要な額の収支)の健全性を検証する仕組みです。この財政検証では、今後の日本の人口や経済の見通しをもとに、これからの約100年間、公的年金の財政状況がどのように推移するかを計算します。財政検証の結果はレポートとして公開されており、今後の公的年金の給付水準の見通しなどを知ることができます。

 このサイトの目的 
 このサイトでは、公的年金制度を長期にわたって維持するための仕組みと、公的年金財政をチェックする「財政検証」を中心に、年金の基本的な考え方や、年金に関係するいろいろなデータを分かりやすく紹介しています。

ガイド公的年金のこと、財政検証のこと、もっと知ってほしいニャ!



厚生労働省
※ 出典/転載:はじめに | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

いっしょに検証!公的年金(第2話)~公的年金と貯蓄の違いを学習します


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』か公開されています。みんなで正しい知識を得たいと思います、なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第2話「公的年金と貯蓄の違い」を学習します。











 どうして公的年金制度があるの?。誰にでもある「人生のリスク」に対応するためです
 人生には、さまざまなリスクがあります。高齢によって働くことができなくなる、思いがけない事故や病気で障害を負ってしまった、一家の大黒柱が亡くなってしまった……など、安定した収入を得られず生活できなくなるリスクは予測できません。そうした「もしものとき」に備えるため、生命保険や医療保険などに入る方や貯蓄をする方もいらっしゃいます。でも、その備えが「いつ」「どれだけ」「いつまで」必要なのかは、誰にも分かりません。誰にでも起こり得ることなのに、すべての人が、あらゆる事態を予測して、十分に備えることは困難なのです。こうした「人生のリスク」にすべての人が備えられるよう、公的年金は国が公的制度として運営しています。

 公的年金で対応できる人生のリスクって?

 公的年金は、大きく「老齢」「障害」「死亡(遺族に対する保障)」というリスクに備えています。

 公的年金の種類(基礎年金の場合)

老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金
65歳から終身給付を受けることができる年金。「年金」というとこの老齢年金を指す場合が多い 加入中、病気やけがなどで一定の障害を負った場合に支給される。また、20歳前の障害にも対応している 年金受給者や被保険者が亡くなったとき、原則18歳以下(※1)の子がいる配偶者(※2)か子が給付を受けられる
※1 18歳になった年度の3月31日まで
※2 夫が遺族基礎年金を受けられるのは、妻の死亡が平成26(2014)年4月1日以降の場合

※より詳しい支給要件、給付水準や
厚生年金の内容については、
日本年金機構のサイトでご確認ください

日本年金機構(外部サイト)

 公的年金の特徴 
 公的年金は、一般的に老後の生活資金として考えられていますが、老後に備えて個人で貯蓄した場合と比べて、以下のような特徴があります。

1.生涯にわたって受給できる

 誰でも、何歳まで生きるか分かりません。老後に備えて貯蓄をしていても、それを使い切ってしまう可能性もあります。逆に、老後への不安から現役時代に過度な貯蓄をしようとすると、若いときの消費が低くなってしまいます。それに対して公的年金は、終身で(亡くなるまで)受給できる仕組みです。これによって現役時代に過剰な貯蓄を行う必要がなくなりますし、なによりも、長生きして生活資金がなくなるという事態に備えることができるのです。

 何歳まで生きる?

 老後にどれくらいお金がかかる?

2.物価変動や賃金上昇など、経済の変化に比較的強い

 将来、急激なインフレや給与水準の上昇によって、貯蓄の価値がなくなってしまうかもしれません。また、緩やかな上昇であったとしても、次第に貯蓄の価値が低下してしまうことが起こり得ます。公的年金は生活を支えるために、その時々の経済状況に応じた
実質的な価値が保障された給付を行っています(「実質的な価値」について詳しくは、マンガで読む公的年金制度 第5話をご覧ください)。

 現在の公的年金制度は、経済の変動に比較的強い仕組みなのです。

 将来の物価はどうなる?

 将来の賃金はどうなる?

3.重度の障害を負った/一家の大黒柱が亡くなったときに対応できる

 突然の事故や病気などで障害を負ってしまうかもしれません。また、家計の担い手が小さな子どもと配偶者を残して亡くなってしまう可能性もあります。こうした事態に備えるため、公的年金は老後に対する備えだけでなく、障害を負った人や遺族への保障も行っています。

 予測できないリスク

 公的年金のメリットってなに?
 公的年金は広義の保険であり、老齢・障害が残るようなけがや病気・死亡などに対してみんなで支えあう仕組みです。公的年金に加入して保険料を納めていくことで、生涯にわたって安心を得ることができます。公的年金が皆さんに提供するもっとも大きな価値は、金額ではなくこの安心です。そのため、制度を維持し、皆さんがずっと安心して暮らしていけることが、公的年金の最大の意義ともいえます。このように、経済的な損得ではなく、公的年金のメリットである生涯にわたる安心に、もっと目を向けてもいいのではないでしょうか。

ガイド たとえば、みんな国民健康保険、協会けんぽや組合健保の保険料を払っていると思うニャ。だけど、こうした公的医療保険は、けがをしたり、病気になったりしなければ給付は受けられないニャ。これを損だと思うかニャ?

ガイド いつ病気になるかはわからないし、万一のことを考えると安心できるから、病気にならなかったからといって損だ
とは思わないよね



 ガイドそうニャ。公的年金も同じで、予測できない事態に備えて、『安心』を得られることが一番のメリットなんだニャ。安心というのはお金に換算できないものだニャ。でも、それこそが公的年金の最大の価値といえるから、金額の損得だけに着目すると、本質を見逃してしまう恐れがあるニャ

ガイドもともと、経済的に得をするための制度ではないってことよね


ガイドそうニャ、公的年金に限らず、社会保障制度はどれも社会全体で支えあい、みんなで『安心』を得るためのものだニャ

 まとめ

 公的年金は、予測することができない人生のリスクに備え、すべての人が安心して暮らせるように国が制度化している。財政検証の詳しい結果はこちら2019(令和元)年財政検証結果
厚生労働省※ 出典・転載:公的年金と貯蓄の違い | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)


いっしょに検証!公的年金(第3話)~私的扶養と社会扶養ついて学習します


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』か公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第3話「私的扶養と社会的扶養」についてを学習します。












 扶養には2つの仕組みがあります

 扶養とは、「自立して生きていくのが難しい人を援助する」という意味です。扶養の形態には、大きく分けると「私的扶養」と「社会的扶養」という2つの仕組みがあります。それぞれの仕組みがどういうものか詳しく見ていきましょう。

 私的扶養って? → 自分で自分の家族を支える仕組みです

 私的扶養とは、高齢者や障害者など働くことのできない人を家族・親族で養うという考え方です。私的扶養の場合、主に扶養する側とされる側が、同居もしくは近居であることが特徴です。公的年金が成熟する前はこの私的扶養が一般的でしたが、扶養される親の寿命や健康状態、支える側の家族・親族の人数などはさまざまで、各世帯の負担にばらつきがありました。

 社会的扶養って? → 社会全体で支え合いをする仕組みです

 社会的扶養は私的扶養と異なり、働くことのできない人を社会全体で支えるという考え方です。日本の公的年金制度はこの社会的扶養を基本としており、現役世代が年金保険料を納め、国を通じて高齢者へ年金を支給する仕組みです。このため、子や親族と離れた土地にいる高齢者だけの世帯でも、経済的な不安が軽減され、より良い暮らしがしやすくなります。また、社会的扶養は、すべての人が等しく保険料を負担するため、私的扶養にみられる「世帯、個人の負担のばらつき」をある程度軽くすることができます。

ガイドわたしが一人で暮らしていけるのは、社会的扶養の仕組みがあるからなんだね

私的扶養と社会的扶養の違い

私的扶養 社会的扶養
暮らし方 主に家族の同居や近居を前提 高齢者だけの世帯で生活可能
経済的支援 仕送りや同居など家族・親族が負担 国を通じて社会全体で負担

 私的扶養、いまの日本では難しい?

 私的扶養の場合、扶養する相手(親など)と同居したり、近くに住んで生活を支えたりすることが必要になります。ですが、戦後の日本では、地方から都会に出てサラリーマンになる若い人が増え(都市化)、都市部に人口が集中していきました。また、その人たちが都市部で家庭を持ち、親と離れて夫婦と子どもだけ(核家族)で暮らすことが一般的になったため、親と同居もしくは近居して扶養することが難しくなっていったのです。同時に、高齢者だけの世帯が増えたことで、送迎や宅配などさまざまなサービスが発展し、高齢者だけでも生活がしやすくなりました。また、昔と比べて、医療の技術が発達し、衛生状態が改善するなど、高齢者が健康に生活できるようになりました。このため、平均寿命が延び、親を扶養する期間が長くなってきており、子どもが引退して年金受給が始まった後も両親がまだご健在である場合も珍しくなくなってきました。このような場合、私的扶養では孫世代が両親だけでなく祖父母の扶養まで負うことになり、特に一人っ子には重い負担になるおそれがあります。一方、高齢者からみた場合、不幸にして子どもに先立たれてしまった場合などには、私的扶養を前提にしていると生活が困難な状況となってしまいます。

長女私たちが田舎に住むのも難しいし、おばあちゃんが都会にくるのも大変。近くで面倒を見るのってハードルが高いよね



 だから、公的年金は社会的扶養なんです  
 上記のような都市化・核家族化によって、同居や近居での私的扶養が難しくなると同時に、平均寿命が延びたため親を養う期間も次第に長くなり、子世代にかかる負担が大きくなってきました。こういった変化のなかで、社会全体で高齢者を支える仕組みが公的年金制度として整ったのです。現役世代は、年金保険料を納めることで親の生活を心配することなく生活ができ、高齢者は、公的年金によって、自分の子どもに過度な負担をかけず、経済的に自立した生活が送れます。親と遠く離れて暮らすことの多い現代の日本では、社会的扶養が扶養する側にもされる側にも安心できる制度なのです。また、このように社会全体で支えていく仕組みの方が、個人や家族だけで支えるよりも確実で効率的であるといえます。

参考:家族をめぐる代表的な変化

  昔(1970年) 現代(2020年)
三世代同居世帯数 485万世帯 160万世帯
高齢単身世帯数 39万世帯 672万世帯
家族の人数 3.69人 2.21人
平均寿命 男性 69.31歳
女性 74.66歳
男性 81.56歳
女性 87.71歳
平均余命(65歳時) 男性 12.50年
女性 15.34年
男性 19.97年
女性 24.88年
サラリーマンの割合 64.9% 89.5%

出典:「国勢調査」(総務省)、「完全生命表」(厚生労働省)、「労働力調査」(総務省)


 まとめ

〇 扶養には、自分で両親や親族を養う「私的扶養」と高齢者や障害者への支援を社会全体で負担する「社会的扶養」がある。
〇 ライフスタイルや家族構成の変化によって、私的扶養が次第に難しくなってきた。
〇 公的年金は社会的扶養の考え方をベースにしている。
〇 公的年金が社会的扶養であることで、扶養する側もされる側も安心して自分の生活を送ることができる。
厚生労働省※ 出典・転載:私的扶養と社会的扶養 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)


いっしょに検証!公的年金(第4話)~日本の公的年金は 「2階建て」です


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』か公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第4話「日本の公的年金が『2階建て』であること」を学習します。





















公的年金の仕組み

日本の公的年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社などに勤務している人が加入する「厚生年金」の2階建てになっています。

また、3階部分として、企業が任意で設立し社員が加入する企業年金や、国民年金の第1号被保険者が任意で加入できる国民年金基金などがあります。

 働き方、暮らし方で変わる年金加入の形

20歳以降のライフスタイルによって、加入する年金や保険料が変わります。公的年金制度では、それを下の表のように区別しています。

被保険者の種別 第1号被保険者 第2号被保険者 第3号被保険者
職業 自営業者・学生・無職など 会社員・公務員など 専業主婦(夫)など
加入する制度 国民年金のみ 国民年金と厚生年金 国民年金のみ

 国民年金とは

国民年金(基礎年金)は、日本に住んでいる20歳から60歳未満までのすべての人が加入します。国民年金のみに加入する人(第1号被保険者)が月々納付する年金保険料は定額(2022(令和4)年度時点で16,590円)です。2004(平成16)年度から保険料が段階的に引き上げられてきましたが、2017(平成29)年度に上限(2004(平成16)年度価格※で16,900円)に達し、引き上げが完了しました。また、2019(平成31)年4月から第1号被保険者に対して産前産後期間の保険料免除制度が施行されることに伴い、2019(令和元)年度分より、2004(平成16)年度価格で保険料が月額100円引き上がり、17,000円になりました。

※2004(平成16)年度の賃金水準での価格です。実際には、その時々の賃金の状況に応じて変わります。

国民年金(基礎年金)の支給開始年齢は65歳で、納付した期間に応じて給付額が決定します。20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付していれば、月額約6.5万円(2022(令和4)年度)受給することができます。

 年金の受給開始時期を変えることもできます(繰上げ受給、繰下げ受給)

60歳から65歳になるまでの間でも、希望すれば給付を繰り上げて受けること(繰上げ受給)ができます。ただし、繰上げ受給の請求をした時点に応じて年金が減額され、年金額は減額されたまま一生変わりません。

逆に、65歳で請求せずに66歳から70歳までの間で老齢基礎年金を繰下げて請求すること(繰下げ受給)もできます。この場合、繰下げの請求をした時点に応じて年金額が増額されます。

なお、2020(令和2)年の年金制度改正で、2022(令和4)年4月から繰下げ受給できる年齢の上限が70歳から75歳になりました。
年金の繰上げ受給(日本年金機構)
年金の繰下げ受給(日本年金機構)

 国民年金の納付猶予と免除制度

学生のときや、失業や所得が低いなどの理由で保険料を納めることが難しい人に対しては、保険料の納付を一時的に猶予したり、納付を免除したりする制度があります。猶予された期間と免除された期間はどちらの場合も年金を受け取るために必要な期間(受給資格期間)に算入されますが、受け取れる年金額は、保険料を全額納付した場合と比べて少なくなります。猶予や免除された期間は、申請をして猶予・免除期間分の保険料を後から納めることができます(後で納付した分は、年金額の計算をする際、保険料を全額納付した場合と同様に扱われます)。なお、猶予と免除では年金額に違いがあります。猶予された期間は年金額へ反映されませんが、免除された期間は年金額へ一部反映されます。また、2019(平成31)年4月から第1号被保険者に対して産前産後期間の保険料免除制度が施行されました。他の免除制度とは異なり、この免除期間中の保険料を後から納める必要はなく、免除期間分の年金額が少なくなることもありません。どの制度も、利用するには手続きが必要です。制度の利用条件や手続きに必要なものについては、以下で紹介する日本年金機構のサイトをご覧ください。

ガイド手続きをしないと、もしものときに年金が給付されない可能性があるニャ。必ず手続きしてくださいニャ!納付猶予と




 保険料免除はここが違う

  老齢基礎年金 障害基礎年金
遺族基礎年金
受給資格期間への算入 年金額への反映 受給要件
納付
納付猶予
学生納付特例
×
全額免除 ○(※2)
一部免除(※1) ○(※3)
産前産後期間の
保険料免除
未納 × × ×

※1 一部免除の承認を受けている期間については、一部納付の保険料を納付していることが必要です。

※2 2009年4月分以降は、2分の1が国庫負担されます。
(2009(平成21)年3月分までは3分の1が国庫負担)

※3 4分の1納付の場合は「5/8」が年金額に反映します。
(2009(平成21)年3月分までは1/2)
2分の1納付の場合は「6/8」が年金額に反映します。
(2009(平成21)年3月分までは2/3)
4分の3納付の場合は「7/8」が年金額に反映します。
(2009(平成21)年3月分までは5/6)

注.納付猶予、学生納付特例、全額免除、一部免除は、10年以内であれば、猶予や免除された期間分の保険料を後から納めることができます。その場合、老齢基礎年金の額を計算するときに、保険料を全額納付した場合と同様に扱われます。ただし、猶予や免除されたときから2年を超えて納める場合は、その当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。

 猶予、免除を受けたい! 自分でも申し込める?

【学生納付特例制度】
20歳以上で大学などに在学しており厚生年金に加入していない方で、本人の所得が一定以下の場合に、在学中の保険料納付が猶予されます。
国民年金保険料の学生納付特例制度(日本年金機構)

【納付猶予制度】
20歳以上50歳未満の厚生年金に加入していない方で、本人と配偶者の前年の所得が一定以下の場合、保険料の納付猶予を申請することができます。
(2025(令和7)年6月までの時限措置)
国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(日本年金機構)

【保険料免除制度】
厚生年金に加入していない方で、本人・世帯主・配偶者の前年の所得が一定以下の場合、保険料の免除を申請することができます。
免除は全額・4分の3・半額・4分の1の4種類があり、所得に応じて利用できる種類が異なります。
国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度(日本年金機構)

厚生年金とは

厚生年金は、会社などに勤務している人が加入する年金です。保険料は月ごとの給料に対して定率となっており(2017(平成29)年度以降18.3%)、実際に納付する額は人により異なります。

また、厚生年金は事業主(勤務先)が保険料の半額を負担しており(労使折半)、実際の納付額は、給与明細などに記載されている保険料の倍額となります。

従来の支給開始年齢は60歳でしたが、段階的に引き上げられ、2025(令和7)年度(女性は2030(令和12)年度)には65歳になります。

特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢の引上げについて(日本年金機構)

年金の受給開始時期を変えることもできます(繰上げ受給、繰下げ受給)

厚生年金も基礎年金と同様に、受け取る時期を繰り上げたり繰り下げたりすることができます。このとき、繰上げ受給すると年金額が減額され、そのまま一生変わらないこと、繰下げ受給すると年金額が増額されることも基礎年金と同じです。

年金の繰上げ受給(日本年金機構)

年金の繰下げ受給(日本年金機構)

ガイド厚生年金は、会社で働いていれば20歳前でも加入するんだね。高校を卒業してすぐに入社したうちの新人も、もちろん加入しているわ

                                           


 厚生年金の年金額

 厚生年金は、働いていたときの給料と加入期間に応じて給付額が決められます。また、現役時代に納付する保険料には国民年金保険料も含まれているため、国民年金分と厚生年金分の両方を受け取ることができます。

※もっと詳しく知りたい方は、日本年金機構が提供するねんきんネットのサービスを利用してください

 基礎年金と厚生年金の合計額は現役時に得た総賃金により異なる 
 厚生年金の年金額は、現役時に得た総賃金によって異なり、総賃金が高いほど高くなりますが、現役時の賃金水準ほどは差がつかない仕組みになっています。これは、厚生年金は現役時に得た賃金に比例するのに対し、全国民共通の基礎年金は、納付期間が同じであれば、賃金の多寡によらず定額であるためです。現役時に高所得であった世帯は個人年金や貯蓄などで老後に備えることができますが、所得の低い世帯は、現役時のうちに十分な老後の備えをすることが困難かもしれません。そのため、基礎年金により、賃金が低い方にも配慮がある仕組みとなっています。このような背景を踏まえ公的年金では、世帯構成や現役時代の所得の違いを軽減するように設計されています。これを「所得の再分配」ということもあります。また、所得の高い人ほど税金を多く払っていますが、その税金の一部は国庫負担として年金に投入され、受給者に還元されています。このように、高所得者から低所得者に対して、間接的に所得の分配が行われているのです。

 企業年金、国民年金基金など

年金制度には他にも、企業が任意で設立し社員が加入する企業年金や、国民年金の第1号被保険者が任意で加入できる国民年金基金などがあります。これらはそれぞれ厚生年金、国民年金(基礎年金)に上乗せされて受給することができます。
企業年金連合会
国民年金基金

 まとめ

  • 公的年金は2階建て(1階部分「国民年金(基礎年金)」、2階部分「厚生年金」)
  • 国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入。厚生年金は会社などに勤務している人が加入。
  • 国民年金の保険料は原則として全員が同じで定額。厚生年金の保険料は収入に対して定率(額は収入に応じて変わる)。
  • 現役時代の所得が高いほど基礎年金と厚生年金を合わせた年金額が高くなるが、基礎年金が所得の多寡によらず定額であるため、現役時ほどは差がつかない。公的年金制度が持つこのような機能を所得再分配機能という
  • 公的年金の上乗せとして、企業年金、国民年金基金などの制度があり、年金額を増やすことができる。
厚生労働省※出典・転載:日本の公的年金は「2階建て」 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)


いっしょに検証!公的年金(第5話)~賦課方式と積立方式について学びます


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』が公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第5話「賦課方式と積立方式」について学習します。










 年金の財政方式 
 年金制度は、長い期間にわたって財政のバランスが取れるように運営していかなければなりません。このとき、どのように年金制度を運営していくかによって、大きく2つの財政方式があります。それは「賦課方式」と「積立方式というもので、受給者に年金を支払うために必要な財源を用意するための方法が異なります。

 賦課方式とは 
 賦課方式は、年金支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入から用意する方式です。現役世代から年金受給世代への仕送りに近いイメージです。現役世代が高齢になって年金を受給する頃には、その下の世代が納めた保険料から自分の年金を受け取ることになります。

 積立方式とは 
 積立方式は、将来自分が年金を受給するときに必要となる財源を、現役時代の間に積み立てておく方式です。


 日本の公的年金は「賦課方式」を基本にしています
 現在の日本の公的年金は、基本的に「賦課方式」で運営されており、現役世代が納めた保険料は、そのときの年金受給者への支払いにあてられています。その理由は、公的年金の実質的な価値を維持することにあります。年金の実質的な価値=決まった額ではなく、物価、所得水準に応じた「経済的価値」です。なぜ、賦課方式のほうが公的年金の実質的な価値を維持できるのか、賦課方式積立方式の特徴をみていきましょう。

 賦課方式積立方式の特徴

 積立方式の特徴
・民間保険と同様に、現役時代に積み立てた積立金を原資とすることにより、運用収入を活用できる。
インフレによる価値の目減りや運用環境の悪化があると、積立金と運用収入の範囲内でしか給付できないため、年金の削減が必要となる
 賦課方式の特徴
・社会的扶養の仕組みであり、その時の現役世代の(給与からの)保険料を原資とするため、インフレや給与水準の変化に対応しやすい(価値が目減りしにくい)
現役世代と年金受給世代の比率が変わると、保険料負担の増加や年金の削減が必要となる

 積立方式の特徴~価値の目減りとは 
 将来受け取る予定の年金として、現時点で一定の額を積み立てておいても、急激なインフレや給与水準の上昇があると、その額の価値が著しく減少してしまう可能性があります。これを価値の目減りといい、多額の積立金を必要とする積立方式では、このような事態が起こり得るのです。

参考:1965年と2020年の物価の違い

品目 1965年 2020年
鶏肉 100g 71.8円 128円(1.8倍)
牛乳 瓶1本 20円 133円(6.6倍)
カレーライス 1皿 105円 714円(6.8倍)
コーヒー(喫茶店) 1杯 71.5円 512円(7.2倍)
ノートブック 1冊 30円 162円(5.4倍)

出典:小売物価統計調査

ガイド昔は100円でおつりがきたけど、今じゃ100円では買えないものも多くなったのう。物価が上がってお金の価値が下がってしまうことが、長い間には起こりうるんじゃな


 このように価値の目減りが起こってしまうと、現役時代に貯めた年金額が十分な価値ではなくなる恐れがあります。そうなると高齢者の生活を支えるという公的年金の役割が果たせなくなってしまいます。
また、株価の大幅な下落や為替の変動などの影響を受けて、積み立てていた年金の運用結果がマイナスに転じた結果、積立金が減少して将来受け取れる年金額が減ってしまうことも考えられます。

 積立方式における世代間格差

 上記のように、積立方式の場合でも、納められた保険料をそのままにしておくことはありません。より十分な給付のために、保険料を運用し、その利益も給付に充てていくことになります。ただし、こうした資産運用は、市場の変化による影響を大きく受けやすく、市場からどのような影響を受けるかは、世代によって異なります。たとえば、1980年代後半のバブル景気の頃と、2008年のリーマン・ショック後を比べると、その差は明らかです(リーマン・ショックは各国の経済に大きな打撃を与え、世界中で資産価値の暴落が起きました)。積立方式だからといって、世代による差がなくなるとは言い切れないのです。

参考:日経平均株価の推移

注 各月末の終値である。
 日経平均株価は日本経済新聞社の著作物です

 少子高齢化の影響

 少子高齢化で社会全体の生産力(GDP)が低下すると、その影響は賦課方式でも積立方式でも受けることとなりますが、その影響を受ける経路が異なります。賦課方式は、保険料収入の減少という形で影響を受けます。一方、積立方式は、低成長による運用悪化やインフレによる年金の実質価値の低下など、市場を通して影響を受けます。

 賦課方式の場合
 賦課方式では、社会的扶養の仕組みであるため、その時々の現役世代が負担する保険料を財源として、年金を給付します。少子高齢化が進行すると、保険料を負担する現役世代の人数が減り、年金を受け取る高齢者の人数が増加していきます。このため、賦課方式のもとで年金の給付水準を維持しようとすると、現役世代の保険料負担が増えてしまうことになります。逆に、現役世代に保険料負担がかかりすぎないようにすると、年金の給付水準が下がってしまいます。

 積立方式の場合
 積立方式の場合でも、少子高齢化で社会全体の生産力(GDP)が低下するとその影響を受けます。積立方式でも、現役世代が生産した財やサービスを、公的年金を通して高齢者が消費する仕組みは変わりません。少子高齢化で生産力が低下すると、高齢者に回せる分も減ることになります。その影響は、低成長に伴う運用悪化やインフレによる年金の実質価値の低下など、市場を通して受けます。

 少子高齢化の影響を軽減する年金積立金
 下の図のように、賦課方式では、年金給付の財源は現役世代からの保険料が主なものとなります。しかし、このまま少子高齢化が進み、年金の給付に必要な額を現役世代からの保険料収入だけで用意しようとすると、収入が不足し、十分な年金給付を行えなくなる可能性があります。そこで、現在の公的年金制度では一定の「年金積立金」を保有し、それを活用することで、こうした少子高齢化の影響を軽減するようにしています。年金積立金の詳細については、マンガで読む公的年金制度 第6話をご覧ください。

 公的年金が賦課方式を基本としている理由
 公的年金は、皆さんが安心して暮らしていくための保険であり、高齢で働くことが困難になったときなどの生活を支えるという役割も担っています。そのため、年金としての価値が下がる可能性がある積立方式のリスクは、無視することができません。逆に、賦課方式の場合は納められる保険料がそのときの給与水準に応じたものであるため、給付に関してもその時々の経済状況に対応しやすいというメリットがあります。国民年金の保険料は個々人の収入によらず定額ですが、社会全体の給与水準の変動に応じて、毎年度の具体的な金額は変動します。また、厚生年金の保険料は給料に対する定率なので、個人の給与水準が変化すれば、納める保険料も変化します。アメリカやドイツなど諸外国の財政方式をみても、最初は積立方式で始まったものの、予測できない社会や経済の大きな変化に事後的に対応していくなかで賦課方式を基本とする財政運営に変わっていきました。日本の公的年金制度は、賦課方式を基本としながらも、積立金を保有するメリットも生かした財政運営を行っています。今の日本では、これが公的年金制度に最も適した財政方式ではないでしょうか。

 まとめ
・保険料をそのときの年金受給者への支払いに充てるのが「賦課方式」
・保険料を自分が将来受け取る年金として積み立てておくのが「積立方式」
・賦課方式は経済変動に強い
・積立方式は運用収入を活用できるが、経済変動に弱い(目減りの可能性がある)
・公的年金の財政方式は、賦課方式を基本とした財政方式である。   

 これは賦課方式積立方式のよいところを組み合わせる方式で、積立金を活用することによって、賦課方式のデメリットを補っている。

厚生労働省 ※ 出典/転載:賦課(ふか)方式と積立方式 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

いっしょに検証!公的年金(第6話)~積立金の役割について学びます


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』が公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第6話「積立金の役割」について学習します。









 年金積立金の目的 
 日本の公的年金制度は、現役世代の保険料負担で高齢者世代を支えるという考え方を基本としています。そのため、年金給付を行うために必要な資金を、事前にすべて積み立てておくわけではありません。しかし、現在の日本では少子高齢化が急激に進んでおり、現役世代の保険料だけで年金給付を賄おうとすると、保険料の引き上げまたは給付水準の低下が避けられない状態になっています。そこで公的年金制度では、一定の積立金を保有し、その運用収入や元本を活用する財政計画を立てています。 2004年の年金制度改正において、積立金はおおむね100年をかけて、計画的に活用することになりました。

 年金積立金の水準(積立度合)の見通し

 積立金をどの程度保有しているかを見るための指標として積立度合というものがあります。これはおおよそ積立金が支出の何年分あるのかを示しています。令和元(2019)年財政検証の結果によると、以下のような見通しとなっています。

ガイド経済成長と労働参加が進むケースⅠ~Ⅲでは、2040年代頃まで積立度合が上昇し、その後、積立金を活用することによって1に向かっていくニャ。でも、経済成長が低いケースⅣやⅤでは、積立度合も ほとんど上昇せず、 ケースⅥでは、積立金が途中でなくなってしまう(積立度合が0となる)見通しだニャ。

ガイドたしか所得代替率でみると、ケースⅢなら50%を上回るけど、ケースⅥなら36~38%程度まで低くなっちゃうんだよね・・・



ガイド言い換えると、経済が成長せず、万が一積立金を使い切ってしまうようなことがあっても、30%台の所得代替率を維持できる見込みではあるってことだニャ


※5年ごとに行う財政検証において、そのつど、年金積立金は100年かけて使っていく想定をしています。
公的年金においては、保険料収入に加え、国庫負担とこの積立金が財源となっています。ただし、積立金は被保険者から納められた保険料の一部であり、将来の給付財源となることに注意して運用しなければなりません。したがって、積立金の運用は、被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行っています。こうした運用により、将来にわたって公的年金制度の運営が安定するように積立金を役立てています。

 

 年金財政の見通し 
 公的年金の財政検証では、保険料収入、国庫負担、積立金の運用による収入と支出のおおむね100年にわたる見通しを作成しています。令和元年(2019)年財政検証のケースⅠ、Ⅲ、Ⅴについて、厚生年金国民年金の収入、支出および積立金の見通しは次のとおりでした。令和97(2115)年度の積立度合が1となる、すなわち令和97(2115)年度開始時の積立金が令和97(2115)年度における支出の1年分となるような給付水準調整を行った上で、おおむね100年にわたる財政見通しを示しています。

国民年金の財政見通し令和元(2019)年財政検証)

厚生年金の財政見通し(2019(令和元)年財政検証)

ガイド2050年あたりから積立金が一気に減少する見通しだけど、これはどうして?

ガイド給付水準が下がりすぎないように、人口構成が最も高齢化する時期に集中的に年金の支給にあてるんだニャ



 年金積立金の運用状況

 厚生年金と国民年金の積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)等によって管理・運用されています。国内外の債券と株式が主な資産内訳です。

出典:「2020年度業務概況書」(年金積立金管理運用独立行政法人)

ガイドどうして積立金を債権や株式で運用するの? そのまま積み立てておけばいいんじゃないの?


ガイドそういう意見もあるニャ。だけど、積立金の運用収益も給付に使うことによって将来の年金水準を高める効果もあるニャ。運用がマイナスになる年もあるけど累積でみれば運用実績はプラスになっているニャ

ガイドそうか、長期でみればプラスなのね





 GPIFの運用実績については、単年度で見るとマイナスの年度もありますが、公的年金は長期にわたって財政の均衡を図っていく制度なので、ある程度の期間でみて評価するべきといえます。そこで、自主運用を開始してからの累積でみると、運用実績はプラスの収益となっています。

2001年度(自主運用開始)からの累積収益額  95兆3,363億円
2001年度(自主運用開始)からの平均収益率     3.61%

出典:「2020年度業務概況書」(年金積立金管理運用独立行政法人)

運用資産の細かい内訳や運用状況、今後の方針などにつきましては、GPIFのサイトをご覧ください。
年金積立金管理運用独立行政法人

年金財政には「実質的な運用利回り(スプレッド)」が大事 
 公的年金は、給付も負担も賃金水準に応じて変動します。そのため、年金財政を見るときは、賃金上昇率を上回った分の「実質的な運用利回り」と言われる利回りが重要になります。

ガイド2019年財政検証の経済前提マンガで読む公的年金制度 第8話と比べて、GPIFの運用実績は大丈夫なの?



ガイド公的年金は、給付も負担も賃金水準に応じて変動するニャ。だから、年金財政を見るときには賃金上昇率を上回った分の「実質的な運用利回り(スプレッド)」が重要になるニャ。この「実質的な運用利回り(スプレッド)」は、2019年財政検証の前提を上回っているんだニャ

 「実質的な運用利回り(スプレッド)」とは? 
 公的年金の年金額は、長期的にみると、賃金水準が上がるにつれて増えていきます。また、保険料収入も賃金に一定の保険料率を掛けて計算するため、賃金水準の上昇とともに増加します。ですから、公的年金の財政にとっては、積立金の運用で得られる収入のうち、賃金上昇を上回る分が、実質的な収益となります。このため、実際の運用結果を評価するときには、運用利回りから賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り(スプレッド)」を考えます。

実質的な運用利回り = 運用利回り - 賃金上昇率

 この「実質的な運用利回り」の実績と財政検証の前提とを比較して、年金財政への影響を評価します 。令和元(2019)年財政検証では、実質的な運用利回りを0.4%~1.7%と設定しており、これを実現できるかどうかが重要になります。そして、実際の運用結果をみてみると、実質的な運用利回りは、平成13(2001)年度から令和2(2020)年度までの平均で3.78%となっています。このように、実質的な運用利回りでみると、実際の運用結果は財政検証の前提を上回っているので、公的年金の財政にとってはプラスになっていることがわかります。

参考:公的年金の積立金運用(厚生労働省)
参考:
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
参考:
最新の運用情報(年金積立金管理運用独立行政法人)

 年金の財源のうち、積立金は約1割
 我が国の公的年金制度は、賦課方式を基本とした財政方式をとっているため、年金を給付するための財源は、保険料が中心となっています。また、主に基礎年金の給付を賄うために国庫負担があり、保険料と国庫では賄いきれない部分を積立金で補っています。保険料、国庫負担、積立金それぞれの財源の見通しを以下に示していますが、長期的にみると、保険料が全体の財源の約7割、国庫負担が約2割、積立金が約1割となっています。

 まとめ

・少子高齢化が進行しても安定して年金を給付するため、年金積立金を活用(元本と運用収入の利用)している。
・年金積立金は、おおむね100年かけて使っていく想定で運用
・年金積立金(厚生年金・国民年金)は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって債券や株式などで資産運用がされている。
・実質的な運用利回り(運用利回りから賃金上昇率を差し引いたもの)は、令和元(2019)年財政検証の前提を上回っている。
・年金積立金が長期的な給付の財源に占める割合は約1割
厚生労働省※ 出典/転載:積立金の役割 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

いっしょに検証!公的年金(第7話)~給付と負担をバランスさせる 仕組みについて学びます


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』が公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第7話「給付と負担をバランスさせる仕組み」について学習します。













 少子高齢化が進んでも、公的年金制度はなくなりません
マンガで読む公的年金制度 第5話で紹介したように、現在の日本の公的年金の財政方式では、現役世代から納められる保険料が、そのときの公的年金の主な財源になります。そのため、少子高齢化が進行して保険料を納める現役世代が少なくなると、財源となる保険料収入も減少し、支出(年金を給付するために必要な額)とのバランスが取れなくなる可能性があります。そういった事態を避けるために、現在の公的年金制度には、将来にわたって制度を安定させるための仕組みが導入されています。

 公的年金財政を持続させる仕組み

 平成16(2004)年に改正する前の制度では、5年ごとに給付水準を固定した上で、保険料の段階的な引上げ計画を再計算する「財政再計算」が行われてきました。また、この財政再計算の実施に併せて、公的年金の財政バランスを取るために、負担水準と給付水準どちらも見直すような制度改正を実施してきました。

 段階保険料方式と賦課方式
 厚生年金の前身である労働者年金保険を創設した当初の保険料率は、月収の10%程度に設定され、将来にわたって一定水準の保険料率とする見込みでした。これは、積立方式を基本とする考え方となります。しかし、戦後、当時の混乱期における被保険者と事業主の負担能力を考慮して、暫定的に低い保険料率(3%)を設定したことから、保険料率を将来に向けて段階的に引き上げていく段階保険料方式を採用することとなりました。さらに戦後の経済成長に合わせて年金の充実が図られてきましたが、このときも保険料は直ちに引き上げるのでなく、将来に向けて段階的に引き上げていくこととされたため、将来の保険料の引上げ幅が大きくなるとともに、賦課方式を基本とする財政方式に変わっていくこととなりました。

しかし、想定以上のスピードで少子高齢化が進行したため、財政再計算のたびに保険料の引上げが前回の想定以上に必要となり、そのたびに給付水準も引き下げてきました。そこで、2004(平成16)年に年金財政の枠組みを抜本的に改正し、保険料の引上げスケジュールを固定した上で、自動的に財政のバランスを取る仕組みを導入しました。

  • 1. 上限を固定した上での保険料の引き上げ
  • 2. 基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げ
  • 3. 積立金の活用
  • 4. 財源の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み(※マクロ経済スライド)の導入

 平成16(2004)年制度改正の詳細

(1)上限を固定した上での保険料の引き上げ

・平成29(2017)年度以降の保険料水準の固定(保険料水準は、引上げ過程も含めて法律に明記)

・厚生年金: 18.3%(労使折半)(平成16(2004)年 10月から毎年0.354%引上げ)

・国民年金: 16,900円 ※(平成16(2004)年度価格(2(平成17(2005)年4月から毎年280円引上げ)

※ 平成31(2019)年4月から、第1号被保険者に対して産前産後期間の保険料免除制度が施行されることに伴い、平成16(2004)年度価格で国民年金保険料が月額100円引き上がり、17000円となりました。

(2)基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げ 
 平成21(2009)年度以降、基礎年金給付費に対する国庫負担割合を2分の1とする。

(3)積立金の活用
 おおむね100年間で財政均衡を図る方式とし、財政均衡期間の終了時に給付費1年分程度の積立金を保有することとして、計画的に積立金を活用し、後世代の給付に充てる。積立金についてはマンガで読む公的年金制度 第6話をご覧ください。

(4)財源の範囲内で給付水準を自動調整する仕組み(※マクロ経済スライド)の導入  
 現役世代の人口減少とともに年金の給付水準を調整。モデル年金の給付水準について、今後の少子高齢化の中でも、年金を受給し始める時点で、現役サラリーマン世帯の平均所得の50%を上回る見通し。
※モデル年金の現役サラリーマン世帯の平均所得に対する割合(所得代替率
61.7%【(令和元(2019)年度】→ 50.8%~51.9%【(令和28(2046)~令和29(2047)年度以降令和元(2019)年財政検証結果(ケースⅠ~Ⅲ))】

 こうした制度改正により厚生年金の保険料率および国民年金の保険料に上限を設けられたため、保険料収入や国庫負担、積立金からの収入が固定され、その固定された財源の範囲内で給付水準を自動的に調整することで、給付と負担の均衡が図られる財政方式に変わっていったのです。そして、平成16(2004)年改正までの「財政再計算」に代わり、少なくとも5年ごとに、おおむね100年という長期の財政収支(保険料収入や給付費等の収支)の見通しや、マクロ経済スライドに関する見通しを作成し、公的年金財政の健全性を検証する「財政検証」を行うこととなりました。

 平成16(2004)年改正前と改正後の比較

  改正前 改正後
保険料

財政再計算において、給付設計(見直す場合もあり)を賄うことのできる保険料の将来見通しを作成

次期再計算までの間の保険料(率)を、当面の間の保険料(率)として法律に規定

将来の保険料水準の上限を固定

保険料水準の引き上げ過程も含めて法律に明記することにより、毎年、自動的に引上げ

※保険料水準の引上げは2017年度に上限に到達し終了

年金額改定

平成元(1989)年以降は、年金額は消費者物価指数に基づき完全物価スライド(制度改正は不要)

賃金上昇等を踏まえた年金額改定については、5年に一度の再計算時に法律改正して年金額に反映。(賃金再評価や基礎年金額の改定) ※平成12年改正により既裁定者に関しては物価スライドのみ

新規裁定者は賃金変動率、既裁定者は物価変動率に基づき改定を原則とした上で、給付水準調整期間は、マクロ経済スライド調整分を控除

毎年度、自動的に改定

財政フレーム
(給付と負担の均衡を図る仕組み)

再計算における保険料負担の見通しを踏まえて必要となる場合には、その都度、給付設計等の見直しを実施

財源の範囲内で給付水準を自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド)により、給付と負担の均衡を自動的に図る

積立金

原則として、その「運用収入」を活用し、高齢化が進んだ将来の保険料負担を抑制するためのもの

今後、約100年間の高齢化に対応するため、運用収入のみならず原資についても給付費に充てる

制度(法律)上の財政再計算と財政検証の役割

将来の保険料の見通しを作成した上で適切な保険料を設定する

給付と負担の均衡を自動的に図る仕組みの下で、マクロ経済スライド調整の適用期間の見通しを作成し年金財政の健全性を検証するとともに、マクロ経済スライド調整の終了年度を決定する

 マクロ経済スライドってなに?

 マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役世代の人口減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

 マクロ経済スライドについて

 マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役世代の人口減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

 マクロ経済スライド導入の経緯

 平成16(2004)年に改正する前の制度では、将来の保険料の見通しを示した上で、給付水準と当面の保険料負担を見直し、それを法律で決めていました。しかし、少子高齢化が急速に進む中で、財政再計算を行う度に最終的な保険料水準の見通しは上がり続け、将来の保険料負担がどこまで上昇するのかという懸念もありました。そこで、平成16(2004)年の制度改正で、将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように、保険料水準の上限を定めるとともに、上限に到達するまでの毎年度の保険料水準を法律で決めました。また、国が負担する割合を引き上げ、積立金も活用していくことにより、公的年金財政の収入を決めることとしました。この収入の範囲内で給付を行うため、「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整する仕組みを導入したのです。この仕組みを「マクロ経済スライド」と呼んでいます。

 具体的な仕組み
(1)基本的な考え方
 年金額は、賃金や物価の上昇に応じて増えていきますが、一定期間、年金額の伸びを調整する(賃金や物価が上昇するほどは増やさない)ことで、保険料収入などの財源の範囲内で給付を行いつつ、長期的に公的年金の財政を運営していきます。5年に一度行う財政検証のときに、おおむね100年後に年金給付費1年分の積立金を持つことができるよう、年金額の伸びの調整を行う期間(調整期間)を見通しています。その後の財政検証で、年金財政の均衡を図ることができると見込まれる(マクロ経済スライドによる調整がなくても収支のバランスが取れる)場合には、こうした年金額の調整を終了します。

(2)調整期間における年金額の調整の具体的な仕組み
 マクロ経済スライドによる調整を行う間は、賃金や物価による年金額の伸びから、「スライド調整率」を差し引いて、年金額を改定します。「スライド調整率」は、現役世代が減少していくことと平均余命が伸びていくことを考えて、「公的年金全体の被保険者の減少率の実績」と「平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)」で計算されます。

(3)名目下限の設定
 現在の制度では、マクロ経済スライドによる調整は「名目額」を下回らない範囲で行うことになっています。詳しい仕組みは、下の図を見てください。
※平成30(2018)年度以降は、「名目額」が前年度を下回らない措置を維持しつつ、賃金・物価の範囲内で前年度までの未調整分の調整を行う仕組みとなります。

(4)調整期間中の所得代替率
 マクロ経済スライドによる調整を行う間は、所得代替率は低下していきます(所得代替率について詳しくは、マンガで読む公的年金制度 第9話をご覧ください)。調整期間が終わると、原則、所得代替率は一定となります。

 財政検証は定期的に実施しています
 公的年金の財政バランスは、人口構成や社会・経済情勢の変化によって刻々と変わります。あらかじめ100年先まで収入や支出などの見通しを立てていても、実際に見通しどおりになるとは限りません。そこで、「財政検証」では、少なくとも5年ごとに人口や経済の実績を織り込んで、新しい見通しを作成します。

ガイド公的年金の財政バランスは、人口構成や社会・経済情勢によって刻々と変わるニャ。財政検証は、いわば公的年金の定期健康診断だニャ


 まとめ
・平成16(2004)年度まで行われていた「財政再計算」は、給付水準を維持する場合に必要な保険料を算定するもの
・平成16(2004)年に少子高齢化が進行しても財源の範囲内で給付費をまかなえるよう、制度を改正。財源にあわせて給付の水準を自動調整する仕組み(マクロ経済スライド)を導入し、長期的に財政のバランスをとる枠組みを構築
・平成16(2004)年改正に伴い「財政再計算」は、将来の収支見通し等を作成し、公的年金財政の検証を定期的に行う「財政検証」へ移行

厚生労働省※ 出典/転載:給付と負担をバランスさせる仕組み | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp

いっしょに検証!公的年金(第8話)~公的年金財政の重要な要素について学びます


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』が公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第8話「公的年金財政の重要な要素」について学習します。







 財政検証では、おおむね100年という長い期間にわたって、公的年金財政の見通しを立てています。そして、この見通しを作成するには、人口や経済といった社会の状況がどのように推移するかという前提が必要になります。ただし、社会の状況は変化し続けていて、不確実なものです。そのため、財政検証の前提は、一種類だけではなく、幅広く複数のケースを設定しており、その上で将来見通しの作成を行っています。ですので、財政検証の結果は将来を正確に予測するものではありません。完全に見通しどおりにはいかないことを前提に、ある程度の幅をもって解釈する必要があります。このため、少なくとも5年ごとに実績を織り込んで、新しい見通しを作成しています。令和元(2019)年財政検証結果については、第9話からご紹介していますが、まず、このページでは、 令和元(2019)年財政検証の前提となった人口と経済の見通しをご紹介します。

人口の前提

2019(令和元)年財政検証では、将来の人口の見通しについて、以下のデータを使用しました。

●「日本の将来推計人口(2017(平成29)年4月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所

ガイド2019年財政検証のいろいろな見通しは、この「高位」「中位」「低位」の各前提を使って作ったニャ



 参考:最近の人口の動向

ガイド出生率は、一人の女性が一生に産む子どもの数を表しているのよね  

                                   


   1990年から2065年までの人口構成の推移

ガイド2065年には、20歳未満の数が1割ちょっとしかいなくなっちゃう見通しなんだね




ガイド日本はもう何年も前から高齢化世界一って言われてるけど、この見通しだともっと進むのか……




ガイド財政検証では、こうした厳しい見通しを前提に計算しているんだニャ


 労働力率の前提
 令和元(2019)年財政検証では、労働力率の前提は、以下のデータに準拠しています。
・2019年3月にとりまとめられた「労働力需給推計」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)に準拠して設定
・将来の経済状況の仮定に応じ、 「経済成長と労働市場が進むケース」、「経済成長と労働参加が一定程度進むケース」、「経済成長と労働参加が進まないケース」のいずれかを使用

 労働力率・就業率の推移と見通し
「労働力需給の推計(平成31(2019)年3月)」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

お義姉さん私が働くようになると、労働力率が上がることになるのね





ミーコもっと女性や高齢者が働けるように、長く多様な形で働ける社会をつくっていくことが重要だニャン



 被保険者数の将来見通し

被保険者数の将来推計は、このような人口の推移や労働力率の見通しを基礎データとして使用しています。

 被保険者数の将来見通し
令和元(2019)年財政検証では、被保険者数の将来推計は、以下のデータを基礎として算出しました。

人口:「日本の将来推計人口(平成29(2017)年4月推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)
労働:「労働力需給推計(平成31(2019)年3月)」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

マクロ経済スライドの調整率は、公的年金全体の被保険者の減少率の実績に、平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)を加えたものに基づいています。令和元(2019)年の財政検証における公的年金被保険者数の減少率、マクロ経済スライドの調整率の見通しは上表のとおりとなります。なお、この調整率は令和元年(2019)年財政検証における見通しであり、マクロ経済スライドの実際の値はそのときの被保険者数に基づいて計算されます。

 経済の前提

 財政検証で用いる経済の前提は、賃金上昇率物価上昇率運用利回りについて、一定の前提を置いています。また、こうした経済前提の設定には客観的な見方が求められるため、2019年財政検証では、社会保障審議会年金部会に設置された年金財政における年金財政における経済前提に関する専門委員会で、経済・金融の専門家による議論を踏まえて設定しました。その結果、足下の前提については、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算(令和元(2019)年7月31日)」の「成長実現ケース」、「ベースラインケース」に準拠して設定し、長期の前提については、内閣府試算を参考にしつつ、長期的な経済状況を見通す上で重要な全要素生産性(TFP)上昇率を軸とした、幅の広い複数ケース (6ケース)を設定しました。

ガイド冒頭の、「人口の高位・中位・低位」と、この「6ケースの経済の前提」を組み合わせていろいろなパターンの見通しができたんだニャ


 令和元(2019)年財政検証で使われた経済前提

 令和11(2029)年度以降の長期の経済前提

 令和元(2019)年財政検証では、内閣府試算を参考にしつつ、長期的な経済状況を見通す上で重要な全要素生産性(TFP)上昇率を軸とした、幅の広い複数ケース (6ケース)を以下のとおり設定しました。

 令和10(2028)年度までの足下の経済前提

 令和元(2019)年財政検証では、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算(令和元(2019)年7月31日)」の「成長実現ケース」、「ベースラインケース」に準拠して設定しました。

 令和10(2028)年度までの足下の経済前提の数値

参考: 最近の物価、賃金や運用利回りなどの経済の動向
こちらの表をご覧ください。

 まとめ

・令和元(2019)年財政検証の前提となる人口と経済は、人口は「高位・中位・低位」、経済は「ケースⅠ~ケースⅥ」を設定し、各パターンを組み合わせて、年金財政について幅広く複数の見通しを作成
・人口の前提は、国立社会保障・人口問題研究所が取りまとめた結果に基づいて設定
・経済の前提は、客観性を確保するため、外部の金融・経済の専門家による専門委員会の検討結果に基づいて設定

厚生労働省※ 出典/転載:公的年金財政の重要な要素 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

いっしょに検証!公的年金(第9話)~所得代替率と年金の 実質価値について学びます


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』が公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第9話「所得代替率と年金の実質価値」について学習します。










 自分の公的年金は、いったいどのくらい給付されるのか。それは、多くの方が関心を持っている事柄だと思います。その前に、まず公的年金の給付水準はどのようなものさしで考えるのか、それを見ていきましょう。

 公的年金はモデル年金をものさしとして使用するモデル年金とは
 夫が厚生年金に加入して平均的な男子賃金で40年間就業し、その配偶者が40年間にわたり専業主婦の夫婦である場合の2人分の基礎年金と夫の厚生年金の合計額のことです。実際に受給できる年金額は、現役期の働き方により一人一人異なります。このため、財政検証では加入期間や賃金について上記の仮定を置いたモデル年金をものさしとして使っています。なお、令和4(2022)年度のモデル年金の年金額は、月額22.0万円となっています。

モデル年金の年金額(月額)
 老齢基礎年金(一人分)①  64816円

 老齢厚生年金 ②      89961
 合計(①×2+②)    219593円               

 公的年金の給付水準は「所得代替率」で考え
「所得代替率】とは、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合か、を示すものです。たとえば、所得代替率50%といった場合は、そのときの現役世代の手取り収入の50%を年金として受け取れるということになります。

ガイド「所得代替率」は主に厚生年金に対して使われているニャ




 公的年金において単純に「所得代替率」といったときには、モデル年金の男子の平均的な手取り賃金に対する比率を意味します。
今回の財政検証の足下の給付水準となる令和元(2019)年度の所得代替率については、以下のとおりとなっています。

 

 なぜ所得代替率が必要か

 公的年金の特徴に、額ではなく一定の価値を保障するというものがあります。年金の「金額」を固定すると、インフレや給与水準の上昇があったときに、年金の価値が下がってしまう(※)恐れがあります(価値が減少することについては、マンガで読む公的年金制度 第5話をご覧ください)。すなわち、年金の名目額はインフレ等を踏まえると、年金の実質価値を表しておらず公的年金の水準を図る指標としては適切ではありません。このため、公的年金ではモデル年金と所得代替率を設定し、給付開始時の現役世代の手取り収入と比べてどの程度の年金額を受け取れるか、という指標(ものさし)を設けているのです。この指標は、現役世代の賃金に対する年金の相対的な水準を測るものになります。
※これを避けるために、公的年金は、年金額が賃金や物価の変動に応じて改定される仕組みがあります。

 所得代替率は所得で異なる
 所得代替率は、世帯の所得水準によって異なり、世帯の一人あたりの所得が低いほど高くなります。高所得の世帯は個人年金や貯蓄などで老後に備えることができますが、所得の低い世帯は、現役時代のうちに十分な老後の備えをすることが困難かもしれません。そのため、一人当たりの平均所得が高い世帯ほど所得代替率が低くなります。このような背景を踏まえ公的年金では、世帯構成や現役時代の所得の違いを軽減するように設計されています。これを「所得の再分配」ということもあります。所得の再分配については、マンガで読む公的年金 第4話をご覧ください。

ガイドもちろん、実際に支給される厚生年金は現役時代の収入に基づいて算出するから、現役時代の所得が高い世帯の年金額が、所得の低い世帯の年金額より低くなるということはないニャ

 将来の年金額は実質的な価値でみます
 仮に将来の年金額が現在の倍になっていたとしても、物価も同様に現在の倍になっていた場合、購買力については現在も将来も変わりません。このように、将来の年金額をみる場合は、名目額でみるのではなく、その実質的な価値でみる必要があります。将来の年金額を実質化する際には、その年金額でどの程度購入できるかが重要な指標となるため、物価水準に応じた経済的価値でみることが一般的です。財政検証においても、将来の年金額については、物価上昇率を用いて現在の価値に割り戻した値で示しています。所得代替率は現役世代の賃金に対する年金の相対的水準を測るものですが、所得代替率が同じ(すなわち賃金に対する年金の比率が同じ)であっても、賃金の実質価値が上昇し、現役世代の購買力が上昇すれば、年金の購買力は上昇します。そこで、将来の年金水準を確認する際には、所得代替率に加え、物価上昇率を用いて現在の価値に割り戻した年金額も示しています。物価上昇率を用いて現在の価値に割り戻した年金額は購買力の絶対的水準、所得代替率は現役世代の賃金に対する相対的水準を表すものとなり、財政検証においては、その両方で年金の水準を確認しています。

 まとめ

・公的年金の給付水準を表すものさしとして「所得代替率」を使っている。
・所得代替率とは、給付開始時における年金額の現役世代の手取り収入に対する割合
・※モデル年金:夫婦2人の基礎年金と夫の厚生年金の合計額
・現役時代の所得が高いほど所得代替率は低くなり、所得が低いほど所得代替率は高くなる。公的年金制度が持つこのような機能を所得再分配機能という。
・将来の年金額については、名目値ではなく、物価水準に応じた実質的な価値でみる必要がある。
厚生労働省※ 出典/転載:所得代替率と年金の実質価値 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

いっしょに検証!公的年金(第10話)~給付水準の将来見通しについて学びます


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』が公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第10話「給付水準の将来見通し」について学習します。









 将来の年金額は実質的な価値でみます

仮に将来の年金額が現在の倍になっていたとしても、物価も同様に現在の倍になっていた場合、購買力については現在も将来も変わりません。このように、将来の年金額をみる場合は、名目額でみるのではなく、その実質的な価値でみる必要があります。

将来の年金額を実質化する際には、その年金額でどの程度購入できるかが重要な指標となるため、物価水準に応じた経済的価値でみることが一般的です。

財政検証においても、将来の年金額については、物価上昇率を用いて現在の価値に割り戻した値で示しています。

所得代替率現役世代の賃金に対する年金の相対的水準を測るものですが、所得代替率が同じ(すなわち賃金に対する年金の比率が同じ)であっても、賃金の実質価値が上昇し、現役世代の購買力が上昇すれば、年金の購買力は上昇します。そこで、将来の年金水準を確認する際には、所得代替率に加え、物価上昇率を用いて現在の価値に割り戻した年金額も示しています。

物価上昇率を用いて現在の価値に割り戻した年金額は購買力の絶対的水準、所得代替率は現役世代の賃金に対する相対的水準を表すものとなり、財政検証においては、その両方で年金の水準を確認しています。

 所得代替率と実質的な年金額の見通し

2019(令和元)年財政検証のケースⅠ、Ⅲ、Ⅴにおける、モデル年金の給付水準の見通しは次のとおりでした。

ガイド年金額や手取り収入は物価上昇率で割り戻した金額だから購買力を表しているのね




ガイド実質賃金の上昇がある程度あれば、マクロ経済スライド調整があってもモデル年金の購買力は低下しないのね


                                              


ガイド基礎年金のマクロ経済スライド調整期間が長くて調整が大きいのが課題だニャ



このように、2019(令和元)年財政検証では2019(令和元)年度の所得代替率が61.7%ですが、マクロ経済スライドによる給付水準の調整が行われる結果、最終的な所得代替率はケースⅠで51.9%、ケースⅢで50.8%となる見込みです。一方、年金額は、2019(令和元)年度には22.0万円でしたが、それぞれのケースでマクロ経済スライドによる給付水準調整が終了する年度でみるとケースⅠの場合、2046(令和28)年度で26.3万円、ケースⅢの場合、2047(令和29)年度で24.0万円になる見込みです。

また、マクロ経済スライドは、報酬比例部分(厚生年金部分)についてはケースⅠの場合は調整を行う必要がなく、ケースⅢの場合は、2025(令和7)年度で終了する見通しとなっています。また、基礎年金部分については、ケースⅠの場合2046(令和28)年度、ケースⅢの場合は2047(令和29)年度に終了する見通しです。

一方、ケースⅤの場合、マクロ経済スライドによる給付水準の調整によって、2043(令和25)年度に所得代替率が50%に到達する見込みです。仮に、その後も財政のバランスが取れるまで機械的に給付水準調整を進めた場合、報酬比例部分は2032(令和14)年度、基礎年金部分は2058(令和40)年度に調整が終了する見通しで、所得代替率は44.5%、2058(令和40)年度の年金額は20.8万円となる見込みです。

 マクロ経済スライドって?

マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

マクロ経済スライドについてはマンガで読む公的年金制度 第7話の「マクロ経済スライドってなに?」をご覧ください。

なお、次の財政検証までに所得代替率が50%を下回ると見込まれる場合には、「調整期間の終了について検討を行い、その結果に基づいて調整期間の終了その他の措置を講ずる」こととされていますが、2019(令和元)年財政検証はこれに該当していませんでした。
(次の財政検証の予定時期(2024(令和6)年度)における所得代替率は50%を下回る見込みとはなっていませんでした。)

2019(令和元)年財政検証では、人口や経済については複数の前提を設定しており、それぞれの前提における最終的な所得代替率は次のとおりでした。

ガイド人口や経済が変わると、所得代替率も結構変わってくるのね




賃金水準別の給付水準

2019(令和元)年財政検証において、モデル年金の給付水準だけでなく、賃金水準が異なる世帯における給付水準をケースⅠ、Ⅲの場合で示したものが以下の図です。

年金額は世帯の賃金水準が高いほど上昇することを示しており、右上がりの直線(赤線)となっています。一方、所得代替率は世帯の賃金水準が高いほど低下するため、右下がりの曲線(緑線)となっています。

 公的年金の負担と給付の構造

ガイドこうやってグラフで見ると、賃金水準が上がる(右にいく)ほど所得代替率が下がるのが、よくわかるわね




ガイドでも、給付額をみると、賃金水準が高いほど給付額も高くなっているんだね




 まとめ
・公的年金の給付水準を表すものさしとして「所得代替率」を使っている。
・所得代替率とは、給付開始時におけるモデル年金額の現役世代の手取り収入に対する割合
・モデル年金の所得代替率は、一定の経済成長を仮定するケース(ケースⅠ~Ⅲ)では将来も5割を上回る見通し
・一方、より低い成長を仮定するケース(ケースⅣ~Ⅵ)では財政のバランスを取るようにすると5割を下回る見通し
・※モデル年金:夫婦2人の基礎年金と夫の厚生年金の合計額
・現役時代の所得が高いほど所得代替率は低くなり、所得が低いほど所得代替率は高くなる。
・実質的な年金額は物価や賃金の伸びに応じて上昇していく見込み。

厚生労働省※ 出典/転載:給付水準の将来見通し | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)


いっしょに検証!公的年金(11話)~年金を充実させるために学びます


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』が公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第11話「給付水準の将来見通し」について学習します。














 現役世代はもっと働かないといけないの? 
 財政検証
結果をみると、経済成長と労働参加が進まないケースに比べ、経済成長と労働参加が進むケースの方が、年金財政にプラスであることが分かりました。ただ、この結果をみて、年金制度を支えるために現役世代がもっと働かないといけないのか、と思う方もいらっしゃったのではないかと思います。まずは、長く働くことが自分自身の年金額にどういう影響を与えるかをみていきましょう。

 長く働くことによる年金額への効果
 令和元(2019)年財政検証結果をみると、ケースⅢの場合、所得代替率については、2019年度は61.7%ですが、マクロ経済スライドによる給付水準の調整により、令和29(2047)年度には50.8%まで低下する見込みとなっています。ただし、この見込みは、20歳から59歳までの40年間就労し、65歳から年金を受給した場合のものであることに注意が必要です。このとき、令和元(2019)年度と同水準の所得代替率を確保するためには、何歳まで就労すればいいかについて確認したのが下記の図になります。この場合、60歳以降も66歳9月まで就労し、その間、繰下げ受給を選択すれば、現在の水準と同程度の所得代替率となることとなります。これを経済前提がより厳しいケースⅤの場合でみても、70歳まで働けば、今よりも高い所得代替率を確保できる見通しとなっています。我が国の高齢者は以前に比べ,平均余命が伸びるに伴い、健康寿命も伸びている傾向にあります。また、少子高齢化が進展し、現役世代の人口の減少が見込まれるなか、高齢者の労働力は今後ますます貴重なものになってくると思われます。高齢者になってもその人らしく、いきいきと働ける社会を構築することが重要ではないでしょうか。

 長く働くことは我が国の経済や社会保険制度にもメリット

 高齢者になっても可能な限り長く働くようになると、高齢者も日本経済を支えることになるため、日本経済が大きくなります。
一方、公的年金が日本経済に占める割合は変わらないため、日本経済が大きくなると公的年金の給付に使える金額も大きくなります。

ガイド同じ1切れでも、MサイズのパイよりLサイズのパイの方がたくさん食べられるニャ!



 このように、長く働き、働く人が増えれば、その人の年金額は長く働くことによる年金額の増に加え、日本経済が大きくなることによる年金額の増の影響も受けることになります。働く人が増えること以外でも、景気が良くなり、日本経済が活性化することによっても、給付水準が改善することが十分に考えられます。みんなで、子どもを産み育てやすい社会にしながら、同時に日本経済をより良くしていくことが大切ではないでしょうか。そのためにも、皆さんが安心して生活できる仕組みである公的年金制度を長期にわたって持続していくことが重要になります。

 まとめ
・公的年金の所得代替率は低下する見通しとなっているが、経済成長や労働参加が進まないケースでも、より長く働くことにより、今よりも高い給付水準の年金額を確保することも可能な見通し
・長く働くことは、その個人の年金額が増えるだけではなく、日本経済がより成長することにより、年金財政が良くなるメリットもある。

厚生労働省※ 出典/転載:年金を充実させるために | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

いっしょに検証!公的年金(12話)~これからの年金制度について学びます


 「いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~』が公開されています。みんなで正しい知識を学びましょう。なお、筆者は、団塊世代の「石辺金吉」こと『ざ~やん』で浅学菲才な上、遠視でルーペなしでは文字も読めないため文字を大きくしたり、年号を和暦・西暦に加工したりすることがあること了承いただきたいと思います。今回は、第12話「これからの年金制度」について学習します。今回で、最終回です。ご苦労様でした。







 オプション試算について
 今回の財政検証結果をみると、経済成長と労働参加が進むケース(ケースⅠ~Ⅲ)では所得代替率は50%を確保できるものの、経済成長と労働参加が一定程度進むケース(ケースⅣ、Ⅴ)では所得代替率が50%を割り込むことが確認されました。

ガイド経済成長の度合いによっては、所得代替率が40%近くまで下がるのか……経済成長が低くても、年金の水準が低くなりすぎないようにできるのかな?


ガイドこうした背景もあって、国では、今後、社会状況や経済状況が変わっていっても、十分な年金が受け取れるようにするには、どんな制度にしていけばいいかを考えているんだニャ

 こうした背景の下、今回の財政検証では「もし年金制度が変わったら、将来の姿はどうなるか」という視点に基づいて、試算を行いました。これが「オプション試算」と呼ばれるものです。

 オプション試算の内容
 オプション試算では、次の2つのオプション試算と参考試算について行っています。

   オプションA 被用者保険の更なる適用拡大
 働き方の多様化が進む現在の日本において、働き方にかかわらず年金の2階部分(厚生年金)を受け取れることは、公的年金の意義から見ても非常に重要です。そのため、オプションAとして、より多くの労働者が厚生年金の適用を受けられるようになった場合の試算を行いました。
 現行の制度では、厚生年金に加入できるのは正社員(正規職員)、または正社員に近い労働時間・労働内容のパートやアルバイトに加え、2016年10月からは、ⅰ週労働時間20時間以上、ⅱ月額賃金8.8万円以上、ⅲ勤務期間1年以上見込み、ⅳ学生以外、ⅴ従業員501人以上の企業等の要件を満たす短時間労働者となっています。オプションAでは、この制限を緩和し、

A―① 現行の企業規模要件を廃止した場合(約125万人の拡大を想定):
A―② 現行の企業規模要件、賃金要件を廃止した場合(約325万人の拡大を想定)

ただし、学生、勤務期間1年未満の者、非適用事業所の雇用者は対象外
A―③ 一定の賃金収入(月5.8万円以上)がある全ての被用者へ適用拡大した場合(約1050万人の拡大を想定)
 なお、学生、勤務期間1年未満の者、非適用事業所の雇用者についても適用拡大の対象の3種類のケースで、厚生年金への適用拡大を行った場合を考えています。これは、厚生年金の加入者が増えることで、どの程度将来の年金水準が改善するかをみるものです。

   オプションB 保険料拠出期間の延長と受給開始年齢の選択
平均寿命
が延び、同時に高齢者人口が増加していく中で、60歳を過ぎても働き続ける方が多くなっています。そのため、オプションBは、「より長く多様な形となる就労の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤を充実させる」という基本的な考え方のもと、就労期の長期化による年金水準の確保・充実について検討することを目的として、以下の4つの制度改正を仮定した試算となっています。また、これら4つの制度改正を全て実施した場合の試算も行っています。

B―① 保険料拠出期間の延長 
 現在の制度では、国民年金保険料を納付する期間は最大40年(20歳から60歳まで)となっています。これを45年間(20歳から65歳まで)とし、納付年数が伸びた分に合わせて基礎年金を増やす仕組みにした場合をみるものです。

B―② 在職老齢年金の見直し

65歳以上の在職老齢年金(高在老)の基準を緩和・廃止した場合をみるものです。

B―③ 厚生年金の加入上限の見直し

厚生年金の加入年齢の上限を現行の70歳から75歳までに延長した場合をみるものです。

B―④ 受給開始年齢の選択 
 個人の選択により繰下げ受給や就労期間を伸ばすことで給付水準がどの変化するかをみることを目的としたミクロ試算です。他のオプション試算と異なり、給付水準調整期間が変化するなどのマクロの財政影響は生じないものとなっています。

・参考試算 平成28(2016)年年金改革法による年金額改定ルールの効果

 今回のオプション試算では、参考試算として平成28(2016)年年金制度改革法で成立した年金額改定ルールの見直しの効果を検証しました。

 オプション試算の結果

・オプションA 被用者保険の更なる適用拡大 
 厚生年金の加入者が増加することにより、将来の給付水準が改善されることが分かりました。また、現在パート・アルバイトなどで国民年金にしか加入していない人でも、厚生年金に加入できるようになると将来的に厚生年金も受け取れるようになります。

A―① 現行の企業規模要件を廃止した場合

A―② 現行の企業規模要件、賃金要件を廃止した場合

A―③ 一定の賃金収入(月5.8万円以上)がある全ての被用者へ適用拡大した場合

・オプションB 保険料拠出期間の延長と受給開始年齢の選択

B―① 保険料拠出期間の延長

 どのケースも所得代替率が6~7%程度上昇し、給付水準が大幅に改善する結果となりました。保険料の拠出期間が40年から45年に延長されたことに伴い、年金額が45/40倍となるため、給付水準もおおむね45/40倍となったためです。この結果、ケースⅤの場合であっても、50%超の給付水準を確保できる見通しとなりました。

※2026(令和8)年度より納付年数の上限を3年ごとに1年延長。

※スライド調整率は、現行の仕組みの場合と同じものを用いています

B―② 在職老齢年金の見直し

65歳以上の在職老齢年金(高在老)について、支給要件を緩和した場合は所得代替率が0.2%程度低下し、高在老を廃止した場合は所得代替率が0.3~0.4%程度低下する結果となりました。なお、在職老齢年金制度による支給停止は厚生年金(報酬比例)が対象ですので、基礎年金への影響はありません。

B―③ 厚生年金の加入上限の見直し

厚生年金の加入年齢の上限を現行の70歳から75歳に延長した場合、所得代替率への影響は、ケースⅠの場合影響なし、ケースⅢの場合0.3%上昇、ケースⅤの場合0.2%上昇する結果となりました。これは、厚生年金加入者増加することで、保険料収入と将来の給付がそれぞれ増加することになりますが、給付は徐々にしか増えないため、保険料の納付から給付までの間の運用益が発生すること等によるものです。なお、70歳以上は基礎年金の算定期間ではありませんので、基礎年金の給付水準には影響がありません。

B―④ 受給開始年齢の選択

オプションB―④は個人の選択で繰下げ受給や就労期間を延ばすことにより、給付水準がどう変化するかを試算したミクロ試算となっています。このため、他のオプション試算とは異なり、給付水準を調整する期間が変化するなどのマクロの財政影響は生じません。試算結果をみると、マクロ経済スライドにより給付水準が抑えられていくなかで、繰下げ受給や就労期間を伸ばすことは給付水準を確保する有効な選択肢となることが分かります。

例えば、ケースⅢの場合でかつ75歳まで働いて受給を開始すると、マクロ経済スライドによる給付水準調整後の所得代替率は95.2%となります。

B―⑤ オプションB―①~B―④の全てを行った場合

オプション試算B―⑤は、オプション試算B―④に①~③の制度改正を加味した場合となっています。このため、基礎年金の加入期間が45年に延長されていることや、厚生年金の加入期間が75歳まで延長されたこと、在職老齢年金の廃止が前提となっているため、全ての年金額が繰り下げの対象となり、増額されるため、B―④とりも給付水準が高くなっています。

 オプションAとBの組み合わせ試算
 オプション試算では、これまで説明した、オプションAとオプションBについて、その両方を行った場合の試算も行いました。なお、オプションAとオプションBはそれぞれ複数の試算を行っていることから、全ての組み合わせを試算すると試算結果が膨大になるため、影響が大きい「オプションA―②とオプションB―①~③」、「オプションA―③とオプションB―①~③」の2種類について行っています。

  試算結果をみると、「オプションA―②とオプションB―①~③」の場合は7~8%程度、「オプションA―③とオプションB―①~③」の場合は10~11%程度、所得代替率が上昇しています。これはおおむねオプションAとオプションBの影響を合わせた結果となっています。

・参考試算 2016(平成28)年年金改革法による年金額改定ルールの効果

 今回のオプション試算では、参考試算として、2016(平成28)年年金改革法で成立した年金額改定ルールの見直しの効果を検証しました。このため、オプション試算のように一定の制度改正を仮定した試算とは異なり、既に組み込まれている制度の効果を測定するものになっています。なお、参考試算における経済前提については、経済変動を仮定したものになっています。(物価上昇率賃金上昇率が2023(令和5)~2052(令和34)年度の30年間、10年周期の変化を繰り返し、変動幅を物価上昇率±1.1%、名目賃金上昇率±2.9%と設定)

参考試算の一つ目が年金額改定ルールの見直しのうち、賃金変動に合わせて改定する考え方を徹底することによる効果です。

改正効果としては、物価変動が賃金変動よりも高い場合であっても、賃金変動に合わせて改定することになるため、調整終了後の所得代替率は上昇する結果となっています。特に低い成長を仮定するケースでは、賃金変動率が物価変動率よりも小さくなる場合が多いため、改正の効果も大きくなっています。

 参考試算の二つ目は、年金額改定ルールの見直しのうち、マクロ経済スライド調整の見直し(キャリーオーバー)による効果です。これは現行の仕組み(キャリーオーバーを実施した場合)とキャリーオーバーの仕組みが無かった場合を比較したものです。なお、マクロ経済スライドによる調整がフルに発動される仕組みとした場合も試算しています。 
 改正の効果としては、キャリーオーバーの仕組みにより、マクロ経済スライドの未調整分が比較的早期に解消されるため、キャリーオーバーの仕組みが無かった場合よりも調整終了後の所得代替率は上昇する結果となっています。特に低い成長を仮定するケースでは、未調整分が多く発生するため、改正の効果も大きくなっています。

 令和2(2020)年の年金制度改正
 令和元(2019)年財政検証で行ったオプション試算を踏まえ、令和2(2020)年の年金制度改正では、被用者保険の適用拡大(事業所規模50人超の事業所に緩和)が行われました。その他、令和2(2020)年改正では、在職中の年金受給の在り方の見直し(在職定時改定の導入、60~64歳の在職老齢年金の支給要件の緩和)、受給開始時期の選択肢の拡大(繰り下げ受給の年齢を75歳に拡大)等が行われました。

 まとめ

・今後、社会・経済状況が変わっていっても、十分な年金が受け取れるような年金制度を検討していく必要がある。
・もし年金制度が変わったら、将来の姿はどうなるかをみるための試算が行われ、それをオプション試算という。
・オプション試算は、オプションA被用者保険の更なる適用拡大 オプションB保険料拠出期間の延長と受給開始年齢の選択制が行われ、参考試算として、平成28(2016)年年金改革法による年金額改定ルールの効果についても行った。
・実際の制度改正については、被用者保険の更なる適用拡大が一部実施された。
厚生労働省※ 出典/転載:これからの年金制度 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

公的年金/日本の公的年金に対する国際的な評価が気になります



 厚生労働省の「わたしとみんなの年金ポータル」からアクセスし公的年金制度を正しく理解するため、
人口と経済」の見通し、「所得代替率」の見通し、マクロ経済スライド」などを中心に学んできました。政府は、100年という長い期間にわたって、公的年金財政の見通しを立てていますが、決して明るい未来とは思えません。日本の公的年金に対する国際的な評価が気になります。

 マーサーの「グローバル年金指数ランキング」では、日本の公的年金は、43カ国中36位です
 アメリカのコンサルティング会社マーサーが
「グローバル年金指数ランキング」(2021年度)では、日本の公的年金は43カ国中Dグループの36位だと発表していますので、何故なのでしょうか。
 マーサー社は、世界中の43カ国の退職所得制度の長所と短所を把握し、2021年、新規参入国アイスランドは、全体的に世界最高の年金制度を持つ国に選びました。また、世界がパンデミックと健康危機による経済的影響で、世界中の男女年金格差を引き起こすことも明らかにしています。各国政府は、将来の退職者により良い長期的な成果をもたらすために、システムの長所と短所を熟考することが重要だとしでいます。「グローバル年金指数ランキング」(2021年度)の概要は、以下のとおりです。
〇 年金の男女格差は複合的要因に起因するが、全ての年金制度に弱点がある。
〇 アジアの年金制度ではシンガポールが首位を維持、香港特別行政区、マレーシアがそれに続いている。
〇 日本の年金制度は43ヵ国中36位である。
〇 中国(本土)は大幅な年金改革によって最も制度が改善され、今回初めて調査対象に加わったアイスランドは首位の座を獲得した。
〇 当指数では、世界人口のほぼ3分の2を網羅する、43の国・地域の年金制度を比較検証した。
 中国の年金制度は世界で最も改善が見られ、従来のDランク(47.3)からCランク(55.1)に格上げされました。これは主に、純所得代替率の上昇と規制の改善、特に出生政策の最適化、定年の段階的引き上げ、国家主導の保障を補完する「第3の柱」の年金制度の整備などの取り組みによるものです。
 「グローバル年金指数ランキング」(2021年度)には新たに4つの制度(アイスランド、台湾、アラブ首長国連邦(UAE)、ウルグアイ)が調査対象に加えられましたが、アジアではシンガポールの制度が10位とアジアでの首位の座を維持し、香港特別行政区とマレーシアがそれに続きました。グローバル年金指数は、世界の人口の3分の2(65%)を網羅する世界の年金制度を包括的に調査したものです。この指数は、世界各国の年金制度を指数化し、各制度の欠点を浮き彫りにし、より充実した、持続可能な年金給付を提供するために改革すべき課題を示しています。アジアでDランクとなったのはインド(43.3)、日本(49.8) 、韓国(48.3)、フィリピン(42.7)およびタイ(40.6)であり、中でもタイは世界全体において最低指数値でした。インドネシア、マレーシア、そして新たに調査対象に加わった台湾はCランク(それぞれ指数値は50.4、59.6、51.8)に格付けされました。香港特別行政区(61.8)はC+、シンガポールはB-(70.7)です。各年金制度をサブ指数(持続性、十分性、健全性)により測定するグローバル年金指数(2021年度)の結果から、アジアの年金制度は依然として世界より遅れを取っていることが分かります。アジア全体の総合指数値の平均は52.2で、世界平均は61でした。



 ランクの低迷は、現役世代の老後への不安感の度合いを映し出したもの、現状の制度を正しく理解すること重要です

 マーサージャパン 年金コンサルティングのシニア アクチュアリーであり、日本アクチュアリー会正会員の須藤 健次郎氏は次のように述べています。「日本のランクの低迷は、長寿化のフロントランナーであるがゆえの宿命とはいえ、現役世代が抱えている老後への不安感の度合いを映し出している指標と捉えると違和感はないかもしれません。ただ、漠然と不安を感じるというのは健全な姿ではなく、まずは現状の制度を正しく理解することが重要です。その支援の場として、DCの投資教育は大変貴重だと思います。多くの企業がグローバル競争での生き残りをかけてジョブ型雇用の導入を検討している昨今は、企業に全てを委ねる従来型の働き方から、リスキルを通じた自律型の働き方への意識改革が求められる過渡期といえるでしょう。当然ながら全員が上手く渡っていけるわけではないため、セーフティネットとしての国の社会保障のあり方についても、マーサーとして提言していきたいと考えています」

  アジア市場全域で、退職給付の十分性や継続性を確保する早急な年金改革が求められています

 2050年までに10億人近くの高齢者がアジアに住み、その3分の2が中国本土、インド、インドネシアの3つの市場で暮らすと推測されています。65歳の平均寿命もさらに伸びる見込みで、アジア市場における女性の大半が2050年までに20年以上の老後生活を送ると予測できます。CFA 協会アジア太平洋地域アドボカシー部門の責任者であり、CFAのMary Leungは、次のように述べています。「アジアはその他多くの地域に比べると順調に進んできましたが、アジア市場の全域で早急な年金改革が求められています。歴史的な低金利、場合によってはマイナスの利回りが明らかにリターンに影響を与える非常に困難な環境下です。女性は退職後の給付が少ないため、性別による年金格差にはさらなる課題があります。退職給付の十分性と持続性を確保するために全体として対策を講じる必要があります」

  全ての制度で、年金の男女格差を縮小するための改革が急務です

 全体では、アイスランドの年金制度(84.2)が調査対象に加わった初年度に世界最高の評価を獲得し、オランダ(83.5)とデンマーク(82.0)が僅差で続きました。各サブ指数で最も高い指数値として、十分性、持続性ではアイスランド(それぞれ82.7、84.6)、健全性ではフィンランド(93.1)でした。制度最低指数値は、十分性ではインド(33.5)、持続性ではイタリア(21.3)、健全性ではフィリピン(35.0)でした。 今年の調査では、全ての制度に内在する問題として、年金の男女格差を縮小するための改革が急務であることが浮き彫りになりました。経済協力開発機構(OECD)加盟国全体では、年金の男女格差(年金給付額の男女差)は平均26%であり、エストニアの3%から日本の50%まで格差の程度は様々です。指数の分析では、年金の男女格差の原因は、雇用関連、年金設計、社会文化的な問題など多岐にわたっており、定年後の収入に関して女性が男性に比べて不利な立場にあることが明らかになりました。
 アジア全域において、パンデミックは経済参加と機会における男女間格差をさらに拡大させています。アジア太平洋地域では、男性の雇用が2.9%減少したのに対し。女性の雇用は3.8%減少しました。世界経済フォーラムは、2021年版「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)」の中で、女性の再就職には時間がかかること、家事や育児を負担する可能性が高いこと、クラウド・コンピューティングやエンジニアリングなど「将来性のある仕事」の多くで女性が十分に活躍できていないことなどから、格差がさらに拡大する可能性があると警告しています。
 

 雇用に関する問題が主な格差の原因であることは一般的にも広く認識されています。例えば、女性のパートタイム労働者比率の高さ、子育てや介護のための離職、男性よりも低い平均給与額などです。しかし、グローバル年金指数(2021年度)では、年金の制度設計が格差の問題をさらに悪化させていることが明らかになっています。これには、育児休業期間が年金給付の対象期間として義務化されていないこと、ほとんどの制度において子育てや高齢の親の介護期間に年金クレジットが付与されないこと、退職時に年金の物価スライド制が適用されていないことなどが含まれ、これらの要因が全て、平均寿命の延伸により女性にさらに多大な影響を与えているのです。
マーサーのアジア・ウェルス・ビジネスのリーダーであるJanet Liは、次のようにコメントしています。「年金の男女格差を解消するために、雇用主は賃金における男女平等を確保するために積極的な役割を果たしたり、個人が金融リテラシーを向上できるよう促したりするなど、マルチステークホルダーの取り組みとする必要があります。私たちの調査では、老後資金の男女格差に対処しなくては、企業にとって人材の確保と維持という長期的なコストが掛かることを示唆しました。私たちは、今すぐ対策を講じる必要があります。また年金業界は、雇用関連の年金制度に加入する個人に課される加入資格制限を撤廃するなど、制度の向上に向けて主導的な役割を果たすことができます。この施策は、アジアの働く女性の大部分を占めるパートタイマーや非正規労働者にも拡大適用できるでしょう。また、育児や高齢者の介護に従事する人々を対象とした年金クレジットを導入することで、それが理由で離職した人々を取り残さないようにします」

  グローバル年金指数ランキング(2021)
※国別(アルファベット順)

 マーサーの「グローバル年金指数」とは何ですか? 
 マーサーのグローバル年金指数は、世界各国の年金制度のベンチマークとして、各制度の弱点を浮き彫りにし、より充実した、持続可能な年金給付を提供するために改革すべき領域を示しているものです。投資プロフェッショナルの世界的団体であるCFA協会がスポンサーとなり、モナッシュ金融研究センター(MCFS)とプロフェッショナルサービスを提供するマーサー (仕事そのものを再定義し、退職制度や年金の投資成果を再構築するグローバルリーダー)が共同で実施する研究プロジェクトです。2021年度においては、世界中の43の退職所得システムを比較し、世界の人口の3分の2(65%)をカバーしています。今年は新たにアイスランド、台湾、アラブ首長国連邦、ウルグアイの4つの国や地域が加わりました。各国の制度の総合指数は、「十分性 (Adequacy)」、「持続性 (Sustainability)」、「健全性 (Integrity)」に大別される50以上の項目から構成され、この3つのサブ指数を加重平均して算出しています。マーサーCFA協会グローバル年金指数の詳細についてはこちをご覧ください。
※ 出典:
マーサー 「グローバル年金指数ランキング」(2021年度)を発表 | マーサージャパン (mercer.co.jp)



「みんなの年金ポータル」からアクセスしてみました 



「みんなの年金ポータル」
からアクセスしてみました
 厚生労働省は、平成31(2019)年4月に、年金のことをわかりやすく国民に伝えるため「わたしとみんなの年金ポータル」をオープンしています。今回は、わたしたちが加入している年金についてもっと知ればきっと役に立つといわれる「みんなの年金ポータル」からアクセスしてみました。


Topics1 年金は何のため?
Q 年金は何のためにあるの? 貯蓄と同じじゃないの?
A みんなが助け合って、長生きに対する保障や、障害・死亡といった予測のできないことに備えられるようにするのが、公的年金という保険です。年金は、一生受け取ることができ、物価上昇などにも対応できます。
【アドバイス!】
 世代を超えて支え合うことでインフレなどに対応してきたんだね!

【アクセスサイト】
◆公的年金の意義 ~どうして日本には「年金」があるの? | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Q 年金は、納めた保険料が戻ってくるの?
A いま働いている世代が納めた保険料を高齢者などへの年金の支払いにあてる「支え合い」の仕組みです。
【アドバイス!】
 ルール通りにきちんと年金に入って、助け合いに参加しよう!【アクセスサイト】
賦課(ふか)方式と積立方式 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)
日本の公的年金は「賦課(ふか)方式」~どうして積み立てておけないの? | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Q  年金は若い世代が損をしているのでは?
A  働けなくなったお年寄りを支えなければならないのは昔も今も同じです。そう考えると、年金だけで単純に「損」や「得」を見るのは難しいのです。
【アドバイス!】
 年金が十分でない時代は、家族で支えていたんだね。
【アクセスサイト】
日本の公的年金は「社会的扶養」 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Topics2 年金のしくみは?

Q 年金の基本的な仕組みは?
A 20歳になったら全員が国民年金に加入し、会社などに勤めている間は厚生年金に加入します。加入した期間に応じて基礎年金と厚生年金を受け取ることになります。
【アドバイス!】
 年金は働き方、暮らし方で変わるんだね
【アクセスサイト】
日本の公的年金は「2階建て」 | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Q 受け取れる年金の種類は?
A 長生きに対する保障(老齢年金)だけでなく、けがや病気で障害を持った場合の保障(障害年金)や、一家の大黒柱を亡くしてしまった遺族への保障(遺族年金)があります。
【アドバイス!】
 3つの「安心」を覚えておいてね!
【アクセスサイト】
◆公的年金の意義 (mhlw.go.jp)
◆教えて!公的年金制度 年金はどのようなときに受け取れるの?|厚生労働省 (mhlw.go.jp)



Topics3 年金の将来は大丈夫?

Q  年金制度は将来も維持できるの?
現役世代(支え手)がいて、日本経済が続いていく限りなくなりません。
【アドバイス!】
 少子高齢化に対応するための様々な仕組みがあるんだね!
【アクセスサイト】
◆公的年金って将来も十分な給付ができるの? (mhlw.go.jp)

Q  毎年の年金額はどう決まっているの?
A  物価や賃金に応じて改定していますが、将来世代の年金水準を確保するために、年金額の伸びを自動調整しています。
【アドバイス!】
   年金の支え手の負担を考慮して、年金を持続可能にするための仕組みが組み込まれているんだね!
【アクセスサイト】
◆マクロ経済スライドってなに? | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Q 将来受け取れる年金はどうなるの?
A 経済状況に左右されますが、将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように、将来に向けて徐々に年金の水準を調整していきます。
【アドバイス!】
 将来受け取れる年金は、経済の状況や自分の年金加入状況次第で変わってきます!
【アクセスサイト】
所得代替率の見通し~実際、「どのくらい」受け取れるのか | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Q  年金財政はどんなチェックをしているの?
A 財政や将来の年金水準の見通しを作成して、公表しています。
【アドバイス!】
 財政が健全かどうか、人口や経済などを見て5年ごとにチェックしているよ!
【アクセスサイト】
財政検証と財政再計算~持続可能性を確保する仕組み | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Topics4 年年金積立金の運用は大丈夫?

Q  年金積立金って何?
A  過去に年金の支払いに使われなかった残りのお金は、積立金として、将来の年金支払いを支えるために運用されています。
【アドバイス!】
 年金積立金は将来世代のためにあるんだね!
【アクセスサイト】
◆年金積立金とはどのようなものですか。|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)

Q 積立金の運用状況は今どうなっているの?
A 運用状況は定期的に公表されています。
【アドバイス!】
 積立金の運用は、長期的に見ることが大切だよ!
【アクセスサイト】
◆2020年度の運用状況|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)
2021年度の運用状況|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)

Q  積立金の運用で損をすると年金額は減るの?
A  年金の支払いの財源は、積立金は1割程度で、主にそのときの現役世代が納める保険料や税金でまかなわれていますので、積立金の短期的な運用状況に左右されることはありません。
【アドバイス!】
 年金の額は、運用結果にかかわりなく、法律で決まっているんだね!
【アクセスサイト】
◆年金財政における積立金の役割|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)

Q 積立金はどのような方法で運用しているの?
A 長い目でみて安定した収益が得られるよう、国内外の債券や株式など、さまざまな資産に分散して投資を行っています。
【アドバイス!】
 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という専門的な機関が運用しています!
【アクセスサイト】
◆年金積立金の運用は、どのような考え方で行っているのですか。|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)



Topics5 私的年金ってどんな年金?

Q 私的年金にはどんな種類があるの?
A 企業単位の年金として、「企業型確定拠出年金」「確定給付企業年金」「厚生年金基金」があります。また、個人単位の年金として「国民年金基金」「iDeCo(イデコ)」があります。 
【アドバイス!】
 自分が今加入している年金や加入したい年金を調べよう!
【アクセスサイト】
◆私的年金制度の概要(企業年金、個人年金) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Q 国民年金基金ってどんな年金?
A 国民年金基金は、自営業者やフリーランスの方々が、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せできる年金です。
【アドバイス!】
 国民年金基金は「終身年金」が基本で、年金額が確定しているよ!
【アクセスサイト】
加入によるメリット | 制度について知る | 国民年金基金連合会 (npfa.or.jp)

Q iDeCo(イデコ)って何?
A iDeCoは、自分で決めた金額を積み立て、自分で運用商品を選択して資産形成を進め、老後に年金を受け取る仕組みです。
【アドバイス!】
 iDeCoには税制の優遇があって、そのシミュレーションもできるよ!
【アクセスサイト】
◆iDeCo加入者の声|みんなの人生設計はどう変わった?|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)


Q 企業年金ってどんな年金?
A「企業年金」は企業が従業員の老後の生活を豊かにするためにつくる年金で、「確定給付企業年金」や「企業型確定拠出年金」、「厚生年金基金」といった種類があります。
【アドバイス!】
 会社がどのような企業年金を実施しているか勤務先の会社又は会社が設立した年金基金に確認しよう!
【アクセスサイト】
◆企業年金制度|企業年金制度と通算年金|企業年金連合会 (pfa.or.jp)
 

Q これまで、厚生年金基金に入っていたことがある人はどうするの?
A 中途脱退された方や厚生年金基金が解散した会社に勤めていた方は「企業年金連合会」から年金を受け取れる場合があります。
【アドバイス!】
 気になる方は、ぜひ企業年金連合会にお問い合わせください。【アクセスサイト】
◆あなたの企業年金、お忘れではありませんか?|企業年金のしくみ|企業年金連合会 (pfa.or.jp)

Topics6 年金についてもっと知りたい

Q 年金について相談したいのですが?
A 国民年金や厚生年金に関する相談は、日本年金機構が電話や年金事務所の窓口で行っています。
【アドバイス!】
 年金の相談は、ご都合にあわせられる事前予約がおすすめ!
【アクセスサイト】
◆全国の相談・手続き窓口|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆予約相談について|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆電話での年金相談窓口|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 私的年金について相談したいのですが?
A 私的年金の相談はそれぞれの関係機関で行っています。
【アドバイス!】
 リンク先の問い合わせ窓口にお問い合わせください!
【アクセスサイト】
◆お問い合わせ|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)
◆全国国民年金基金所在地 | 事業概況 | 国民年金基金連合会 (npfa.or.jp)
◆職能型国民年金基金所在地 | 事業概況 | 国民年金基金連合会 (npfa.or.jp)
◆連合会年金に関するお問い合わせ|企業年金連合会 (pfa.or.jp)
   企業年金に関するお問い合わせについては、勤務先の会社または会社が設立した年金基金にお問い合わせください。

Q 年金のパンフレットはどこにあるの?
A 下記のリンク先をご利用ください。
【アドバイス!】
 目的に合わせて年金制度や手続きを調べよう!
【アクセスサイト】
◆年金制度のポイント (mhlw.go.jp)
◆【国民年金】パンフレットと動画のページ|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
◆パンフレット|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆マンガダウンロード | いっしょに検証! 公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)
◆ピックアップコンテンツ|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)
◆ライブラリ | 制度について知る | 国民年金基金連合会 (npfa.or.jp)
◆「知ってると得する、国民年金基金」 〜自営業・フリーランスのための公的な年金制度〜 | 国民年金基金連合会 (npfa.or.jp)
◆動画・マンガでわかるiDeCo|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)
◆平成29年4月版 確定給付企業年金(中途脱退者向け).pdf (pfa.or.jp)


Q 年金の統計はどこにあるの?
A 下記のリンク先をご利用ください。
【アドバイス!】
  公的年金と私的年金の統計はここでチェック!
【アクセスサイト】
◆統計情報 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
◆主要統計|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆確定拠出年金制度|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
◆確定給付企業年金制度 (mhlw.go.jp)
◆事業の概況・状況 | 事業概況 | 国民年金基金連合会 (npfa.or.jp)
◆業務状況|ライブラリ|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)
◆統計資料等|連合会の事業・活動|企業年金連合会 (pfa.or.jp)

Q 海外の年金制度を調べたいのですが?
A 下記のリンク先をご利用ください。
【アドバイス!】
 年金は国によって違いがいろいろあるね!
【アクセスサイト】
◆海外の年金制度|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
◆各国の年金財政見通し |厚生労働省 (mhlw.go.jp)


Q 外国で働くと、日本と外国の両方で保険料を支払うの?
A 年金の保険料を二重に支払うことを防いだり、加入期間を通算するために社会保障協定が結ばれています。
【アドバイス!】
 海外転勤しても年金は安心だね!
【アクセスサイト】
◆海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)



Topics7 年金を学校で学ぶ

Q 学校で学ぶための教材や年金セミナーはありますか?
A 厚生労働省では高校や大学で年金や社会保障等を学ぶための教材を提供しています。また、日本年金機構では年金セミナーを実施しています。講師派遣のご要望やご質問は、お近くの年金事務所までお問合せください。
【アドバイス!】
 年金セミナーはオンラインでも受講できます!
【アクセスサイト】
◆国民年金ってホントに必要なの!講座|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
◆社会保障教育 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
◆年金について学ぼう|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆年金の制度や仕組み、保険料に関するもの|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 「わたしと年金」エッセイって?
A 自分や家族などと、年金との関わりについてのエッセイを募集しています。
【アドバイス!】
 毎年6月~9月に募集しています!ぜひご応募ください。
【アクセスサイト】
◆「わたしと年金」エッセイ|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Topics8 最新の年金ニュース

Q 最新の年金ニュースを調べたいときは?
A 下のリンク先をご利用ください。
【アドバイス!】
 最新の年金ニュースはここでチェック!
【アクセスサイト】
◆年金・日本年金機構関係分野のトピックス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
◆大切なお知らせ|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆新着情報|年金積立金管理運用独立行政法人 (gpif.go.jp)
◆お知らせ(アーカイブ) | 国民年金基金連合会 (npfa.or.jp)
◆お知らせ|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)
◆2022年度お知らせ一覧 | 企業年金連合会 (pfa.or.jp)

「わたしの年金ポータル」からアクセスしてみました 



「わたしの年金ポータル」からアクセス
してみました 
   厚生労働省は、平成31(2019)年4月に、年金のことをわかりやすく国民に伝えるため「わたしとみんなの年金ポータル」をオープンしています。このサイトは、外部の専門家の意見や現場の意見を反映して製作したものです。公開後も国民の声を聞き、さらに改善・進化させていく予定だそうです。このホームページは、よくある年金制度の疑問をQ&A形式で説明し、具体的な内容が掲載されているページにご案内するためのものです。各種手続き方法等が分からない場合にはホームページのリンク先に問い合わせするというものです。
 ポータル(Portal)は「玄関」や「入り口」という意味があり、インターネットにアクセスするときの入り口となるWebサイトのことをポータルサイトといいますが、
一人ひとりの「山あり谷あり」の人生におけるライフイベントに照らし合わせて年金を知ってもらいたいため筆者は「わたしの年金ポータル」からアクセスしてみました。 

Question1 わたしの年金どうなっているの? 
Q 年金は「いつから」「いくら」受け取れるの?
A 受け取り開始時期は60歳から75歳までの間で選べます。受け取りを遅らせれば年金額が増え、早めに受け取ると減ります。年金額は、保険料を納めた期間などにより、一人ひとり違います。
【アドバイス!】
 まずは、自分自身の年金を知ることが大切!
【アクセスサイト】
◆お探しのページが見つかりません(Not Found)

Q 「ねんきん定期便」って何?
A 年金に加入している皆さんに、毎年誕生月にご自身の年金記録を記載した「ねんきん定期便」を送付しています。
【アドバイス!】
 記録に「もれ」や「誤り」がないかチェック! 将来の年金額に関する情報も確認。
【アクセスサイト】
◆ねんきんネット|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 「ねんきんネット」って何?
A 「ねんきんネット」は、パソコンやスマートフォンからご自身の年金情報を確認できるサービスです。年金記録の確認や将来の年金見込額の試算ができます。
【アドバイス!】
「ねんきんネット」の年金見込額試算で、老後の生活設計について考えましょう!
【アクセスサイト】
◆ねんきんネット|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 毎月の受け取る年金の額を増やす方法はあるの?
A できるだけ長く働くなど、しっかり保険料を納めることが大切です。さらに、年金を受け取る時期を遅らせる、60歳を過ぎても加入する、私的年金と組み合わせるなどの選択肢があります。
【アドバイス!】
 昔よりも健康で長生きできるようになっています。老後の過ごし方をよく考えて、計画的に行動しましょう!
【アクセスサイト】
◆66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆任意加入制度|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Question2 もしもの時に支えてくれる年金って? 

Q 「障害年金」とは何ですか? 
A 障害年金は、事故や病気で障がい者になった場合に受けられる年金です。
【アドバイス!】
 年金は老後のためだけじゃない。障害年金は生涯のサポート!【アクセスサイト】
◆2021年金パンフ_05_障害基礎年金 (mhlw.go.jp)
◆障害年金|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 障害年金が受けられる「病気」や「けが」は?
A 手足の障害などのほか、がんや糖尿病、心疾患、呼吸器疾患による障害、精神障害の方も対象です。
【アドバイス!】
 詳しくは下のリンクをご覧ください。
【アクセスサイト】
◆障害年金の制度をご存じですか?がんや糖尿病など内部疾患の方も対象です | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)
◆障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 「遺族年金」とは何ですか?
A あなたが不慮の事故や病気で死亡したときに、残された大切な家族に支払われる年金です。
【アドバイス!】
 遺族年金はもしものときに残された家族へのサポート!
【アクセスサイト】
◆国民遺族基礎年金(パンフレット)000806549.pdf (mhlw.go.jp)
◆遺族年金|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 「遺族年金」はだれが受け取れるの?
A 年金加入中に亡くなった方の収入で生活していた配偶者や子などに支払われます。
【アドバイス!】
 詳しくは下のリンクをご覧ください。
【アクセスサイト】
◆遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)|日本年金機構 (nenkin.go.jp)



Question3 
20歳になったら?

Q なぜ、20歳から国民年金に入らなければいけないの?
A 年金は年をとってから受け取るだけではありません。事故などで障害を持つと障害年金、亡くなったらご遺族に遺族年金が支払われます。
【アドバイス!】
 年金は、社会のみんなで保険料を出し合って個人のリスクに備える保険の仕組み。社会全体での支え合いに参加しよう!
【アクセスサイト】
◆みんな20歳になったら国民年金000806383.pdf (mhlw.go.jp)

Q 国民年金の加入手続きは?
A 令和元年10月以降に20歳になった方には日本年金機構から国民年金に加入したことをお知らせします。
【アドバイス!】
 20歳になってから2週間程度経過してもお知らせが届かない場合には市(区)役所または町村役場もしくはお近くの年金事務所に
お尋ねください。
【アクセスサイト】
◆20歳になったら国民年金LN03.pdf (nenkin.go.jp)
◆20歳到達時の国民年金の手続き|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 「ガクトク(学特)」って何ですか?
A 「ガクトク(学特)」は、学生の間は保険料を納めないで、後に社会人になってから納めるという仕組みです。(「学生納付特例」の略です。)
【アドバイス!】
 「ガクトク(学特)」を使えば、保険料を納めていなくても、障害年金などを受け取ることができるよ!
【アクセスサイト】
◆国民年金保険料の学生納付特例制度|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Question4 保険料が払えないときは?

Q 国民年金保険料を払えないときは?
A 国民年金の保険料を納めるのが難しい方のための仕組みがあります。
①経済的に保険料が納められない方への「免除」
②50歳未満の方に「納付猶予」
③学生さんに「ガクトク(学生納付特例)」
④生活保護や障害年金を受け取っている方の「免除」
【アドバイス!】
 何も手続きをしないままだと保障が受けられません!お近くの年金事務所などにぜひご相談くださいね!
【アクセスサイト】
◆国民年金免除・猶予制度(パンフレット000806889.pdf (mhlw.go.jp)
◆国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Question5 就職、転職、退職、起業するときは?
Q 就職したときの厚生年金の手続きは?
A 社会保険に入っている会社に就職したときは、会社が厚生年金の手続きをしてくれます。
【アドバイス!】
 厚生年金の保険料は給料から天引き。給料明細で確認できます!【アクセスサイト】
◆就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 会社を転職・退職するときの厚生年金・国民年金の手続きは?
A 転職や退職などによって、加入する年金の種類が変わることがあります。
【アドバイス!】
 もしも手続きを忘れると、障害年金などの保障が受けられないことがあります!
【アクセスサイト】
◆転職・退職したときの手続き|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 会社を転職・退職するときの企業年金の手続きは?
A 企業年金に加入していた方が転職又は退職をする場合、企業年金として積み立てられた個人資産を、転職先の企業年金や企業年金連合会、iDeCoに移し、将来年金として受け取ることができます。
【アドバイス!】
 退職手続きのときに企業年金も忘れずに確認しましょう!
【アクセスサイト】
◆企業年金の通算制度|企業年金制度と通算年金|企業年金連合会 (pfa.or.jp)

Q パートで働くときに加入する年金は?
A パート・アルバイトで働く方は、勤務時間や給料の額などによって、加入する年金の種類が変わります。
【アドバイス!】
 パート・アルバイトで働く方々も最近は厚生年金に加入することが多くなっています!
【アクセスサイト】
◆適用事業所と被保険者|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大について|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 自営業のときに加入する年金は?
A 20歳以上60歳未満の方は、国民年金への加入が義務付けられています。
【アドバイス!】
 加入手続きは、お住まいの市区町村などでできます!
【アクセスサイト】
◆忘れていませんか?国民年金の手続き(パンフレット)000806384.pdf (mhlw.go.jp)
◆国民年金に加入するための手続き|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Question6 結婚、離婚、出産、育児をするときは?

Q 結婚したときの年金の手続きは?
A 結婚前に勤めていた会社を辞めて、夫または妻の扶養に入る場合の年金加入手続きは、夫または妻の会社を通じて行います。
【アドバイス!】
 扶養に入るとき、扶養から外れるときには手続きが必要です!
【アクセスサイト】
◆年金に加入している方が結婚したときの手続き|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 出産・育児をサポートする年金の手続きはありますか?
A 国民年金では、産前産後の一定期間、保険料が免除されます。厚生年金でも、産休や育児休業などを取得した人には、保険料免除などが受けられます。
【アドバイス!】
 国民年金は自分で手続きが必要。厚生年金は会社が手続きします!
【アクセスサイト】
◆従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業を取得・延長したときの手続き|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆探しのページが見つかりません(Not Found)|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
◆国民年金保険料の産前産後期間の免除制度|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 離婚したときにはどんな年金の手続きがありますか?
A 離婚した場合、お二人の婚姻期間中の厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができます。
【アドバイス!】
 離婚分割の請求手続きは、離婚後2年以内にしないといけないから、注意してね!
【アクセスサイト】
◆離婚時の年金分割|日本年金機構 (nenkin.go.jp)




Question7 
海外で暮らすことになったら?

Q 日本にある会社にお勤めの方が外国に転勤するときの年金は?
A 日本にある会社から給料を受け取る場合には、基本的に、厚生年金に加入し続けます。
【アドバイス!】
 アメリカなど、社会保障協定を結んでいる転勤先の国の年金の加入免除を受けるために、事業主を通して日本の年金事務所で「適用証明書」を発行してもらってね!
【アクセスサイト】◆海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

Q 留学するときや海外で就職するときは?
A 暮らしている国の年金制度に加入するのが原則です。日本国籍がある方は、外国で暮らしていても、日本の国民年金に加入できます。
【アドバイス!】
 外国在住中に加入したい場合は、お住まいの市区町村などでお手続きください!
【アクセスサイト】
◆海外への転出 海外からの転入|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 海外で日本の年金を受け取りたいときは?
A 海外で暮らしていても、日本の年金を受け取ることができます。送金先を海外の銀行口座とすることも可能です。
【アドバイス!】
 海外で年金を受け取る場合は下のリンクをチェック!お手続きを忘れずに。
【アクセスサイト】
◆海外居住者の年金請求|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

社会保障協定の相手国から「日本の年金を請求する場合の取扱い」については、
お探しのページが見つかりません(Not Found

Question8 老後の暮らしを考えてみると?

Q 年金の受け取る開始時期を遅らせると、年金額が増えるのですか?
A そのとおりです。年金の受け取り開始時期は60歳から75歳までの間で選ぶことができ、遅らせればその分年金額が増えます。
【アドバイス!】
 できるだけ長く働いて年金の受け取り開始を遅らせるのも選択肢のひとつだね!
【アクセスサイト】
◆年金の繰下げ受給|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 働きながら年金を受け取る場合に注意することは?
A 働きながら年金を受けると、給料やボーナスの額に応じて、年金の一部または全部が支払い停止される場合があります。
【アドバイス!】
 詳しくは下のリンクをご確認ください。
【アクセスサイト】
◆在職老齢年金の支給停止の仕組み(パンフレット)LK39.pdf (nenkin.go.jp)
◆在職中の年金(在職老齢年金制度)|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

Q 国民年金・厚生年金以外にも年金はありますか?
A 私的年金があります。私的年金には、会社単位の「企業年金」、個人単位の「個人年金」があります。
【アドバイス!】
 国民年金や厚生年金に上乗せして加入でき、税制上も優遇されています。
【アクセスサイト】
◆私的年金制度の概要(企業年金、個人年金) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

マンション管理計画認定制度でマンション管理は適正化できるか?



 マンション管理計画認定制度の創設は、マンション管理の適正化を推進することが目的です
 高経年マンションが急増し、建物の老朽化や管理組合の担い手不足が懸念される中、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」)が令和2(2020)年6月に改正・公布され、今年4月1日に全面施行を迎えました。改正マンション管理適正化法では、マンションの管理の適正化の推進のため、都道府県等によるマンション管理適正化推進計画(以下「推進計画」)やマンション管理計画認定制度が創設されました。マンションの管理組合は、自らのマンションの推進計画を作成した都道府県等の長に提出し、一定の基準を満たす場合、推進計画を作成した都道府県等の長による認定を受けることが可能となります。これにより、認定を受けたマンションが市場で評価されるなど、管理の適正化が推進されることが期待されます。
※ 市区の区域内は市区、町村の区域内は都道府県
   マンション管理計画認定制度は、マンション管理計画が一定の基準を満たす場合に地方公共団体の認定を受けられる制度です。「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の改正により、令和4(2022)年4月から開始されています。
マンション管理計画認定制度の創設は、マンション管理の適正化を推進することが目的です。マンションの管理水準を底上げするため、必要に応じて地方公共団体が管理組合に指導や助言、勧告を実施します。なお、認定を受けることができるのは、地方公共団体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している地域にあるマンションです。

   マンション管理計画認定制度の創設を踏まえ、2021年9月には「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な指針(管理適正化指針)」が策定されました。本指針では、マンション管理計画認定制度の認定基準などが定められています。主な認定基準は以下の通りです。

〇 修繕その他管理の方法
〇 修繕その他の管理にかかる資金計画
〇 管理組合の運営状況
〇 管理適正化指針・市区独自の管理適正化指針に照らして適正なものであること

 「長期修繕計画の計画期間が一定期間あるか」「計画に基づいて修繕積立金が設定されているか」「定期的に総会を開催しているか」といった点が審査されます。また、管理適正化指針や市区独自の指針に照らして、管理計画が適正なものであるかも判断されます。地方公共団体は、管理適正化指針や市区独自の指針に基づき、必要に応じて管理組合の管理者などに助言や指導、勧告を行います。助言・指導・勧告の判断基準の目安は以下の通りです。

 

  助言・指導・勧告の判断基準の目安

判断項目 助言・指導・勧告の判断基準の目安
管理組合の運営 管理者が定められていない
総会が開催されていない
管理規約 管理規約が存在しない
管理組合の経理 管理費と修繕積立金額が区分されていない
長期修繕計画の作成および見直し 修繕積立金が積み立てられていない
その他 組合員名簿、居住者名簿がない

 上記のような状況の場合、マンション管理が不適切と判断される場合があります。マンション管理計画認定制度のメリットは以下の通りです。

〇 マンション管理水準の維持向上につながる
〇 市場評価・地域価値の向上が期待できる
〇 購入希望者がマンション管理状況を把握しやすくなる
〇 金利優遇を受けられる(新築の場合)

 管理者や区分所有者のマンション管理に対する意識が高まり、管理水準の維持向上につながります。地方公共団体の認定を受けたマンションであることをアピールすれば、市場評価や立地している地域価値の向上も期待できます。現在は、購入希望者がマンションの管理状況を把握するのは簡単ではありません。しかし、今後は認定の有無を確認すれば、一定の管理水準を満たしているかを把握できるようになります。また、中古だけでなく、新築マンションにも管理計画を認定する制度が開始される予定です(予備認定)。予備認定を受けた新築マンションを取得する場合は、住宅金融支援機構の「フラット35」の金利が一定期間引き下げられます。
※ 出典:
住宅金融支援機構 「【フラット35】令和4年4月の制度変更事項のお知らせ」より

 

  マンション管理計画認定制度のデメリットは、マンション管理組合の事務負担が増えることです。
認定を受けるには認定申請書や長期修繕計画を作成し、必要書類を準備して地方公共団体に申請しなくてはなりません。一度認定を受けたら終わりではなく、5年ごとの更新もあります。管理水準の底上げは期待できますが、管理組合の負担は大きなものになるでしょう。ただし、マンション管理センターによる「管理計画認定手続き支援サービス(オンライン申請)」を利用すれば、事務負担の軽減が期待できます。マンション管理計画の認定申請方法は、「オンライン申請」と「窓口への直接申請」の2つがあります。オンライン申請の流れは以下の通りです。

1 マンション管理センターへ認定申請依頼
2 マンション管理士の事前確認
3 事前確認適合通知(適合証)の発行
4 地方公共団体へ認定申請
5 認定(マンション管理センターの閲覧サイトで公表)

 オンライン申請でマンション管理士の事前確認を受けて適合証が発行されると、地方公共団体が審査の事務手続きを省略できる仕組みになっています。オンライン申請のほうが、申請手続きをスムーズに進められるでしょう。窓口への直接申請は地方公共団体によって手続きの流れが異なるため、申請する地方公共団体に直接確認してください。事前確認や認定申請では手数料がかかる可能性もあるので、申請前に確認しておくことが大切です。認定申請に必要な書類は、以下の通りです。

〇 認定申請書
〇 総会議事録の写し
〇 管理規約の写し
〇 貸借対照表
〇 収支決算書
〇 各戸の修繕積立金滞納額がわかる書類
〇 長期修繕計画の写し
〇 組合員・居住者の名簿の保証書

 必要書類を準備する際は、記載内容や事業年度などの諸条件を地方公共団体に確認しておきましょう。長期修繕計画については「計画期間30年以上」「残存期間内に大規模修繕工事2回以上含まれている」といった要件があります。マンション管理計画認定制度を利用して地方公共団体から認定を受けると、マンションの価値向上につながるかもしれません。ただし、認定基準はマンションを適切に維持管理するうえで最低限の基準を定めているものなので、認定を受けることが必ずしも価値の向上に寄与するとは限りません。マンション管理組合の事務負担が増えるデメリットがあり、認定制度の効果には不透明な部分もあります。認定制度創設の影響は冷静に見極める必要があります。

※ 出典:国土交通省 「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」の策定について

日本が抱えるエネルギー問題・環境問題とは?再生可能エネルギーを選ぶと何が変わるの?



 東京電力管内に「電力需給ひっ迫注意報」が発令中です 
 経済産業省は、厳しい電力需給状況を踏まえて、東京電力管内に「電力需給ひっ迫注意報」を発令中です。現時点での最新の需給見通しを踏まえ、6月29日(水曜日)も引き続き「電力需給ひっ迫注意報」を継続しています。暑い時間帯には適切に冷房等を活用し、水分補給を行うなどして、熱中症にならないよう十分に注意しつつ、使用していない照明を消すなどの無理のない範囲での節電を呼び掛けています。また、太陽光発電の出力が低下し、需要が高水準である15時~20時の時間帯は、特に電力需給が厳しくなりるため、冷房等を活用し、熱中症には十分に注意しつつ、できる限りの節電をお願いしています。
    

  「節電ポイント政策」
の参加者に一律2000円を与える制度は迷走しています   
 節電をした人にポイントを付与する政府の「節電ポイント政策」が批判されています。6月21日に岸田首相が自ら発表しましたが、その後に全国的に記録的な高温となり、政府は新設した「電力需給ひっ迫注意報」を発令したことで、その政策が無意味と批判され続けています。政府は、節電をした家庭にポイントを付与する「節電ポイント政策」の導入を発表しましたが、制度の詳細や財源などは曖昧で、一世帯当たりが節電で獲得できるポイントは、金額換算で月数十円程度とわずかであるとの見通しが解かったため、「無意味だ」「安すぎる」「節電効果はこれでは数ワットだ」と批判が湧き上がったのです。その批判を受けたため、政府は、「節電ポイント政策」の参加者に一律2000円を与えると発表しました。ところが今度は「ばら撒き」「ただのりの懸念」などの批判がSNSで噴出したのです。この政策は迷走しています。おそらく政策のアイデアは経産省で、首相も役人も、これだけ批判を集めることを予想していなかったのでしょう。経産省の政策立案能力の低下が、最近指摘されていますが、それを証明してしまった格好です。「この暑さでは冷房で命を守る方が大切です。政府の失敗を押し付けるなといいたいのです。国民の「節電ポイント政策」への不満は、正当性のあるもので、電力のひっ迫は、これまでのエネルギー政策の失敗がもたらしたと、賢明な国民の大半は理解しています。今年の夏に電力需給が逼迫することは、昨年末から予想されていたのです。この「節電ポイント政策」が、政治の不作為と無責任を強調する結果になってしまったのです。

 

   日本が抱えるエネルギーの問題として、化石燃料への依存度の高さが挙げられます。

 私たちの生活に欠かせない、電気、ガスなどのエネルギー。近年、世界や日本のエネルギー問題が報道されており、将来にわたって安定したエネルギー供給が可能かどうかには不安もあります。
日本が抱えるエネルギーの問題として、化石燃料への依存度の高さが挙げられます。2019年の電源別発電量のうち火力発電の占める割合は、天然ガス37.1%、石炭31.9%、石油等6.8%と全体の75.8%にも上ります。なぜ化石燃料への依存が日本にとって問題になるのか、その理由を考えていきます。



 温室効果ガスの排出量削減は喫緊の課題で化石燃料依存からの脱却が求められます  
 化石燃料に依存する第1の問題は、温室効果ガスを排出する点です。温室効果ガスによる気候変動は世界各地で起きている異常気象の原因と考えられ、今や国際的な問題になりました。地球温暖化問題を踏まえて世界各国は現在、脱炭素へと舵を切っています。2015年にはパリで温室効果ガス削減を話し合うCOP21が開催され、気候変動に関する国際的な枠組みであるパリ協定が採択されました。パリ協定は2020年からスタートし、途上国を含めた主要排出国が温室効果ガスの削減義務を負うようになり、そのなかには当然日本も含まれています。多くの国では、温室効果ガスの実質的な排出をゼロにするカーボンニュートラルを目標として表明しており、日本でも2020年10月に当時の菅義偉総理が2050年までの達成を宣言しています。このように、日本にとって温室効果ガスの排出量削減は喫緊の課題になっており、今後はますます化石燃料依存からの脱却が求められます。



 エネルギーの中東依存には問題がありエネルギー供給に支障が出る恐れがあります
 化石燃料が抱える第2の問題は、輸入の多くを中東地域に依存している点です。中東地域には政情が不安定な国も多く、政変や紛争などが発生すれば、日本へのエネルギー供給に支障が出る恐れがあります。日本は原油の35.9%をサウジアラビア、31.2%をUAE(アラブ首長国連邦)、11.0%をクウェート、10.4%をカタールから輸入しており、中東への石油依存度は92%にも上ります。さらに、中東から日本までは12,000km、船で片道20日という長大な距離があります。輸送路の途中にはチョークポイントと呼ばれる戦略的に重要な水路もあり、もし航路が封鎖されたり安全に使えなくなったりすると、日本へのエネルギー輸送自体が難しくなります。2019年には原油など輸送路であるホルムズ海峡付近のオマーン湾で日本のタンカーが攻撃を受け、死者を出す事件も起きています。今後もシーレーンの安全が続く保証もなく、この点からもエネルギーの中東依存には問題があると言えるでしょう。



 原油や天然ガスの価格は、政治・経済要因で乱高下し
、価格変動の影響をまともに受けてしまいます

 第3の問題点として、原油や天然ガスの価格は、国際的な政治・経済要因によって乱高下する傾向があります。化石燃料に依存していると、こうした価格変動の影響をまともに受けてしまいます。例えば、1970年代に中東戦争がきっかけになって起きたオイルショックでは、原油価格が3カ月で4倍まで高騰しました。最近でも、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻によって原油・天然ガスの価格が急騰しています。化石燃料への依存が高いと価格が上昇しても高値で原油を買い続けなければなりませんし、他国との獲得競争でさらに高額になる可能性もあります。そして日本では、原油価格が高くなると、そのまま電気料金の上昇へとつながり、国内経済にも悪影響をもたらします。東日本大震災による原発停止の影響もあり、2010年と比べると日本の電気料金は家庭向けで22%、産業向けで25%値上がりしています。国際的な原油価格の上昇が国民生活に直接与える影響は大きく、化石燃料に依存している限りはこうした状況は改善されないと言えます。

※ 出典:資源エネルギー庁 【日本のエネルギー、150年の歴史④】2度のオイルショックを経て、エネルギー政策の見直しが進む

※ 出典:資源エネルギー庁 2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)

 

   日本は非常に脆弱なエネルギー構造の上に成り立っており安定的なエネルギー供給の確保が求められています
 日本の化日本は非常に脆弱なエネルギー構造の上に成り立っており、安定的なエネルギー供給の確保が求められています。石燃料への依存度が高い理由として、主にエネルギー自給率が低いことと、原子力発電所の発電量減少が挙げられます2000年代には35~25%程度で推移していた日本の電源別発電電力量に占める原子力の割合は、2011年の東日本大震災による福島第一原発の事故を受けて急減。2012年以降は1~2%程度の低い値になり、2019年でも6%までしか回復していません。減少分は天然ガスや石炭などで埋め合わせなければならず、必然的に化石燃料依存が高くなっています。日本の化石燃料依存改善には、この減少分を他のエネルギーによって補填する必要があります
 国産資源の乏しい日本は、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っており、エネルギー自給率の低さは日本が抱えるエネルギー問題の1つです。低いエネルギー自給率がもたらす一番の問題は、エネルギー供給の不安定さにあります。日本のエネルギー自給率は11.8%でOECD加盟35カ国中34位と下から2番目の水準です。2011年以前は20%ほどだったエネルギー自給率は震災後の原発停止の影響を受け、さらに低下しました。にも関わらず、日本はアメリカ、カナダ、韓国に次ぐ世界第4位のエネルギー消費量を誇るエネルギー消費大国です。現在の日本はエネルギー消費が他国に比べて大きい上に、エネルギー資源の9割程度を海外からの輸入に頼っている状態なのです。そのため、日本のエネルギー事情は輸入先や国際情勢の変化から非常に影響を受けやすくなっています。もし何らかの理由でエネルギーの輸入がストップするようなことになれば、日本の社会・経済は立ち行かなくなってしまいます。今の日本は非常に脆弱なエネルギー構造の上に成り立っており、安定的なエネルギー供給の確保が求められています。



 エネルギー安全保障は、エネルギー供給の安定化で国民の安全を守っていくという考え方
です。 
 エネルギー安全保障は、エネルギー供給の安定化によって国や国民の安全を守っていくという考え方です。エネルギーの供給が止まれば、経済活動や市民生活に重大な影響が及ぶため、社会に必要な量のエネルギー源を妥当な価格で継続的に確保することが求められます。そのためには、エネルギー自給率の向上や使用するエネルギー源の多様化、輸入先の多様化、省エネ向上、備蓄の拡大といった対策が必要になります。多くの原発が停止している現在、エネルギー自給率向上には再生可能エネルギーの開発が不可欠と言えるでしょう。他にも、省エネ技術の発達や電気自動車のように化石燃料に頼らない技術、水素技術のように新しいエネルギーの開発や国内備蓄の拡大など、日本が独自に行える対策も多くあります。こうした取り組みを積極的に行っていけば、日本のエネルギー安全保障を向上させるだけでなく、省エネ技術を通じた国際貢献にもつながります。



 日本での再生可能エネルギーの主力電源化に向け、課題となるのがコスト問題です

 気候変動への対策として期待されているのが、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーです。国内で発電できるため、エネルギー自給率を改善できるというメリットがありますが、日本は普及への課題を抱えています。日本での再生可能エネルギーの主力電源化に向け、課題となるのがコスト問題です。 世界的には再生可能エネルギーの発電コストは急速に低下しており、価格競争が加速しています。とはいえ、再エネ発電所新設への投資コストはゼロになることはありません。日本においても、そのコストをどうやって下げるかが課題となっています。そのために日本がとったのはFIT制度(固定価格買取制度)の導入です。FIT制度は、再生可能エネルギーの普及を促すために太陽光などで発電された電気を電力会社が決められた価格で買い取ることを義務付けたものです。こうすることで、FIT制度が適用された発電所の発電収入が安定化し、投資コストの回収がより容易になりました。ただし、この結果として日本国民のほとんどが再生可能エネルギー開発促進賦課金による負担を受け入れることにもなりました。ちなみに、2022年4月からは、卸電力取引市場(JEPX)の価格に一定にプレミアムを上乗せする「FIP制度」が開始されます。



 再生可能エネルギーの普及のためには送電設備の増設など、電力系統の改革が必要です。

 再生可能エネルギーの普及には、電力会社が電力を供給するための電力系統にも課題があります。
これまで大手の電力会社(東京電力などの一般電気事業者)が運用してきた電力系統は、火力や水力、原子力など大きな発電所から需要地へと運ぶためのものでした。再生可能エネルギーの発電場所は、必ずしもこれまで発電所があった地域と一致しているわけではなく、効率的に送配電ができるようなつくりにはなっていません。普及のためには送電設備の増設など、電力系統の改革が必要になります。また、再生可能エネルギーは地域によって供給に差があります。例えば、北海道や東北では風力発電の発電量が高くなっています。普及した再生可能エネルギーを効率的に利用するには、再エネ電力の発電量が多いエリアと、電力需要の多いエリア間での連系線増強工事など電力共有を簡単にする仕組みづくりも必要になります。現在の日本では基本的に東京や関西、中部などエリアごとに電力の需給を調整しているため、このままでは再生可能エネルギーで発電を行っても東京や大阪など電力需要の高い大都市などに上手く電気を送れない可能性があります。

 

   さらなる省エネルギーを進めるには家庭部門・業務部門でのエネルギー効率化が必要です
 日本のエネルギーには海外依存や化石燃料依存といった問題があり、再生可能エネルギーの普及も進んできていますが、まだまだ課題を残しています。こうした現状を踏まえると、エネルギーの安定化だけでなく、さらなる省エネルギーの促進が必要です。日本の省エネルギーを進める上で重要になるのが、一般家庭や飲食店、商業施設など業務部門における電力消費をいかに効率化するかです。日本の実質GDP(国内総生産)は1973年から2017年の間に2.6倍になり、最終エネルギー消費量は1.2倍になりましたが、エネルギー利用効率を表す「エネルギー原単位」ではG7中イギリスに次いで第2位と高い水準にあります。日本はGDPのうち製造業の占める割合が21%と高い(イギリスは10%)にも関わらず、この数値で、経済発展に対してエネルギー効率の面では非常に優れていることがわかります。しかし、部門別に細かく見ていくと課題も見えてきます。製造業など産業部門でのエネルギー消費量の変化が0.9倍なのに対し、家庭部門は2.0倍、事務所やオフィスビル、商業施設、飲食店などの業務部門は2.1倍と全体の水準より高くなっています。さらなる省エネルギーを進めるには、家庭部門・業務部門でのエネルギー効率化が必要と言えます。

 
   建物の断熱性能の向上など省エネルギーが進めば大きな効果を期待できます  
 日本では現時点でもエネルギー効率が高いことから、省エネルギー促進にはこれまでと異なる観点からの消費量削減が求められており、その1つに建物の断熱性向上があります。ビルや住宅、商業施設などの建築物は世界のエネルギー消費の約3割を占めると言われ、建物の省エネルギーが進めば大きな効果を期待できます。建物の断熱化を進めれば、夏は外部からの熱を遮断して室内が高温になるのを防ぎ、冬は熱が外に逃げるのを防いで暖房効果を高めてくれるので、空調機器の負荷を減らしエネルギー消費を抑えられます。ひさしを大きくして日光を遮る、北側からの涼しい風を取り入れるといった遮光・通風に配慮した対策も地味ですが効果的です。さらに発展型として、快適な室内環境を保ちながら、太陽光発電などを併用して年間の一次エネルギー消費収支ゼロを目指すネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)やネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)といった建物の普及も望まれます。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)とは、外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、太陽光発電などの再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅です。

略称「ZEH(ゼッチ)」といいます。「ZEH(ゼッチ)」は、「省エネ」と「創エネ」によって、年間で使うエネルギー量が創るエネルギー量との差し引きで、概ねゼロ以下となる住宅です。
〇 省エネ(高断熱の壁や窓、高性能の省エネ機器等の導入により住宅に必要なエネルギーを最小限にする)

〇 創エネ(太陽光発電などの再生可能エネルギー等の導入により住宅に必要なエネルギーを創る)

※ 出典:三菱電機 これだけは知っておこう、『中学生からの環境用語』ZEB・ZEH



   今後原発をどうするかは日本のエネルギーを考える上で避けて通れない問題であり、さまざまな議論が起きています
 日本では2011年の東日本大震災にともなう東京電力福島第一原発事故以降、多くの原発が停止した状況が続いています。2022年2月28日時点で全国の原発のうち、再稼働しているのが10基、設置変更許可が7基、新規制基準での審査中が10基、未申請が9基、廃炉が24基(※)となっています。今後原発をどうするかは日本のエネルギーを考える上で避けて通れない問題であり、国内でもさまざまな議論が起きています。
 電力供給の少なくない部分を原発が担ってきたこと、少なくとも火力発電などと違って温室効果ガスを排出しないことは事実であることなどから、脱炭素の文脈において原発は無視できない問題です。原子力発電は震災前の2010年には供給の11.2%を占めていましたが、2011年以降は2.8%に低下し、日本のエネルギー自給率低下や化石燃料への依存度へ影響を与えています。なかでも、原発停止により火力発電が増加したことは、一見すると温暖化対策に「逆行」と思わせることにもなりました。地球温暖化対策を先導するヨーロッパでは、再生可能エネルギーに加え、CO2を排出しない原発を利用して脱炭素を目指す国が一部現れています。フランスでは2022年2月、脱炭素達成を理由に今後国内に新たに6基以上の原発を建設する計画が発表されました。「このまま原発の停止が続けば、世界的な脱炭素の流れに取り残される」という意見もあります。 
   日本では、福島第一原発事故を受けて国内の原発を一時期すべて停止させました。そして、原子力発電所に対してそれまで以上に厳しい規制基準を改めるなど、安全性向上に関して対策を進めてきました。事故後の新規制基準は、津波のため電源を喪失したことが原発事故に結びついたことなど震災の教訓を反映させた内容となっています。また、長期的には原発依存度を下げることも目標にしていて、一部の原発では廃炉作業も行われています。ただ、すぐにすべての原発をなくしてしまうのは、エネルギー安定供給の面から見ても現実的ではありません。原発事故は多くの人命を危険に晒しましたが、2021年・22年の冬にエネルギー不足が問題になったように、電気の安定供給に関する課題も存在しています。原発再稼働に関する議論が存在していることは事実として認識しておく必要があります日本が抱えるエネルギー問題に関して、私たち個人にできることは必ずしも多くないように見えますが、まったくないわけでもありませんエネルギーは個人が選べる時代です。例えば、化石燃料に頼らず、再生可能エネルギーから生み出される電気を使うことは、脱炭素への貢献方法の1つでしょう。

※ 出典:資源エネルギー庁 2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)
※ 出典:JETRO 「脱炭素」達成に向け、原発6基以上を建設へ(フランス)

「失われた30年」の正体は、今もなお日本社会に根強く残る「ムラ社会」的な意識か?



   知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい。
   この言葉は、日本社会の前近代性を指摘した、かの有名な夏目漱石の小説「草枕」の冒頭の一節です。
人生の生きづらさを説いた名文です。良い人間関係を築くことの困難さを漱石は、このような言葉で説いていますが、世の中に「ムラ社会」の雰囲気が残り、人間関係は、知識や理屈で人を説得しようとすると角が立ってしまい、うまくいきません。自分の感情だけで行動すれば流されてしまいます。意地を貫こうとすれば、孤立してしまい窮屈にしか生きられなくなります。いずれにしても、「ムラ社会」の世を生きることは難しいということです。どんな場合にどんな行動をするかは、その人の生き方で次第ですが、どんな行動を選択しても、何らかの欠点、障害があるのは当然で、それを覚悟して生きていかなければなりません。人はそれぞれ、生き方や考え方が異なるので、人の世は生きづらいのです。しかし、だからこそ、面白いとも言えます。あらためて「流れに掉さす」という言葉や、「情に棹させば流される」という言葉を味わってみてはいかがでしょうか。


 日本の経営体は、「ムラ社会」的な価値観を踏まえ、生産活動を行うために組織されています
   江戸時代、わが国ではおよそ9割の人が、農業に従事していました。それゆえ、農村から都市へと移住した人、農業から職を変えた多くの人は、多少なりとも農村の規範や価値観に従って育ってきました。日本の経営に、「ムラ社会」の規範が多くみられるのは、そのためです。幼少期から育まれた人の性格は、年齢を重ねてもなお維持されて、どれほど都市での生活様式に馴染んだとしても、染みついた思考習慣はどこかに残っているものです。そういう大人が子供を育てるのですから、次の世代もまた、同じような思考習慣をもつようになります。社会の規範は、そこで生活する人びとの価値観を反映しながら生成されるのです。日本の経営体は、「ムラ社会」的な価値観を踏まえつつ、滞りなく生産活動を行うために組織されているのです。日本の経営体は家族主義というよりは、「ムラ社会」的な集団主義なのです。ムラ社会」は、合理性や生産性ではなく、調和を目指すため、欧米先進国とは異なり、非生産的な活動が残存しているのです。それに異議を唱える者は、秩序を乱す者として諫められます。転職は悪だとの風潮が変わってきたことは、自己実現の欲求をもつ人には幸運でした。彼らは自分自身を変えようと努力してきたから、実力もまた蓄えてきました。日本的な組織から離れていくのは、有能な人材となります。かれらはより合理的で、より有意義な働き方のできる組織へと移っていくのです。これらの人びとは、集団の価値観に埋没しなかったからこそ、有能になれたのです。周りの非難を覚悟し、新たなことに挑戦することで、自分自身であろうとしたのです。言いかえれば、「ムラ社会」的な集団の中で活動したからこそ、彼らは鍛えられたのです。閉塞した社会に生きることは、必ずしも悪ではなく、北風の中でしか育まれない精神もあるのです。かつて農村から都市へと移住したように、非生産的な組織から生産的な組織へと、人びとは移っていきます。淘汰される組織から逃れることができるのは、その中で自分を高めようと、研鑽し続けた者だけです。企業という「ムラ社会」に毎日通勤して、「ムラ社会」の中の論理だけで働き、報酬を得ます。これがあたりまえだった時には、働くということはそれほど難しいものではなかったのです。働くことの意味合いの多くが、会社組織の一員であるという安定的な基盤の上に成り立っていたからです。


 日本の大企業に蔓延する「ムラ社会」の意識が
世界から置いていかれた理由です
 日本企業が世界中から称賛され、世界のマーケットを席巻していた時代はとうの昔に過ぎ去りました。現在、世界をリードするのはGAFAと呼ばれるグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンなどのITをベースとしたサービス業です。今、日本企業で肉薄できる会社は存在しません。このGAFAにマイクロソフトを加えたGAFAMの時価総額をみると、すでに日本の東証一部企業の時価総額を超えています。日本企業からみれば、もはや視界にも入らない遠くを走っています。日本は平成時代にどうやら相当惰眠を貪ってしまったようです。世界の急速な進歩から周回遅れになっているのは厳然たる事実です。この30年の間に日本企業は、なぜ世界から置いていかれたのでしょうか。その理由は、日本の大企業に蔓延する「ムラ社会」の意識のせいです。良い学校を出た学生の多くが、良い会社、安定した基盤がある大企業に就職するのです。同じような「ムラ社会」の中で、同じような境遇で育ってきた学生を、同じような価値観、「ムラ社会」にあう人物と評価して採用するのです。太平の世の中が続く限り、この方法にそれほど間違いはないのですが。しかし、ビジネスの世界は時代の変化とともに急速に変わって、この30年間は、製造業のようなハード産業が、ITを利用したサービス産業に急速に取って代わられる30年だったのです。そこに日本は何の手も打てなかった。起業をする若者は少なく、良い学校を出た学生はあたりまえのように大企業にしか顔を向けないで、みんながひとところに集まって、寄り添い、もたれあって仕事する。時代の変化には目をつぶり、小さくなっていく需要のパイを奪い合う業種で生きていたのです。日本は今でも人口が1億人を超えるマーケットが存在するので、まだ大企業同士で萎む需要を分け合うことができています。しかし、今後の発展は期待できず、大企業の中でもそろそろ寿命が尽きるところが出てきても不思議ではないのです。これからの時代、情報通信機器を駆使して、自らの能力を武器に仕事をしていく人が増えていくと、必然、企業組織も変わらざるを得なくなります。大企業の「ムラ社会」の論理は崩れ、組織を構成する堅固な中間組織は不要のものとなる可能性があります。頑なに「ムラ社会」の論理を守ろうとする会社は、世界の競争からさらに引き離され、国内需要が萎み続ける中で完全に行き場を見失うところも出てきます



 もはや「ムラ社会」に慣れたサラリーマンという身分は保障されなくなります  
   大企業でサラリーマンをやることほど「楽な職業」はない。よく公務員が気楽、と言われますが、公務員は税金をいただいて働く身分であるだけに、公僕としての使命感と市民から監視されている緊張感から逃れることはできません大企業はあくまでも民間で、民間だから倒産するリスクはつきまといますが、これが大企業であればあるほど、可能性はそれほど高いものではなく、大企業になればよほどの不祥事、法律に違反するような行為でもしでかさない限り馘になることは稀です。日本のサラリーマンの中で一体どれだけの人が、自らの仕事に誇りを持ち、業務の専門知識を磨くために勉強しているでしょうか。会社が命じる資格試験や昇進試験のために勉強する人はいますが、自らが専門的な知見を広めるよう努力を続けている人はごく一部の方々です。ポスト・コロナ時代、気楽な商売だったサラリーマンという職業は世の中からなくなっていくのではないでしょうか。なぜなら中間管理職の多くが存在意義を失い、テレワークによって個人事業主化した個人と会社が、業務委託契約のような関係でつながるようになれば、会社の中の上下関係や社員同士の鍔迫り合いはあまり意味のある話ではなくなるからです。能力のないサラリーマンのままでは、これからは会社の中で排除されていく運命にあります。「’ムラ社会」掟しか知らずに時間を重ねてしまった彼らに生きる道はわずかなものとなってしまうはずです。もはやサラリーマンという身分は保障されなくなり、在宅勤務という名の自宅待機を命ぜられ、楽しかったはずの「ムラ社会」にも通うことすら叶わなくなってしまいます。どんどん膨らみ経済成長を続ける時代は誰でもが幸せをつかむ道があったのですが。サラリーマンになって、大きな失敗もせずに真面目にコツコツ勤めていれば、年齢とともに給料も上がり、多少の違いがあったとしてもある程度の役職にも就くことができ、定年時にはまとまった退職金と大企業であれば潤沢な年金もいただけたのです。しかし今、サラリーマンの最上位層に君臨する大企業サラリーマンの間でさえも大きな変革が訪れています。このままでは身分の保障が得られない可能性が出てきました。仕事のしかたが変わる、組織が変わる、人の評価が変わる。ブランドで選んでいた就活にもやがて変化が訪れるでしょう。


 株式市場は、今も史上最高値を約4割ほど下回ったままで、低迷を続けています
 今から30年前、1990年の東京証券取引所は1月4日の「大発会」からいきなり200円を超える下げを記録しました。1989年12月29日の「大納会」でつけた史上最高値の3万8915円87銭から、一転して下げ始めた株式市場は、その後30年が経過した今も史上最高値を約4割ほど下回ったまま。長期的な視点に立てば、日本の株式市場は低迷を続けています。
その間、アメリカの代表的な株価指数である「S&P 500」は、過去30年で約800%上昇。353.40(1989年末)から3230.78(2019年末)へと、この30年間でざっと9.14倍に上昇しました。かたや日本は1989年の最高値を30年間も超えることができずに推移しています。この違いはいったいどこにあるのか。そしてその責任はどこにあるのか。アメリカの経済紙であるウォールストリートジャーナルは、1月3日付の電子版で「日本の『失われた数十年』から学ぶ教訓」と題して、日本が構造改革を行わなかった結果だと指摘しました。この30年、確かに株価は上がらなかったが、極端に貧しくなったという実感も少ないのです。政治は一時的に政権を明け渡したものの、バブル崩壊の原因を作った自民党がいまだに日本の政治を牛耳っており、日本のあらゆる価値観やシステムの中に深く入り込んでいます。バブルが崩壊した原因やその責任を問われぬまま、「失われた30年」が過ぎてきた。自民党がやってきたことを簡単に総括すると、景気が落ち込んだときには財政出動によって意図的に景気を引き上げてリスクを回避し、その反面で膨らむ一方の財政赤字を埋めるために消費税率を引き上げ、再び景気を悪化させる、そんな政治の繰り返しだったのです。2012年からスタートしたアベノミクスでは、財政出動の代わりに中央銀行である日本銀行を使って、異次元の量的緩和という名目で、実際は「財政ファイナンス(中央銀行が政府発行の国債を直接買い上げる政策)」と同じような政策を展開してきました。政府に逆らえない中央銀行総裁が登場したのも、日本経済の「失われた30年」と無縁ではないのです。実際に、近年の日本の国際競争力の低下は目に余るものがあります。生産能力は低下する一方であり、加えて少子高齢化が顕著になってきています。新しい価値観をなかなか受け入れない国民や企業が蔓延し、「失われた30年」が過ぎたいま、日本はこれから失われた40年、あるいは失われた50年を歩き始めているのかもしれません。このままでは2030年代には、日本は恒常的なマイナス成長国家となり、経常赤字が続き、やがては先進国から陥落する日が来るのかもしれません。そんな予測をする専門家も多いのです。日本の「失われた30年」をもう1度検証し振り返ってみます。この30年で日本はどんな変化を遂げたのでしょうか。第1に株価の低迷がずっと続いていることです。1989年の大納会でつけた3万8915円という高すぎる株価は、解禁されたばかりの株式先物指数が一部の外国人投資家に使われた意図的な上昇相場であったという背景もありますが、30年間回復できない現実は日本経済に問題があるとしか言いようがないのです。アメリカの株価がこの30年で9倍になったことを考えると、日本の株価は異常な状態と言っていいでしょう。ちなみに、この30年間でドイツの株価指数も1790.37(1989年末)から1万3249.01(2019年末)に上昇、ざっと7.4倍になっています。なお、株式市場の規模を示すときに使われる「時価総額」も、この30年で日本はわずかしか上昇していません。株式の上昇による資産効果の恩恵を日本の個人はほとんど受けていないことになります。個人が株式に投資して金融資産を大きく伸ばしたアメリカに比べると、日本は一向に個人の株式投資が進んでいません。日本人の多くが豊かさを実感できない理由の1つと言っていいでしょう。実際に、この30年で海外投資家の日本株保有率は1990年度には5%弱だったのが、2018年度には30%に達しています。日本株の3割は外国人投資家が保有しているのです。かつて日本の株式市場は3割以上が国内の個人投資家によって保有されていました。バブル崩壊によって個人投資家が株式投資から離れ、その後の個人の資産形成に大きな影を落としたのです。現在では、過去最低レベルの17%程度にとどまっています。アベノミクスが始まって以来、政府は「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」などの「五頭のクジラ」と呼ばれる公的資金を使って、意図的に株価を下支えしていると言っていいでしょう。日銀も「ETF(上場投資信託)」を買い続けているのです。これでは、株価は適正な価格形成を行えず、個人投資家の多くは割高な価格で株をつかまされている状態です。株式市場というのは、あくまでも市場の価格形成に任せるのが望ましく、株価が大きく下がれば個人投資家が株式投資を始める可能性が高く、せっかくの投資機会を、政府が意図的に邪魔している状態が続いてきたとも言えるのです。マクロ経済的に見ると、日本の名目GDPは1989年度には421兆円だったのですが、30年を経た現在では557兆円になっています(米ドル建てで計算、1989年はIMF、2018年は内閣府推計)。一見すると国内総生産は順調に伸びてきたかのように見えますが、世界経済に占める日本経済のウェートを見ると、1989年15.3%、2018年5.9%その凋落ぶりがよく見て取れます。アメリカのウェートが1989年の28.3%(IMF調べ)から2018年の23.3%へとやや低下したのに比べると、日本の落ち込みは大きいのです。その代わり中国のウェートは2.3%から16.1%へと急上昇しています。新興国や途上国全体のウェートも18.3%から40.1%へと拡大している。日本の国力の低下は、明らかです。


 日本は今や先進国とは名ばかりの状態なのかもしれません。 
 日本の「失われた30年」を的確に示している指標には、日本全体の「国際競争力」や日本企業の「収益力ランキング」があります。スイスのビジネススール「IMD」が毎年発表している「国際競争力ランキング」では、1989年から4年間、アメリカを抜いて日本が第1位となっていました。それが2002年には30位に後退し、2019年版でも30位と変わっていません。一方、アメリカのビジネス誌『フォーチュン』が毎年発表している「フォーチュン・グローバル500」は、グローバル企業の収益ランキング・ベスト500を示したものだ。1989年、日本企業は111社もランキング入りしていたが2019年版では52社に減少しているのです。日本の科学技術力は、この30年で大きく衰退してしまいました。 日本の研究者が発表した論文がどれだけほかの論文に引用されているのかを示す「TOP10%補正論文数」というデータでも、1989年前後には世界第3位だったのでだが、2015年にはすでに第9位へと落ちてしまっています。このほかにも、ここ30年で順位を落としてしまった国際ランキングは数知れず、ほとんどの部分で日本以外の先進国や中国に代表される新興国に抜かれています。日本は今や先進国とは名ばかりの状態なのかもしれません。一方のアメリカは、リーマンショック時に、大胆にかつスピード感を持って解決策を打ち出しました。責任を回避せずに、リスクに立ち向かう姿勢がアメリカにはあったと言っていいのです。日本はつねにリスクを回避し、事なかれ主義に徹し、改革のスピードや規模が小さくなってしまいます。その結果、決断したわりに小さな成果しか上げられない、この30年の失われた期間は現在の政府に責任があることは間違いありません。それでも国民は、バブル崩壊の原因を作った政府にいまでも肩入れしています。その背景には補助金行政など、政府に頼りすぎる企業や国民の姿があります。実際に、この30年間の統計の中でもあったように政府債務は250兆円から約4倍以上の1100兆円に増えているのです。長期にわたってデフレが続いたため、政府は経済成長がなく、税収が増えない分を長期債務という形で補い続けてきたのですが、収入が減ったのに生活水準を変えずに、借金で賄ってきたのが現在の政府の姿と言っていいのです。



 30年近い歳月、日本国民は土地価格の下落を余儀なくされてきました

 全国平均の公示地価を見ると、1976年を「0」とした場合、1992年まではプラス圏だったが、その後バブルが崩壊して住宅地、商業地ともに公示価格はひたすらマイナスを続けて、2015年にやっと「前年比プラス」に転じる状況にあります。30年前の土地価格に戻るには、悪性インフレぐらいしか考えられない状況です。要するに、30年近い歳月、日本国民は土地価格の下落を余儀なくされたのです。政府は構造改革につながるような大胆な改革を行ってこなかったのです。都市部の容積率を抜本的に見直すといった構造改革を怠り、消費税の導入や税率アップのような構造改革ではない政策でさえも、選挙に負けるというトラウマがあり、一線を超えずにやってきました。構造改革をスローガンに何度か大きな改革を実施したことはあります。例えば、企業の決算に「時価会計」を導入したときは、本来だったら構造改革につながるはずだったのですが、これは、政府が導入したというよりも、国際的に時価会計導入のスケジュールが決まり、それに合わせただけのことでしだが、本来であれば株式の持ち合いが解消され、ゾンビ企業は一掃されるはずだったのです。ところが政府は、景気が悪化するとすぐに補助金や助成金といった救済策を導入して、本来なら市場から退散しなければならない企業を数多く生き残らせてしまったのです。負の結果を恐れるあまり、政府はつねにリスクを先送りしてきたのです。バブル崩壊後も、株式市場は長い間、「PKO相場」と言われて、政府によって株価が維持されてきました。今大きな問題になっているのが、デジタル革命、 IT革命といった「イノベーション」の世界の趨勢に日本企業がどんどん遅れ始めていることです。この背景には、企業さえも構造改革に対して消極的であり、積極的な研究開発に打って出ることができなかったという現実があります。欧米のような「リスクマネー」の概念が決定的に不足しています。リスクを取って、新しい分野の技術革新に資金を提供する企業や投資家が圧倒的に少ないのです.




 日本特有の世界を作り上げ、そこから脱却できない「ガラパゴス化」という欠点に悩まされています

 日本はある分野では、極めて高度な技術を持っているのですが、マーケティング力が弱く、それを市場で活かしきれていないのです。過去、日本企業はVHSやDVD、スマホの開発といった技術革新では世界のトップを走ってきました。
しかし、実際のビジネスとなると負けてしまう、技術で優っても、ビジネス化できなければただの下請け産業になってしまいます。もっとわかりやすく言えば、日本特有の世界を作り上げて、そこから脱却できない「ガラパゴス化」という欠点に悩まされてきました。日本特有の技術に固執するあまり、使う側のポジションに立てないと言ってもいいのです。日本が製造業に固執しながら、最先端の技術開発に終始している間に、世界は「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に支配されていて、あまりにも残念な結果といえます。この30年、日本企業はさまざまな「ガラパゴス化」を作ってきました。その「ガラパゴス化」の背景には、必ずと言っていいほど政府の歪んだ補助行政や通達、 規制といったものが存在しています。業種にもよりますが、日本企業の多くは消費者ではなく、規制当局や研究開発費を補助してくれる政府の方向を向いてビジネスしている姿勢を見かけます。政府が出してくれるお金を手放せないからだとはいえ、失われた40年を歩き始めたかもしれない日本にとって、今後は失われただけでは済まないのです。日銀には一刻も早く、金融行政を適正な姿に戻し、株式市場も適正な株価形成のシステムに戻すことが求められています。「最低賃金の大幅上昇」や「積極的な円高政策」といった、これまでとは真逆の政策に踏み切るときが来ているのかもしれません。そして、政府は財政赤字解消に国会議員の数を減らすなど、目に見える形で身を切る改革をしなければ、今度は「崩壊する10年」になる可能性が高いのです。


「失われた30年」
を招いた元凶は「国民の底意地の悪さ」です

 1990年代初頭に起きた「バブル崩壊」以降、先進国の中で唯一、事実上のゼロ成長が続く日本経済、この「失われた30年」を招いた要因を「日本人や日本社会が持つ意地悪で不寛容なマインド」だと指摘するのが、経済評論家・加谷珪一(かや・けいいち)氏の新刊『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』です。消費増税や緊縮財政など「失われた30年」の要因については、いろいろな説がありますが「国民の底意地の悪さ」というのは初めて聞きました。そもそも、日本人ってそんなに意地悪な国民でしたか。日本人には「優しさ」や「思いやり」、「和」や「絆」を大切にする国民という自己イメージがあるかもしれませんが、一方で、普段から日本の社会に漠然とした「息苦しさ」のようなものを感じている人も多いのではないでしょうか。実際、日本では何か新しいことを始めようとすると、すぐに足の引っ張り合いが起きたりします。また常軌を逸した誹謗(ひぼう)中傷、メディアによる過剰なバッシングなど、不寛容で抑圧的な「空気」が存在しています。つまり、そういう空気が「国民の底意地の悪さ」だというのです。さまざまな国際比較調査を参照しながら、日本人の生活や仕事に対する自己評価の低さ、それに「個人の自由」に対する意識の低さ、また自殺率の高さなど、日本人のネガティブなマインドの例を具体的に紹介しているのですが、そうした日本社会の負の側面が最も顕著に表れたのが「コロナ禍」だと言うのです。 感染症のパンデミックで自分たちの命や生活が脅かされるという危機に直面するなか、政府は国民の安全そっちのけで利権の確保に走り、国民の間には極端な自己責任論が広がって、コロナに感染した人たちへの誹謗中傷が見られました。 それらの根底にあるのが、今もなお日本社会に根強く残る「ムラ社会」的な意識だと考えていて、それを「国民の底意地の悪さ」という言葉で表現しているのです




   日本経済の足を大きく引っ張ったのが、日本社会に根深く残る「ムラ社会」的な空気です

 経済への影響が深刻化したのは、バブル崩壊後です。戦後の日本は製造業を中心に輸出に依存する形で驚異的な高度経済成長を実現し、80年代には「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれるほどの国際的な地位を手にしました。 しかし、90年代に入ると新興国の出現や、ITに代表されるテクノロジーの進化によって、日本もアメリカなどほかの先進国と同様に、従来の「製造業+外需依存型」から、国内消費を中心とした「内需拡大型」の経済・産業構造への転換を迫られたのですが、ここで日本経済の足を大きく引っ張ったのが、日本社会に根深く残る「ムラ社会」的な空気だと言うのです。 本来なら消費経済を成長させるために知恵を絞り、新しい付加価値を生み出していく必要があるのに、自分たちの既得権益を守ろうと「変化」を遠ざけ、お互いの足の引っ張り合いを繰り広げてしまったのです。 確かに日本社会は「変化」を嫌うところがあります。しかも、日本は過去の成功の上に慢心して謙虚さを失っているので、今も「技術大国」だと信じている人が少なくないのです。しかし、現実には半導体や液晶パネルなど、かつて日本の強みだった製造業も衰退して、気がつけば主要な先進国の中で、最もIT化が遅れた「IT後進国」になってしまいました。 そうやって消費経済への転換に必要な変化を嫌い、新しい挑戦を支える「自由でおおらかな雰囲気」を抑圧し続けた結果、日本は90年代以降のパラダイムシフトに乗り遅れ、成長のチャンスを逃してしまったのです。これが「失われた30年」の正体なのだと思います。 


 「失われた30年」の元凶は、「国民の気質」「社会の雰囲気」だとすると問題の根は深そうです
 日本はなぜ「失われた10年」ぐらいで、この問題に気づけなかったのでしょうか。80年代に誰も気づいていなかったのかというと、そんなことはなくて、むしろ日本全体の総意として「変わらなきゃいけない」という意見のほうが多かったと思います。1986年に中曽根康弘内閣の諮問機関が内需拡大や市場開放などの必要性を訴えた「前川レポート」が有名ですが、当時の日本政府も「ビジネスモデルを大胆に転換しなきゃいけない」と、明確に表明していたのです。 ところが、いざ内需拡大型に転換しようとすると、産業構造や労働力のパラダイムシフトが起きるわけで、そこで「俺は損するんじゃないか」「俺はこれはやりたくない」などと変化を嫌う感覚が邪魔をして、結局、何も変えられずに30年が過ぎてしまったのです。
「失われた30年」の元凶が単なる政策の誤りではなく、「国民の気質」「社会の雰囲気」だとすると、かえって問題の根は深そうです。


 「失われた30年」
を直視し、謙虚な姿勢で学ぶなら、日本経済の復活は十分に可能です

 日本社会の「ムラ社会」的な雰囲気を、「前近代性」と言い換えることができます。経済に限らず今の社会を支える民主主義や資本主義の仕組みは、西欧的な近代化のあり方の上につくられています。人々の自由と権利を尊重しながら、契約や法といったルールに基づき、倫理観と合理性をもって社会を営む、というのが近代化です。 ところが、明治維新後の日本は,形の上では急激な近代化の道を歩んできた一方で、社会の中には「ムラ社会」的な性格が色濃く残り続けてきたので、同調圧力が強く、合理性が軽んじられたり、不寛容で自由を抑圧したりすることがあるのです。 こうした日本社会の前近代性は、福澤諭吉、夏目漱石、渋沢栄一など、明治時代から多くの著名人が指摘していますが、日本人がその問題を自覚し正面から向き合わない限り、社会や人々の意識を変えるのは難しく、 経済が停滞するなか、格差と不寛容な空気が広がり続ける今の日本は、慢心から現実を見誤り、悲惨な結果を招いてしまった戦前の日本と同じ道をたどっているように見えます。 しかし、日本人が「失われた30年」を直視し、そこから謙虚な姿勢で学ぶなら、本当の意味での近代化と日本経済の復活は十分に可能です。そして、謙虚に外国のいいところを取り入れ、それを生かす力こそが「日本文化の本来の良さ」だと信じています。
※ 出典:
失われた30年」の正体は、今もなお日本社会に根強く残る「ムラ社会」的な意識 - 経済・ビジネス - ニュース|週プレNEWS (shueisha.co.jp)


マンションでの介護不安を解消するため介護保険制度を熟知し、賢く利用しましょう



 介護保険の特徴は、
「社会保険方式」「現物給付」で、かつ「利用者本位」です
 介護保険は、高齢社会の到来による増大する介護負担に対応するため、平成12(2000)年4月にスタートしました。制度の運営主体(保険者)は市区町村で、40歳以上が保険料を納め、介護が必要になったときには、費用の一部を負担してサービスを利用できる「社会保険方式」をとっています。給付はお金ではなくサービスの「現物給付」です。制度は5年に1度をめどに見直しが行なわれ、介護報酬(各サービスの料金)は3年に1度見直しがおこなわれてきました。筆者は、両親の介護ため介護保険制度の黎明期から20年余り、市町村・社会福祉協議会・特別養護老人ホーム・老人保健施設などの関係者に大変お世話になりました、父母と天寿をを全うしましたので、心より感謝いたします。介護保険制度の黎明期から「利用者本位」のサービスを提供していただいたことに重ねて敬意を表する次第です。




 加入は40歳以上で「第1号被保険者」「第2号被保険者」で加入手続きは必要ありません

 
加入は40歳以上の人で加入手続きは必要ありません。加入者(被保険者)は年齢によって2種類に分かれ、サービスの利用条件が異なります。

1.第1号被保険者
  (加入者)65歳以上の人。
(利用できる人)原因を問わず、日常生活に介護が必要と認定された人。

2.第2号被保険者
  (
加入者)40歳以上64歳以下で公的医療保険に加入している人。
(利用できる人)老化が原因とされている特定疾病16種類により介護が必要と認定された人。

【特定疾病16種類】

 〇 筋萎縮性側索硬化症
 〇 後縦靱帯骨化症
 〇 骨折を伴う骨粗鬆症
 〇 多系統萎縮症
 〇 初老期における認知症
 〇 脊髄小脳変性症
 〇 脊柱管狭窄症 
 〇 早老症
 〇 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
 〇 脳血管疾患
 〇 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
 〇 閉塞性動脈硬化症 
 〇 関節リウマチ
 〇 慢性閉塞性肺疾患
 〇 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
 〇 がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)




 介護保険の財源は40歳以上の人が納める「保険料」と、国や自治体からの「公費」です
 介護保険の適用除外となる人は、次のとおりです。
〇 国内に住所を有しない者 
〇 在留資格または在留見込期間が「3ヵ月以下」の短期滞在の外国人
〇 身体障害者養護施設等の適用除外施設の入所者
 財源は40歳以上の人が納める保険料と、国や自治体からの公費です。保険料や納め方は年齢等によって違います。

65歳以上
(第1号被保険者)
  • 年金の年額が18万円以上の人→年金から差し引き(特別徴収)
  • ※年度の途中で65歳になるなど、一時的に納付書で納めることがあります。
  • 年金の年額が18万円未満の人→納付書・口座振替(普通徴収)
40歳以上64歳以下
(第2号被保険者)
国民健康保険の加入者
医療保険料
介護保険料
あわせて国民健康保険料として世帯主が納めます。
職場の医療保険の加入者
医療保険料
介護保険料
あわせて社会保険料として給与および賞与から徴収されます。

 〇 第2号被保険者の家族(40歳以上64歳以下の被扶養者)から直接保険料を徴収することはありません。
 〇 第2号被保険者を扶養している人は、40歳未満でも介護保険料が課せられることがあります。
 〇 第2号被保険者で任意継続被保険者と特例退職被保険者の人は、健康保険料に介護保険料を上乗せして納付します。


 
  介護保険でサービスを受けるには、要介護(要支援)認定の申請が必要です

 介護保険でサービスを受けるには、要介護(要支援)認定の申請が必要です。サービスを受けるまでの手続きの流れは以下のようになっています。
介護サービスを受けたい本人が申請ができない時は、家族又は代理人が市区町村及び地域包括支援センターなどの窓口に申請します。一定以上の所得がある第1号被保険者(65歳以上)は2割または3割負担となります。

 市町村窓口の調査員が、「訪問調査」を行い、また「かかりつけ医」の意見書を提出します

 申請を受けた市町村窓口の調査員が、「訪問調査」を行い、「ひとりで起き上がれるか」「自分の意思を伝えることができるか」などの心身の状態や、普段の介護状況を、自宅を訪れて細かく調べます。また、医学的な視点から介護の必要性を認めてもらうため「かかりつけ医」の意見書が提出します。「かかりつけ医」がいない人や、意見書作成を医師が断る場合は、市区町村窓口に相談すると指定医を紹介します。認定される要介護度は、サービスの必要性に応じて7段階に分かれます。介護度によって1ヵ月に利用できる金額の上限(支給限度額)が設けられており、限度額の範囲内で介護サービスを組み合わせて、実際に介護を受けるための計画書を作成します。





 「要介護度」
は介護にどのくらいの時間を要するか(要介護認定等基準時間)で判断されます。

 「要介護度」は介護にどのくらいの時間を要するか(要介護認定等基準時間)で判断されます。認定結果には有効期間がありますので、公的介護保険を適用してサービスを継続したいときには「更新認定」を受け、空白の期間を作らないようにすることが大切です。なお、7段階のいずれにも属さない、非該当(自立)と認定された場合は公的介護保険によるサービスは受けられませんが、自治体が実施する地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)のサービスを受けられる可能性がありますので、自治体もしくは地域包括支援センターに相談することになります。
認定結果による「支給限度額」は。次の通りです。

介護サービスの
種類
要介護度 状態のおおまかな目安 支給限度額
(※)
予防給付 要支援1 ほぼ自立した生活ができるが、介護予防のための支援や改善が必要。 50,320円
要支援2 日常生活に支援は必要だが、それによって介護予防ができている可能性が高い。 105,310円
介護給付 要介護1 歩行などに不安定さがあり、日常生活に部分的な介護が必要。 167,650円
要介護2 歩行などが不安定で、排せつや入浴などの一部または全部に介護が必要。 197,050円
要介護3 歩行、排せつ、入浴、衣服の着脱などに、多くの介護が必要。 270,480円
要介護4 日常生活全般に動作能力が低下しており、介護なしで生活は困難。 309,380円
要介護5 生活全般に介護が必要で、介護なしでは日常生活がほぼ不可能。 362,170円
- 非該当 自立(要支援、要介護までに至らない状態) -

・支給限度額とは別に、福祉用具購入費(年間10万円まで)、住宅改修費(家屋1軒あたり20万円まで)が設けられています。
※支給限度額は地域及びサービスの種類によって違う場合があります。

 

在宅の要介護者の場合、「ケアマネジャー(介護支援専門員)」「ケアプラン(サービス利用計画)」を作成します
 認定後は、限度額の範囲内でどのようなサービスをどう組み合わせるかという「サービス利用計画」を作成しなければなりません。これを「ケアプラン(サービス利用計画)」といいます。在宅の要介護者については居宅介護支援事業所の「ケアマネジャー(介護支援専門員)」が作り、要支援者については地域包括支援センター等が作ります。ケアプラン」は本人や家族の意向、専門職の意見等も交えながら「ケアマネジャー」が作成します。ケアプラン」の作成費は無料で、自分で作成することもできます。ケアプラン」の作成を頼んだ事業所と契約を結びます。契約の当事者は原則として本人です。

 
 
  サービスの「自己負担額」は、所得に応じて費用1割~3割です

各サービスの単価は、サービスの種類や利用時間等によって細かく決められており、さらにサービス内容や事業所の体制、居住地等によって費用の上乗せ(加算)があります。サービスの「自己負担額」は、所得に応じて原則として費用の1割~3割です。一定以上の所得がある第1号被保険者(65歳以上)が2割または3割負担となる判定基準があります。なお、第2号被保険者(40~64歳)の「自己負担額」は所得にかかわらず1割です。利用者の状態にあわせてサービス内容を見直したときや、介護報酬(各サービスの料金)の改定により、費用が変わる場合があります。



 介護保険は、「自宅介護サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」を提供します。
 介護保険のサービスはケアプランの内容に基づいて提供されます。利用者の状態にあわせて都度、サービスの種類や内容を再検討しプランの修正をします。サービスの種類は、自宅を中心に訪問や通いなどを組み合わせる「居宅介護サービス」と、施設に入所する「施設サービス」があります。また、住み慣れた地域の特性に応じて柔軟な体制でサービスを提供する「地域密着型サービス」があります。このサービスを利用できるのは基本的に、事業所のある市区町村の住民に限定されます。サービスの種類によっては介護度等で対象者が限定される場合があります。自治体が発行する介護保険のしおりには、各地域にあわせた情報が掲載されていますので、入手するとよいでしょう。筆者は、東日本大震災以降は、母が、介護度5で「居宅介護サービス」、父が、介護度3で「施設サービス」(特養)を選択しました。同時並行でサービスを受けましたので精神的なプレッシャーを感じていました、

「居宅介護サービス」

名称 内容 要支援 要介護
訪問介護(ホームヘルプ) ホームヘルパーが自宅を訪問し、入浴、排泄、食事などの介助や、調理、洗濯などの利用者が自分でできない日常生活上の支援を行ないます。
訪問入浴 自宅の浴槽で入浴できない人のために、浴槽を積んだ入浴車で自宅を訪問し、看護師、訪問介護員が入浴の介助を行ないます。
訪問看護 看護師や保健師が自宅を訪問し、医師の指示のもとに、療養上の世話や助言を行ないます。
訪問リハビリ 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が自宅を訪問し、医師の指示のもとに、リハビリテーションを行ないます。
居宅療養管理指導 医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士などが自宅を訪問し、療養上の管理や指導などを行ないます。
デイサービス(通所介護) 施設に日帰りで通い、食事、入浴などの日常生活の支援、機能向上のための訓練、健康チェックなどを受けます。バスによる送迎なども行なわれます。
デイケア
(通所リハビリテーション)
老人保健施設や医療機関に通い、理学療法士、作業療法士などからリハビリテーションを受けます。
ショートステイ(福祉) 特別養護老人ホームなどに短期入所するサービスです。入浴・排泄・食事等の介護と生活上の機能訓練などが行なわれます。
ショートステイ(医療) 老人保健施設などに短期入所し、看護、医療的管理下で介護・機能訓練等を行なうサービスです。
福祉用具貸与 介護用のベッド・車いすなど、公的介護保険の適用対象となる福祉用具をレンタルするサービスです。
特定福祉用具販売 腰かけ便座や入浴補助用具など、公的介護保険の適用対象となる福祉用具を年間10万円を上限に、原則1~3割の自己負担で購入できるサービスです。
住宅改修 手すりの設置、段差解消など住宅の改修に対して一定限度内(1軒につき20万円まで、原則1~3割の自己負担)で改修費を支給するサービスです。
特定施設入居者生活介護 有料老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)などで、入浴・排泄・食事等の介護や機能訓練を受けるサービスです。

 要支援1、2の人の訪問介護(ホームヘルプ)およびデイサービス(通所介護)については、自治体が行なう地域支援事業「介護予防・日常生活支援総合事業」として提供されます。

施設サービス(要介護の人が対象)

名称 内容
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)(※1) 常に介護が必要な状態で、在宅(自宅)での介護が困難な人を対象とした施設です。略称:特養
老人保健施設
(介護老人保健施設)
退院の後などに、病状が安定しリハビリに重点をおいた介護が必要な人を対象とした施設です。略称:老健
介護療養型医療施設(介護医療院)(※2) 急性期の治療が終わり、病状は安定しているものの、長期間にわたり療養が必要な人が対象の施設です。介護体制の整った医療施設(病院)で、医療、看護などを行ないます。

※1入所条件は原則、要介護3以上の方です。特例的な入所が認められる場合があります。詳しくはお住まいの市区町村等にお問い合わせください。

※22018年の介護保険法改正により、介護療養型医療施設は介護医療院に順次転換されます(経過期間2018年4月から6年間)。

地域密着型サービス

名称 内容 要支援 要介護
夜間対応型訪問介護 夜間において、ホームヘルパーの定期的な巡回訪問と通報に応じた随時対応を組み合わせた訪問介護サービスです。 -
小規模多機能型居宅介護 介護が必要となった高齢者が、「通い」を中心に「訪問」「泊まり」の3つのサービス形態を一体的に、24時間サービスを受ける事ができるサービスです。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 日中・夜間を通じて、ホームヘルパーによる訪問介護と、看護師などによる訪問看護を、必要に応じて組み合わせ定期巡回と随時対応を行ないます。 -
認知症対応型デイサービス 日常生活に必要な入浴・排泄・食事などの介護など身の回りのお世話や機能訓練を、施設などに通って受けるサービスで、認知症の方が対象となります。
認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
認知症の高齢者が共同で生活しながら、食事・入浴・排泄などの介護や支援を受けるサービスです。
地域密着型特定施設入居者生活介護 定員29人以下の小規模な有料老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)などにおいて、食事・入浴・排泄などの介護や支援、機能訓練等を受けられるサービスです。 -
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(※) 定員29人以下の小規模な特別養護老人ホームで、食事・入浴・排泄等の介護、機能訓練、健康管理などを受けます。 -
看護小規模多機能型居宅介護 小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせることで、通所・訪問・短期間の宿泊で介護や医療・看護のケアを受けられるサービスです。 -

 入所条件は原則、要介護3以上の方です。特例的な入所が認められる場合があります。詳しくはお住まいの市区町村等にお問い合わせください。
※ 出典:公的介護保険制度の概要 【MY介護の広場】 (my-kaigo.com) 



マンション大規模修繕工事へのCM方式の活用は可能でしょうか


 「CM方式」は、発注方式の検討、設計や施工業者の選定、工程管理、品質管理、コスト管理を行いコスト構成の透明性を図ります

 「CM方式」(コンストラクションマネジメント)とは、建築の技術的知識を持つ「CMr」(コンストラクションマネジャー)が、建設プロジェクトの発注者の側に立ち、発注方式の検討、設計や施工者の選定、スケジュール管理、品質管理、コスト管理などの各種マネジメント業務の全部または一部を行うものです。「CM方式」の歴史は古く、アメリカでは20世紀には、その起源があったとされいます。国内では1990年代後半から建設プロジェクトに採用される例が増えはじめ、平成13(2001)年の日本CM協会の発足で、一般へ周知されるようになりました。工場や物流施設、病院やオフィスをはじめ、最近では大規模再開発プロジェクトへの「CM方式」の採用も活発になってきています。また、発注者支援という名称で庁舎や学校施設など地方公共団体のプロジェクトにも「CM方式」の導入が進んでいます。国土交通省では、こうしたことを踏まえて、平成12(2000)年12月に「CM方式」研究会を設置し、「CM方式」の内容、課題等を整理し、平成14(2002)年に「CM方式」活用ガイドラインを公表しています。筆者は、当時、地方公共団体の大規模工事に、コスト構成の透明性を図り、消費者視点を重視する「CM方式」の導入を検討していましたので、国土交通省の研究会の動向に留意していました。その後、国内の公共土木事業での「CM方式」は、平成 23(2011))年 3 月に発生した東日本大震災以降、震災復興事業や災害復旧事業などを中心に、その導入実績は急速に増加し、多様な知見が蓄積されつつあります。一方で、発注方式、契約時の仕様、業務履行中における解釈や運用面等において、様々な課題が生じています。国土交通省では、平成 27(2015)年 5 月に、発注者による適切な入札契約方式の選択が可能となるよう、導入・活用を図ることを目的に「公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン」がとりまとめられ、発注関係事務を支援する方式として「CM方式」の活用が紹介されました。
※ 出典:
一般社団法人 日本コンストラクション・マネジメント協会 (cmaj.org)
※ 出典:「公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドラインfile402.pdf (nilim.go.jp)


「CM方式」
を活用すると設計施工分離発注方式や設計施工一括発注方式(デザインビルド方式)など多様な発注方式の選択が可能です

 近年の建設プロジェクトは、発注者側の技術者不足や、事業者のニーズを適切な施設計画に落とし込めないといった課題を抱えています。こういった背景から、第三者的立場であり建築技術知識も豊富に有する「CM方式」の活用が拡大してきました。プロジェクトの初期段階から「CM方式」を活用することで、次のようなメリットを受けられます。「CM方式」では、市場の実勢価格を把握し、プロジェクト特性を踏まえた価格の妥当性を検討の上、発注者の意思決定に必要な情報を早期に提供します。その上でコスト削減効果のある技術提案や、発注戦略の実行により高い費用対効果が得られます。建設プロジェクトでは、コスト削減のみでは工期オーバーや品質低下のリスクが増大するため、コスト・工期・品質をバランスさせプロジェクトの初期段階で確度の高い計画に落とし込む必要があります。第三者の立場で透明性を担保できる「CMr」が、予期せぬトラブルによるスケジュールの変動やコスト削減による品質低下のリスクを抑えます。「CM方式」を活用することで、設計施工分離発注方式や、設計施工一括発注方式(デザインビルド方式)など多様な発注方式の選択が可能です。豊富なプロジェクト経験や建設市場の動向を踏まえ、施設用途の特性を理解した上で品質・コスト・納期の視点から発注方式を選択することで、プロジェクト効率の最大化が見込めます。



 「CMr」
の役割は、
技術的な中立性を保ち、発注・設計・工事の各段階でマネジメントを主体的に推進します。
 今日、建築プロジェクトの複雑化に伴い、調整・マネジメント業務量は膨大になっています。また、透明性や説明責任の確保という新たな社会的要請も生じています。多くの事業者にとって、これらを円滑に遂行していくことは困難です。以上の課題に対応するために、発注者の立場から一貫して建設プロジェクトをマネジメントする「CM方式」が注目されるようになっています。CMr」の役割は、技術的な中立性を保ちつつ、発注・設計・工事の各段階で建設プロジェクトのマネジメントを主体的に推進します。さらに、事業構想、基本計画から運営管理段階までのマネジメント行為や複数施設にまたがるCRE(企業の保有不動産)戦略の一翼を担う業務まで、「CMr」の役割は拡がっています。マンションの大規模修繕工事は、これまで次の3つ方法で取り組まれてきました。① プロジェクトを管理会社に全て任せる方法。大規模修繕工事のプロジェクトを検討開始から完了まで管理会社に全て請け負わせる方法です。理事会の手間や時間は省略できましが、理事会の監視が甘いと管理会社本位の修繕工事となりやすい欠点があります。最悪の場合、不要不急な工事内容や積立金とおりの工事費用等の不利益を被る場合があります。②設計施工一括発注方式で施工会社に全て任せる方法。大規模修繕工事の恋路範囲や仕様、内容を複数の施工会社の提案に委ね、競走入札を行い、施工会社を選定し施工を請け負わせる方法です。この場合、工事の範囲や工事材料・工法の採用が施工会社に委ねられるため理事会の説明責任が曖昧になる場合が多いのです。そもそも、施工を任せられる会社の選定する方法に疎く、熟知していないことが多いことが欠点です。③設計施工分離発注方式で設計コンサルと施工を分離し各々に任せる方法。大規模修繕工事の設計と施工の担い手を分離して、工事範囲と内容の採用や是非についての根拠は設計コンサルタントが管理組合に提供し、理事会の説明責任を担保する方法です。共通の設計図書を基に複数会社同一内容の入札を行い施工業者を選定、工事中は施工会社の品質検査等のチェックを工事監理者として行っています。

 

 
 「多様な入札契約方式」を支える「CM方式」の活用を推進すべきです
 国土交通省では、品確法の趣旨が自治体レベルでも広く浸透し、地方公共団体が抱える様々な事業の課題解決に最適な入札契約方式が選定されるよう他地域への水平展開が期待される事業を対象に、平成26(2014)年度より「多様な入札契約方式」モデル事業を実施してきました。「多様な入札契約方式」の制度上の位置付けは、品確法第22条の規定に基づき平成27(2015)年1月30日に公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議にて『発注関係事務の運用に関する指針』が策定されたことです。運用指針では、入札契約方式について分類整理しており、公共工事の入札契約にあたっては、これら方式を適切に組み合わせることが求められています。マンションの大規模修繕工事でも多様な入札契約方式の活用が求められています。従来のスキームや役割分担にとらわれずに管理組合、とりわけ区分所有者ファーストの取組みが求められています。透明性が高く、ガラス張りの運営は全員参加を追求するなら当然のことです。理事長は、区分所有者に対して説明責任を果さなければなりません。管理組合でも多様な入札契約方式を支える「CM方式」の活用を推進すべきです。勿論、各々の担い手が、適正な利益を上げ、継続的な事業を行える環境を整えることも大切です。
※ 出典:
多様な入札契約方式の活用に向けて
001215612.pdf (mlit.go.jp)

マンション管理会社の担当者(フロントマン)のチェックが欠かせません

 

管理会社」はマンションの管理に欠かせない存在です
 マンションの管理会社はマンションの管理に欠かせない存在です
が、「そもそも、管理会社とは何をする会社で、どんな役割を担っているのか」といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。マンションの管理会社とは、マンションの居住者が安全に暮らせるよう、建物や設備を良好な状態で維持するための業者です。管理会社が行う業務内容は次の3つの業務方式によって異なります。
 マンションの管理業務について、管理会社に頼らず管理組合のみで行う業務方式が「自主管理」です。
 管理組合が管理費の徴収などマンション管理業務の一部を管理会社に委託するのが「一部委託」です。
 管理組合がマンション管理の業務全般を管理会社に委託する方式が「全部委託」です。
 実際には「一部受託」「全部受託」のいずれかの方式で管理会社に業務を委託しているマンションが大半を占めています。管理組合から委託されたマンション管理業務を受託・代行するのが管理会社です。管理会社の役割は、「管理組合から委託されたマンション管理業務の受託・代行」です。管理組合と管理会社の関係性や違い、管理会社が実際にはどのくらいマンション管理に携わっているのか、その役割の重要性について考えてみます。管理組合は、マンションの建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体で、マンションを管理する当事者です。「建物の区分所有等に関する法律」に従い、マンションの区分所有者全員で組織され、年に1度は区分所有者全員で総会が開催され、理事長などの役員の選任や重要な議案について決議します。日常業務については役員による理事会が定期的に開催され、諸問題について話し合いのもとで意思決定を行います。管理会社は、マンションの維持や管理を専門に行うプロフェッショナルで、その業務を管理組合から請け負う立場です。
※ 出典:
国土交通省|マンション標準管理規約(単棟型)


 「管理委託契約」は、総会で決議した上で締結します
 管理会社に管理業務をしてもらうには「管理委託契約」の締結が必要です。
管理組合が管理会社に管理業務を委託するには、組合員に向けた理事会によるアンケートのとりまとめなどを経て、最終的に総会で決議した上で「管理委託契約」を締結します。管理業務の具体的な内容や、一部を委託するのか(一部委託)それとも全部を委託するのか(全部委託)についても、管理組合での決議を経て決定します。区分所有者である組合員がいつでも確認できるように、総会資料や管理規約集の中に最新の「管理委託契約書」の写しを入れる管理組合もあります。

※ 出典:国土交通省|マンション標準管理委託契約書

 
 担当者(フロントマン)の業務の質が管理会社に対する満足度を大きく左右します
 マンション管理組合から業務委託を受けた管理会社では、物件毎に担当者(フロントマン)を定めます。この担当者(フロントマン)の業務の質が管理会社に対する満足度を大きく左右します。今回は「居住者」や「理事」と最も接する機会の多い管理会社の社員である担当者(フロントマン)の業務について理解をした上で、理事会が有効に活用する方法について検討します。
マンションの担当が優秀な担当者(フロントマン)であれば、理事の負担は大きく削減できます。


 管理会社の担当者(フロントマン)のチェックが欠かせません
 以下のようなチェックポイントを参考に、仮に、担当者(フロントマン)に不満があれば、改善を求め、それでも改善されなければ、担当者(フロントマン)の交代を管理会社に求めます。
チェック1
 コミュニケーション能力があるか
 担当者(フロントマン)には「高いコミュニケーション能力」が必要です。たとえ知識が豊富でも理事と上手にコミュニケーションがとれないと理事会の助けにはなりません。マンションの住人以外にも「管理員」や「点検業者」と良好なコミュニケーションをとる能力が管理の質の向上につながります。
チェック2 管理業務主任者資格の保有の有無
 マンション管理会社が管理組合に対しておこなう「重要事項の説明」や「管理事務報告」を行なう場合には、国家資格を保有する「管理業務主任者」が行なう決まりがあります。資格を保有しない優秀な担当者(フロントマン)もいますが、管理業務主任者資格を保有していることが、マンション管理の基本的な「法律」や「設備」「会計」などの知識を有しているか一つの判断基準になります。
チェック3 マンションのことを把握しているか
 担当者(フロントマン)によっては、マンションの過去の「トラブル」や「修繕履歴」などを十分に把握していない場合があります。中には、マンションの「戸数」や「管理規約の特徴」など基本的なことすら調べていない担当者(フロントマン)もいます。「理事会」や「総会」の中でマンションの基本的な質問に回答ができない場合は、担当者(フロントマン)としての責任感が不足しています。
チェック4 迅速な対応を心がけているか
 担当者(フロントマン)は優秀な営業マンとして、顧客に対して迅速な対応が求められます。居住者から依頼されたことに対しては、迅速に対応することが重要です。例えば「理事会」や「総会」終了後、議事録(案)の作成に何ヶ月もかかっているというケースが良くあります。「総会」や「理事会」の議事録(案)は、一週間以内に理事長へ提出されるのが適正です。
チェック5 管理費等の滞納の督促が適切か
 担当者(フロントマン)にとって「管理費」や「修繕積立金」の督促業務は、精神的にもきつい業務のひとつです。悪質な滞納者へは毅然と対応できても、同情すべき事情がある滞納者への督促は気が重くなります。しかし、管理委託契約書に管理費等滞納者への対応が明記されている以上は、管理組合の利益を考えて積極的に督促対応をしてもらわなければなりません。電話だけではなく訪問によって滞納者に積極的にアプローチする担当者(フロントマン)は良い対応といえます。
チェック6 点検での指摘事項への対応が迅速か
 各種点検での「指摘事項」や「不具合」などを担当者(フロントマン)が適切に対応していないケースがあります。月次報告書に記載してある指摘事項がいつまで経ってもそのままになっている場合などは要注意です。理事会でも、各種点検報告書などの内容に目を通して、担当者(フロントマン)が迅速に設備等の不具合についての改善案を理事会に提出しているか確認する必要があります。
チェック7 マンションへの巡回を実施しているか
 担当者(フロントマン)は、マンションの管理の状況を把握するために、担当するマンションをできるだけ頻繁に巡回することが重要です。「管理員」や「居住者」からの意見や不満を聞いて、マンションが抱える課題や問題点を把握した上で、改善していくためです。担当者(フロントマン)は、現場の声を受け入れることで「クレーム」や「トラブル」を未然に防ぎ、管理組合運営に活かしていくことができます。


 管理会社の担当者(フロントマン)を活用することが、管理の品質をアップする大切なポイントです。
 担当者(フロントマン)は、マンションの居住者にとって、管理員と並びもっとも接する機会の多い管理会社の社員です。担当者(フロントマン)の実力が管理会社の満足度に大きな影響を及ぼします。
担当者(フロントマン)の仕事は「理事会」や「総会」に出席してアドバイスをおこなったり、日常業務としては「居住者からの問い合わせ」や「クレーム対応」、その他「管理費の滞納者への督促」など多岐にわたります。管理組合が手厚いサポートをうけるためには、担当者(フロントマン)の担当物件数が少ないことがひとつのポイントです。管理会社によってフロントマン一人あたりの担当するマンション数は異なります。平均は「1人で15棟」程度です。担当者(フロントマン)の立場になってその仕事内容がどれだけ厳しいかを想像すると、担当者(フロントマン)が担当するマンションが「平均15棟」「平均60戸」「世帯人数3人」として、総人数に換算すると「2700人」の顧客対応を担っています。担当者フロントマン)の業務が厳しいことは管理会社側の都合ですから、理事が担当者(フロントマン)に同情する必要はありません。しかし理事会の立場からすれば、忙しい担当者(フロントマン)を自分たちのマンションに目を向けさせるように工夫をしてく必要はあります。マンション管理会社の担当者(フロントマン)には、マンション管理の知識や高いコミュニケーション能力が求められています。優秀な担当者(フロントマン)が自分たちのマンションの担当になれば、理事の負担は大幅に減らすことができます。担当者(フロントマン)は日常業務に追われているので、どうしても「無関心」「やさしい」理事メンバーが揃ったマンションに対しては手を抜きがちです。こうした事態にならないように、適度な緊張感を担当者(フロントマン)に与えるためには、理事がマンション管理について関心を持つことが大切です。例えば、理事会での「管理会社からの提案」に対して、何でも了承するのではなく、不明な点は説明を求めたり、怠慢な態度に対してはしっかりと注意をおこないます。こうした積み重ねで、担当者(フロントマン)の意識が自分たちのマンションに向くことで管理の質を向上させることができます。管理会社の担当者(フロントマン)を上手に活用することが、管理の品質をアップする大切なポイントです。

マンション大規模修繕工事の実態調査は、適正な見積りを検討する指標となります


 マンション大規模修繕工事
に関する実態調査は、正な見積りを検討する指標です 
 
 国土交通省がマンション大規模修繕工事に関する実態調査を実施し、公表したのは、平成30(2018)年のことでした。
「工事を発注しようとする管理組合等が適正な見積りかどうか検討する際の指標となります」という期待を込めたものでしたが、その後、管理組合等の大規模修繕工事や設計コンサルタントの業務の取組みの適正化は、達成できたのでしょうか。多く管理組合で専門的知識が不足し、修繕工事業者や設計コンサルタント等との間に情報の非対称性が存在することが多く、相談体制の強化は勿論のこと、実践的で、実効の高い施策ができないでしょうか。この実態調査は、マンション大規模修繕工事の際にマンション管理組合が適正に発注等を実施できるように、その参考資料として大規模修繕工事の金額、工事内訳及びその設計コンサルタント業務の実施内容に関して実態調査を実施したもので、初めての試みでした。初めて調査した背景は、一般社団法人マンションリフォーム技術協会からマンション改修業界の健全な発展のためにと、「不適切コンサルタント問題への提言」が発表され、施工業者の選定に際して、管理組合の利益と相反する立場に立つコンサルタントの存在の指摘があったからでした。国土交通省はこの提言の内容を受けて、マンション管理センターやマンション管理業協会、日本マンション管理士会連合会に通達を出し、今までにない速さで対応しました。また各マスコミからもこの問題が取り上げられ、提言内容である不適切なコンサルタントの存在が浮き彫りになりました。この調査結果は、全国各都道府県の建築士事務所協会に登録された事務所やマンション関連団体会員社等から、マンションの設計・管理等に関する企業を対象に抽出して実施したアンケートによるもので、134社の過去3年間の944事例を分析しています。
※出典:
報道発表資料:マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施~工事を発注しようとする管理組合等が適正な見積りかどうか検討する際の指標となります~ - 国土交通省 (mlit.go.jp)



 管理組合等の大規模修繕工事の発注等の適正な実施を願い提供されたものです
 国土交通省は平成30(2018)年、マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施し、直近の3年間に行われた大規模修繕工事944事例に対してアンケートが行われ、大規模修繕工事
の「工事内訳」「工事金額」や設計コンサルタント業務の「業務内訳」「業務量」に関する調査結果を、数量的かつ統計的に整理し、グラフ表示も取り入れて公表したのです。大規模修繕工事の実態が公表されたことは、画期的なことですが、
管理組合等の取組みの適正化できたのでしょうか。調査の目的は、「マンション大規模修繕工事の発注等において、施工会社の選定に際して、発注者たる管理組合の利益と相反する立場の設計コンサルタントの存在が指摘されていたため、国土交通省においては、注意喚起を図るとともに相談窓口を設けて対応しているので、管理組合等の大規模修繕工事の発注等の適正な実施を願い提供する」というものです。 設計コンサルタントが、自社にバックマージンを支払う施工会社が受注できるように不適切な工作を行い、割高な工事費や過剰な工事項目・仕様の設定等に基づく発注等を誘導するため、格安のコンサルタント料金で受託し、結果として、管理組合に経済的な損失を及ぼす事態が生じていたのです。マンション管理組合等から不当に利益を得る行為を行う設計コンサルタントが存在するそうですが、大規模修繕工事を実施したマンション管理組合の協力によって得られた工事金額、設計コンサルタント業務などの指標を、これから大規模修繕工事を計画し実施する管理組合に活用して欲しいと願い、主要な事項についてご紹介したいと考えました。国土交通省が本調査を実施した背景には、調査の目的にも書いたとおり、設計コンサルタント会社の不適切な介在、不適切な業務あるいは意見形成の誘導を行うことがあげられています。


 管理組合等が事前にかつ十分に検討すべきポイントがあります

 国土交通省はマンション管理組合等が事前に十分に検討すべき主なポイントを次のように上げています。

〇 工事内訳に過剰な工事項目・仕様の設定等がないか。
〇 
戸当たり、床面積当たりの工事金額が割高となっていないか。
〇 設計コンサルタントの業務量(人・時間)が著しく低く抑えられていないか。特に業務量のウェートの多くを占める工事監理の業務量が低すぎないか。
 利益相反事例でみられるとおり、設計コンサルタント会社は施工会社からバックマージンを受け取ることを前提とした低い業務量や報酬を提示していないかチェックする必要があります。本調査書の内容は、マンションの戸数規模別にデータが整理されていますので、マンション管理組合は、自らのマンションと同規模のマンション群のデータを参考にすることで、中央値や平均値などからの乖離を検証することが可能です。大規模修繕工事に関する工事内訳、工事金額などを比較検証することで、適正な計画か、適正な見積金額なのか、あるいは信頼できる設計コンサルタント、建設会社なのかを推し量る貴重な資料となる得るのです。
 調査結果の主な概要は以下のとおりです。
<工事内訳>
 外壁塗装+外壁タイル   24.0%
 屋根防水+床防水     22.0%
 仮設工事         19.2%
 給水設備          6.9%
 鉄部塗装          4.9%
<実施時期>
 1回目(473棟):中央値14年、平均値16.3年
 2回目(249棟):中央値28年、平均値29.5年
<工事金額(戸当り)>
 50万円~75万円    13.8%
 75万円~100万円   30.6%
 100万円~125万円  24.7%
 1回目(367棟):中央値98.7万円、平均値100.0万円
 2回目(201棟):中央値95.6万円、平均値97.9万円
工事金額(1㎡当り)>
 1回目(473棟):中央値10,648円、平均値13,096円
 2回目(249棟):中央値11,752円、平均値14,640円

 コンサルタント業務については、次のような結果となっています。
<業務内訳>
 調査診断         15.2%
 設計           31.8%
 施工会社選定協力      8.1%
 工事監理         40.3%
 長期修繕計画の見直し    3.6%
<業務量(人・時間)>
 100人まで       30.3%
 100人~200人    31.1%
 31戸~50戸:中央値137.7人・時間、平均値274.7人・時間
 51戸~75戸:中央値145.7人・時間、平均値362.5人・時間
※出典:
マンション大規模修繕工事に関する実態調査 
スライド 1 (mlit.go.jp)
 
 

マンションライフサイクルシミュレーション「長期修繕ナビ」で大規模修繕工事の工事費を試算できます
 住宅金融支援機構では、ホームページで、次のように利用者に呼び掛けています。
『マンション管理組合の皆さまは、大規模修繕工事の実施にあたり「施工者から受け取った見積書の工事費が妥当かどうかわからない」、「今後、修繕積立金をどのくらい増額すればいいのか」という疑問や課題を抱えているともいわれています。マンションライフサイクルシミュレーション「長期修繕ナビ」では、建物規模、築年数などに応じたマンションの「平均的な大規模修繕工事費用」、今後40年間の「修繕積立金の負担額」「修繕積立金会計の収支」などを試算できます。大規模修繕工事の見積額が妥当かどうかを判断する材料として、ローン利用も視野に入れた修繕積立金の収支計画の確認のための材料として、または長期的視点で積立金徴収計画を見直す際の検討資料としてご活用いただけます。』
 パソコンとマンションの基礎的なデータ、工事履歴さえ解れば、工事費は試算出来ますので利用して見てはいかがでしょうか。

「予算準拠の原則」は会計運営の鉄則です



 管理組合の会計は、「企業会計」の一般会計原則をベースに、「公益法人会計」の原則を取り入れたものとすべきです。
 マンションの管理組合は、法人格のない管理組合(権利能力なき社団)と管理組合法人とが存在しますが、どちらも営利を目的としない非営利団体です。そのため、非営利団体としての会計基準が必要とされます。さらに管理組合法人は、法人税法第2条において公益法人等とみなされており、公益法人の会計に準拠した会計基準が必要とされることになります。法人格を取得していない管理組合が収益事業を行う場合についても同様と判断されています。しかし、「公益法人会計」は一般にはなじみが薄く、営利法人の「企業会計」に基づく会計処理が広く行われており、企業会計」における一般会計原則は、会計の憲法のようなものであり、「企業会計」に限らず全ての会計処理のベースとなる原理・原則を示すものです。管理組合の会計原則は、次のような「企業会計」の一般会計原則をベースとした上で、「公益法人会計」の原則を取り入れたものとすべきです。

①真実性の原則「公益法人会計)と重複)

②正規の簿記の原則(複式簿記の原則)(同重複)

③明瞭性の原則(同重複)

④継続性の原則(同重複)

⑤保守主義の原則

⑥単一性の原則

 

 会計原則は、「予算準拠主義の原則」「目的別会計」が重要です
 公益法人会計は、
予算準拠主義の原則」「複式簿記の原則」「真実性.明瞭性の原則」「継続性の原則」「目的別会計」が原則です、管理組合の会計原則は、企業会計の一般原則をベースに公益法人会計の原則を取り入れたものになります。公益法人会計の一般原則のうち3原則は企業原則と重複します。公益法人会計から取り入れるべき原則は、「予算準拠主義の原則」です。「予算準拠主義の原則」と公益法人会計から取り入れるべき会計手法は、「目的別会計」です。管理組合会計の目的は、マンションの管理・保全を最小限の費用で、最大限の効果を得るための会計指標を明瞭に表示することにあります。事業計画に基づき予算を作成し、その予算と決算との差異を分析することにより、予算の執行の適否やその責任、事業計画の適合性等を判断することができるのです。管理組合会計では「予算準拠主義の原則」により、予算と実績を比較検討することで、効率的な管理を実現することができるのです。予算準拠主義の原則」と並び公益法人会計から取り入れるべき会計手法は、「目的別会計」です。「目的別会計」とは、マンションの通常の管理を行うために必要な費用(管理員人件費、共用設備の保守維持費、備品費、事務費など)に充当するため徴収する管理費と計画的に行われる大規模修繕や特別な修繕のための費用に充当するたに徴収される修繕積立金を別々に処理するというもので、異なる目的のために徴収した資金は明瞭に区分し、会計処理を行おうとするものです。管理組合の場合は、管理規約で「区分経理の原則」が定められており、収入と支出を目的別に対応させるため、管理費会計は、日常の維持管理(経常的な補修を含む)に関する会計。修繕積立金会計は、大規模修繕工事や特別な修繕に関する会計に区分して経理する必要があるというものです。しかも、会計帳簿に記帳する際だけでなく、実際に、資金を管理費と修繕積立金の分けて管理することが大切です。資金が同じ金融機関の預金口座に預けてあったらどうなるでしょう。例えば、管理会計の預金が5万円しか残っていないのに修繕積立金預金の預金100万円と一緒の預金口座に保管されていたら、10万円の現金を管理費会計の支払いのため引き出そうとすると、実際の預金口座には、105万円残っていますので引き出せてしまいます。このような事態を防ぐためには、管理費と修繕積立金の預金口座を別々にしておくとことが必要です。そのため管理組合では、「収納口座」以外に「保管口座」を設けています。
 マンションの大規模修繕に対する積立金が資金留保目的に該当し、管理組合会計では一般会計のほかに特別会計として、修繕積立金会計を区分経理することになっています。管理費については日々の管理業務に充当し、修繕については修繕積立金として区分して管理し、目的の異なる勘定は相互振り替えをしないのが原則です。管理組合が収益事業を行う場合は、さらにもう一つの特別会計として区分経理しなければなりません。



 「発生主義の原則」「複式簿記」が会計事務の要です 

 企業会計では、一般原則の他に、損益計算書、貸借対照表などの財務諸表が作成されますが、
損益計算書は「発生主義の原則」の基づいて、「すべての費用および収益はその支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない」という原則です。具体的には、入金・出金のみで処理するのではなく、管理費等の未収入金、経費の未払い金等を把握し計上します。簿記とは、日々のマンション管理・運営を一定のルールに従って会計帳簿に記録・集計していく事を言います。そして「単式簿記」と「複式簿記」があります。複式簿記」とは取引には原因(財産の増減原因)とそれによりもたらされた結果(財産の増減結果)が必ず存在します。これを「取引の法則性」といいます。複式簿記」は、この取引の法則性に着目し、取引の原因と結果とを同時に会計帳簿に記録・集計していく帳簿記帳の技術です。「単式簿記」とは、いわゆる家計簿のようなものがそれに該当します。「単式簿記」は現金の入出金を基準にして経営活動の結果を把握して行こうとするもので、現金の入出金という事実だけをシンプルに会計帳簿に記録していく記帳方法であり原始的な記帳方式といえます。従って「網羅性」「立証性」「秩序性」を備えておらず、正規の簿記に該当しないため、単式簿記により作成された会計帳簿では税務上の青色申告という優遇を受けることが出来ません。ゲーテはその著書「ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代」において、「複式簿記」を人類の最も偉大な発明のひとつであると賞賛しています。



 マンション「会計担当理事」の仕事とは?

 マンションの会計原則を踏まえて、「会計担当理事」は、管理費の収納・保管・運用・支出といった会計業務を担当する役職ですが、マンション管理を管理会社に委託している組合では、「会計担当理事」のほとんどの担当業務を管理会社が代行しています。業務を適切に行うためには、簿記といった会計の専門知識が必要になるからです。しかし管理会社に委託している場合でも、「会計担当理事」は委託している業務内容が契約通りに行われているか確認する必要があります。区分所有者が支払う管理費などが、期日までに管理組合の口座に入金されているかをチェックします。また、出金業務として共用部分の電気料金、水道料金、設備点検費などの経費を各事業者に支払います。なお、諸費用の支払いを管理会社に委託しているものの、口座の印鑑を預けていない場合、基本的に管理会社から会計担当理事のもとに出金依頼書が提出されますので組合内でその内容を承認することで、管理会社に支払いを代行してもらうことができます。入金状況を確認したうえで、管理費などを期日までに振り込まない区分所有者に対して、督促を行います。督促業務には「書面通知」「電話督促」「訪問督促」といった方法があり、状況に応じて使い分ける必要があります。管理会社にマンション管理を委託している場合、管理委託契約の中に管理会社が行う督促の方法が記されているのでチェックします。管理組合によっては、文房具や清掃用具といった備品代やプリンター代、総会開催時の飲み物代に充てるための小口現金を用意している場合があります。会計担当理事」は使用した小口現金を現金出納帳に記入し、管理する必要があります。当期収支予算と前期収支実績を比較した収支予算書の素案や、1年間に会費がどのように使われたのかを示す収支決算書の素案、決算時における次期予算案といった会計資料を作成します。管理会社に委託している場合は、管理会社が資料を作成するため、提出されたものを確認することになります。財産の入出金に携わる「会計担当理事」は、銀行口座の通帳や印鑑といった会計関連の貴重品を保管をすることが多くなります。なお、共有財産を守るためには特定の人物による一元管理はあまり好ましくないため、会計に関わる貴重品が数多くある場合は、ほかの理事役員にも一部を管理してもらうことになります。管理会社は、委託契約を結んでいる組合から管理費などの財産を預かる場合、法律によって管理会社固有の財産と管理組合の財産を分別して管理しなければなりません。なぜなら管理会社の社員が、運転資金を管理組合の財産から流用してしまうといった事態を防ぐ必要があるからです。財産の分別は、基本的に次の2種類の預金口座を用いて行うことになります。収納口座」は、受領した管理費などを一時的に管理する口座です。名義人は管理組合の場合もあれば、入出金作業の利便性を考えて管理会社とすることもあります。保管口座」は、受領した修繕積立金や「収納口座」から移し換えられた費用を預貯金として管理するための口座で、名義人は管理組合となります。管理会社は、「保管口座」の印鑑やキャッシュカードを管理することができません。区分所有者に納めてもらった修繕積立金と管理費を一時的に「収納口座」へ入金し、次に、毎月そのなかから管理業務に必要な費用を引き落とした後、残金と修繕積立金を翌月末日までに「保管口座」へ移すます。なお、管理組合の預金が万が一損なわれる場合を考慮し、管理会社は1カ月分以上の修繕積立金と管理費などの金額を保証する契約を結ばなければなりません。区分所有者に納めてもらった修繕積立金と管理費のうち、管理費は一時的に「収納口座」に、修繕積立金はそのまま「保管口座」へ入金する場合は、管理費については、管理業務に必要な支払いを行った後の残額を、「保管口座」へ移します。この場合は。管理会社は「収納口座」について、1カ月分以上の管理費などの金額を保証する契約を結ぶことが義務となります。一方で修繕積立金はそのまま「保管口座」に入金されるため、保証契約を結ぶ必要はありません。会計担当理事」の業務は会計の専門知識が必要であり、自主管理では負担が大きいため、基本的には管理会社に業務委託をすることになります。その場合、「会計担当理事」が実際に行う仕事は小口現金の管理程度です。しかし、会計処理に不備が見つかり責任を追及されるといったトラブルを避けるためにも、会計資料の確認作業は、ある程度行えるようにしなければなりません。

団塊世代は話題の老後資金2千万円問題をどう考えるのか



「老後資金2000万円問題」は、金融庁の無策を示したものです
 金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が2019年6月に公表した報告書が波紋を呼び、「老後資金2000万円問題」がさまざまなメディアを賑わわせたのは、記憶に新しいところです。この報告書で金融庁は何を言いたかったのか。金融システムの改革が目的とは言え、その無神経さには驚きます、夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円あり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になるという想定です。この文中の「2000万円」が庶民感情を逆なでしたのです。あれほどまでに物議を呼ぶ結果となったのは。その無神経さも原因だと考えられます。日本の経済低迷が続き、アベノミクスが日本の成長エンジンに再点火することをせず、インフレ目標も達成する意志が無いため、賃金上昇は小幅にとどまり、所謂「失われた30年」に対する反省も無く。金融システムの改革などできるはずがないのです。異常なほどの低金利政策で、金融機関の経営は悪化して、利用者サービスは著しく低下しています。ライフスタイルによって老後の必要なお金は異なります。持家か、賃貸かで5万円くらい違いは出るのです。各々が老後に向けてどの程度貯蓄をしていくかは本人が判断するのが本来の姿です。金融庁が金融機関への預金を誘導したいなら、賃金引き上げに資する金融政策が求められているのです。「老後資金2000万円問題」は金融庁の無策を示したものです。生活者目線で家計の収支状況を把握したいのなら総務省統計局の統計データが参考になります。
※ 出典:家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)Ⅰ家計収支の概況(二人以上の世帯) (stat.go.jp)



  高齢化社会の金融の在り方は、国民の預金意欲の減退対策です

 報告書は、市場ワーキング・グループが、高齢社会における金融の目指すべき姿とは何かをテーマに、金融サービス提供者や専門家の意見を聴きながら議論を重ねた検討結果であるとしていますが、いささか気になるのは「2025年問題」を引合いにしている点で、金融機関の経営不振 の原因が超高齢化にあるかごとの検討結果なのです。
いかなる政策も副作用を伴います.
効果が副作用を上回る限り政策は正当化されますが、効果は過大に評価され、副作用は小さく見られがちなのです。
超高齢化が進むわが国にとって2%の物価目標は非現実的で、日本銀行が目標に固執するため、長期金利まで含めた超低金利政策は長期化しているのです。その副作用として国債市場の流動性や金融仲介機能の低下などのほか、資産運用上の弊害も無視できない状況となっています。異常な低金利環境が「貯蓄から投資」への流れを皮肉にも阻害していないるのです。本来、国債や優良企業が発行する社債は、利回りが適切であれば国民にとって有効な投資先であるはずです。債券は満期まで保有してデフォルトさえ起きなければ利回りを確定できるし、リスクを分散する効果も期待できるのです。適切な利回りを失った債券に本来の価値を見いだせず、家計の資産は大部分をゼロ金利の預貯金に、一部を値動きのよい為替やリスク資産の短期売買(投機)に向かう状況です。国債や高格付け社債が利回り資産として魅力を取り戻せば、預貯金は債券投資に向かうでしょう。債券の生むクーポン収益やリスク分散効果が株式などへの投資余力をも高めると思います。超低金利の長期化は資産運用における人材育成にも悪影響を与えています。債券投資の「プロ」が近年減少の一途にあり、異次元緩和の下、財務省や日銀との国債の短期売買に明け暮れた投機家は将来、顧客資産を預かるような長期的な視点を持つ運用者に育つでしょうか。金融政策が正常化する過程では国債市場に投資資金が戻ってほしいと願います。人材という金融インフラの重要性を過小評価すべきでないのです。
(超低金利政策の弊害(十字架):日本経済新聞から引用) 
※ 出典:
超低金利政策の弊害(十字路): 日本経済新聞 (nikkei.com)



団塊世代は目前に迫る2025年問題をどう考えているのか

 「団塊の世代」は社会的影響力があるのか?
  筆者は、昭和24(1949)年丑年生まれの「団塊の世代」(だんかいのせだい)です。
団塊の世代」とは、第一次ベビーブームが起きた時期に生まれた世代を言います。戦後の1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれて、文化的な面や思想的な面で共通している社会的に影響力のある戦後世代のことで、大学進学した人は、学生運動が最も盛んな時期で、さらに高度経済成長、バブル景気を経験しています。この「団塊の世代」は、経済企画庁の官僚であった堺屋太一による、オイルショック後の日本経済がこの世代によりどのように変わっていくかを描いた未来予測小説の題名「団顔の世代」来しています。厚生労働省は、白書で「団塊の世代」ではなく、「団塊世代(1947年(昭和22年)〜1949年(昭和24年)生まれ)」としています。この定義に従えば令和3(2020)年には年齢は72〜75歳となり、医療制度上では、前期高齢者(65〜74歳)〜後期高齢者(75歳以上)に該当する世代でなのです。この3年間の年間出生数は260万人を超えている。1947年(昭和22年)生まれは267万8792人、1948年(昭和23年)生まれは268万1624人、1949年(昭和24年)生まれは269万6638人であり、3年間の合計出生数は約806万人にもなるのです。



「2025年問題」
は超高齢化の社会問題です

そもそも「2025年問題」とは何のことでしょうか。
「団塊の世代」の75歳以上が後期高齢者となり、超高齢社会が訪れることで生じるさまざまな影響のことを言います。団塊の世代」は、さまざまな分野で日本の成長を牽引してきたんですが、この世代が75歳以上を迎えることで、総人口1億2257万人のうち、後期高齢者の人口が2,180万人に達するというのです「2025年問題」の社会的影響の一つが、医療費や介護費の増大、またそれに伴う現役世代の負担の増大です。後期高齢者の一人当たりの年間医療費は、75歳未満では平均22万2000円ですが、75歳以上は93万9000円とおよそ4倍、介護費も後期高齢者は大きく膨れ上がるというのです。これまで社会を支えてきた世代が今度は支えられる側に回ることによって、年金なども含めた社会保障給付費全体を予算ベースで見ると、2018年の約121兆円から2025年度には約140~141兆円になると推計されているのです。



 社会問題は「失われた30年」が原因でしょう
 医療・介護・年金を合わせたサラリーマンの保険料率は、2025年度には31%に増えると見込まれ
、現役世代の負担をいかに軽減するかも大きな課題というのです。2025年問題の対策として政府は「全世代型社会保障検討会議」を設置し、年金、労働、医療、介護など各分野における改革のため、議論を進めています。年金については、一部法改正をし、厚生年金の加入条件緩和を検討し、パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入しやすくするほか、「就職氷河期」世代の非正規雇用者の低年金対策になることも期待されています。労働については高齢者の就労促進が議論されていますが2021年4月1日から「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正され、施行されています。これは70歳までの就業機会の確保について、多様な選択肢を法制度上整え、事業主としていずれかの措置を制度化する努力義務を設けるものです。医療分野では、75歳以上の後期高齢者の病院などでの窓口負担を今の原則1割から一定の所得以上の人は2割に引き上げる方針です。しかし、根本的な解決には程遠い印象です。
「全世代型社会保障検討会議」の中間報告(2019年12月)では、「生涯現役(エイジフリー)で活躍できる社会」「個人の自由で多様な選択を支える社会保障」「現役世代の負担上昇の抑制」「全ての世代が公平に支える社会保障」「国民の不安への寄り添い」を基本方向としていますが。美辞麗句過ぎて無力感を感じてしまいます。まさに。「失われた30年」が原因でしょう。人生の晩年において自立した生活に向けて努力し、自分が納得した介護を受け容れ、障害をもったとしてもいかに幸福な人生と感じ、満足して死ぬことができるか」が重要なことを忘れているような気がします。


マンションで寝たきりでも暮らせますか

 マンション居住と管理の現状です
 
 高齢化が進行し、永住意識高まる
 平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状が明らかになっています。マンションの居住の状況では、世帯虫の年齢が平成25年度と平成30年度を比較すると、70歳代以上の割合が増加する一方、30歳代以下の割合が減少しています。平成11年度から平成30年度の変化をみると、60歳代、70歳代以上の割合が増加し、50歳代以下の割合が減少しており、居住者の高齢化の進展がうかがわれます。
 平成30年度における完成年次別内訳をみると、完成年次が古いマンションほど高くなっており、昭和54年以前のマンションにおける70歳以上の割合は47.2%となっており、次いで、昭和55年から平成元年までが37.6%となっています。
 永住意識については、平成25年度と平成30年度を比較すると、マンション居住者の永住意識は高まっており、平成30年度は62.8%の区分所有者が『永住するつもりである」としています。


 長期修繕計画は、5年ごとに見直し

 マンション管理の状況については、平成25年度と平成30年度お比較すると、計画期間25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は増加し。平成30年度は53.6%となっています。平成30年度の月/戸当たりの修繕積立金の額の平均は11,243円で、長期修繕計画の見直し時期は、「5年ごとを目安に定期的見直している」が56.3%と多くなっています。
 大規模災害への対応状況については、「定期的に防災訓練を実施している」及び「災害時の避難場所を周知仕している」と回答した管理組合は、平成25年度より若干増加しているが、「特に何もしていない」と回答した管理組合が23.4%もあることは問題点です。
 トラブルの発生状況は、何らかのトラブルを抱えているマンションが増えています。居住者間のマナーをめぐるトラブルが55.9%と最も多く、次いで建物の不具合に係るトラブルが31.1%、費用負担に係るトラブルが25.5%となっています。
※ 出典:
平成 30 年度 マンション総合調査結果
001287570.pdf (mlit.go.jp)
 


 要介護者は「認知症」が最も多いようです

 民の介護の状況は、要介護者等の年齢を年次推移でみると、年齢が高い階層が占める割合が上昇しています。2019年の要介護者等の年齢を性別にみると、男は「80~84 歳」の 23.2%、女は「90 歳以上」の 28.6%が最も多くなっています。介護が必要となった主な原因は、要介護者では「認知症」が 24.3%で最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」が 19.2%となっています。主な介護者をみると、要介護者等と「同居」が 54.4%で最も多く、次いで「別居の家族等」が13.6%となっています。「同居」の主な介護者の続柄をみると、「配偶者」が 23.8%で最も多く、次いで「子」が 20.7%、「子の配偶者」が 7.5%となっています。また、「同居」の主な介護者を性別にみると、男 35.0%、女 65.0%で女が多く、年齢階級別にみると、男女とも「60~69 歳」が 28.5%、31.8%と最も多くなっています。
※ 出典:
2019年 国民生活基礎調査の概要
02 19結果の概要(4介護0714) (mhlw.go.jp)

 
  居宅介護は支援サービスが必要です
 筆者は、マンションでの寝たきり介護生活を、母の介護で経験しています。東日本大震災の時、沿岸地方の実家で被災し、内陸のマンションに避難してきました。ケアマネジャーと相談しながら介護計画を立てましたが、課題は、入浴とトイレでした。ショートステイとデイサービスの利用で入浴は解決しましたが、排便はオムツで対応することにしました。
 その結果、医師,看護士、介護士などの訪問が多くなり、駐車場の不足が深刻になりました。マンションの敷地が狭いという弱点が明らかになっています、管理組合は、自らの責務として、敷地の拡大を課題とすべきです。また、正面玄関、エントランスホールには、階段がありバリアフリーも課題です。
 宅内は、防音と断熱化のため内窓を樹脂サッシのペアガラスに交換、熱中症対策のためエアコンを増設しました。訪問者が多くなり。防犯上からも玄関扉に表札を掲示しましたが、断熱性能や防犯性の悪いのです、インターホンは音声が劣化し、改修が必要になっていたのです。
玄関扉やインターホンなどは、管理組合が計画修繕で実施することになっています。管理組合が速やかに実施できない場合は、理事長の承認を得さえすれ区分所有者の責任と負担で出来るよう運用すべきです。
※ 出典:
自宅で暮らしながら受けるサービス|盛岡市公式ホームページ (city.morioka.iwate.jp)
※ 出典:
介護保険以外の補助制度|盛岡市公式ホームページ (city.morioka.iwate.jp)
 



 高齢者に適したマンションの条件
 高齢者が住むマンションは、「バリアフリー」と「生活動線」を確認する必要があります。古いマンションは室内の段差が多かったり、手すりが無かったりしますので。点検・チェックが必要です。
〇 玄関からリビングやトイレに移動しやすいこと
〇 リビングや寝室からトイレに行きやすいこと
〇 ドアに引き戸が使われてしていること
〇 廊下やトイレ、浴室のスペースにゆとりがあること
〇 掃除や移動をするのに広すぎないこと
 このようなマンションは、高齢者でも安心して過ごせます。実際に家事や生活の動線を点検してみて、心配がないか確認することです。高齢者が暮らすマンションは、中規模のもの50~100戸前後のマンションが良いようです。
この規模のマンションは管理人が常駐していることが多く、何かあったときにすぐ助けを求められます。


 
 再生は、ユニバーサルデザインです
 「ユニバーサルデザイン」とは、1980年代にアメリカのロナルド・メイス博士が中心となって提唱した、「年齢や能力、状況などにかかわらず、できるだけ多くの人が使いやすいように、製品や建物・環境をデザインする」という考え方です。日本でも1990年代頃から知られるようになりました。
※出典:UD資料館「ユニバーサルデザインの誕生
 バリアフリーは、「高齢者や障害者が社会生活を送るうえで、障壁となるものを取り除く」という考え方で、高齢者や障害者などの一部の人が対象です。ユニバーサルデザインは、「デザインをする段階で使いやすさについて考えを取り入れる」という考え方で、すべての人を対象にしています。

①「公平性」⇒誰でも同じように操作できることです

 公平性とは「身体的、心理的に使う人を選ぶことなく、誰でも公平に操作できること」です。
 【ユニバーサルデザインの例】

 「自動ドア」や「手すり付きの階段」「段差のない歩道」などです。歩いている人、車いすに乗っている人、ベビーカーを押している人など、どんな人でも同じように使うことができます。

②「自由度」⇒能力や好みに合わせて、使い方を選ぶことができることです

 自由度とは「使う人の能力や好みに合わせて、使い方を選ぶことができること」です。
 【ユニバーサルデザインの例】

 「多機能トイレ」は様々な用途で使えるように複数の機能がついています。「高さの違う手すりやカウンター」は、背の高さなどに合わせて選ぶことができます。また、「階段・エレベーター・エスカレーターの併設」は、状況によって手段を選ぶことができます。

③「単純性」⇒使い方が簡単で直観的にわかることです
 単純性とは「使い方が簡単で直観的にわかること」です。使う人の知識や経験の違いにかかわらず、直感的に理解できることを指します。
【ユニバーサルデザインの例】

 シャンプーとリンスのボトルには、凹凸があります。これは、視覚障害のある方が触っただけでどちらなのかが直感で分かるような工夫です。「電気のスイッチ」や、「説明書がなくても使える家電」なども直感的に使うことができます。

④「明確性」⇒情報が理解しやすいことです
 明確性とは、「使う人にとって、その情報が理解しやすいこと」です。何を伝えているのかが誰にでも分かることを指します。
 【ユニバーサルデザインの例】
 電車内の案内表示で次の駅を伝える際、様々な言語やひらがなで書かれています。そのため、言語や理解度の違いにかかわらず理解することができます。また、伝達手段も、音声案内・点字・文字での表示などさまざまな方法があることで、全ての人に情報を伝えることができます。

⑤「安全性」⇒事故の心配がなく、安全であることです
 安全性とは「使用時に事故の心配が無く、安全であること」です。
 【ユニバーサルデザインの例】

 危険防止機能を搭載している家電などです。ほぼ全ての電子レンジは使用中に開けると止まるようにできています。また、「失敗しても元に戻れる」ということも含まれます。操作画面の「戻る」のボタンは、安心につながります。

⑥無理なく使える「体への負担の少なさ」です  
 体への負担の少なさとは「無理な姿勢を取ることなく、かつ少ない力で使用できること」です。
 【ユニバーサルデザインの例】

 「水道のレバー」や「レバーハンドル式のドア」などです。このレバーハンドル式のドアノブですと、レバーを下げるだけで開閉できます。握って回すタイプのドアノブと比べると、非常に体への負担が少なくなっています。

⑦「空間性」⇒使いやすい広さや大きさが確保されていることです

 空間性とは「十分な大きさや広さが確保されていること」です。
 【ユニバーサルデザインの例】

 「優先駐車スペース」「多機能トイレ」という空間や「手のひら全体で押すことができる電気のスイッチ」など製品の大きさが当てはまります。
 
 設計時から上手にユニバーサルデザイン7原則を取り入れている例も多いのですが、実際に行う際には、予算やスペースの不足で、思い通りに実現できない場合もあります。
その際に「ハードは変えられなくても、ハートは変えられる」という考え方だそうです。設備(ハード)を十分に整備できなくても、私たち一人ひとりの意識(ハート)は変えることができます。様々な方のために行動する方法を知っていれば、誰もが快適に過ごしやすい・使いやすい状況を作り出せます。
※ 出典:
 いつでもどこでも学べる!ユニバーサルマナー検定のeラーニン(以上『ミライロ通信』から引用)



 一人暮らしの高齢者見守りサービスが必要です
「高齢者見守りサービス」とは、一人暮らしの高齢者の安心した暮らしをサポートするため、日常生活で発生した事故や体調の急変など不測の事態に対し、離れて暮らす家族にいち早く連絡をしてくれるシステムのことです。
 家族への通知はボタンを押すだけのものや、センサーの感知で自動的に家族に通知してくれるものなど連絡手段がとても簡単です。 見守りサービスで必要となる機械もセキュリティーやプライバシーに配慮し生活空間に違和感を生じさせないよう工夫されているので見守りシステムを気にせずに日常生活を送ることができます。
 見守りサービスの形態も様々あり自身の住環境やライフスタイルに合わせてサービスが選べます。安否確認のみならず、ボタン一つで24時間いつでも健康相談を受け付けるサービスもあります。
 利用者の生活状況に異変が生じたときは速やかに家族に通知されます。連絡の手段は電話、メール、SNSなどありますが、携帯電話に通知されるサービスが多いので、遠距離であってもすぐに気づくことができます。主たる介護者以外の家族にも同時に通知される仕組みが構築されており、見守りサービスの最も大きなメリットである通知機能が充実しています。警備会社と連携している場合は警備会社が駆けつけてくれるサービスもあります。そして、認知症高齢者のための機能として、家の外に出てしまった際の居場所をリルタイムで検索できるサービスもあります。


 

マンション給排水管改修工事には課題が山積みです

 漏水事故は、予想できますか?
 マンション専有部分の排水管が漏水すると、下階の住戸に被害を及ぼす恐れがあります。筆者は、平成29(2017)年6月に生活雑排水を下階の住戸に漏水させたのです。原因は。パイプスペース内排水横引管の老朽化でした。これまでも自宅の床に漏水したことが何度かありましたが、下の階への漏水は初めてでした。下の階には申し訳ないという気持ちで一杯でした。漏水事故の2年前の平成27(2015)年8月には、ブロックキッチンからシステムキッチンにリニューアルして、配管接続も確認していたのに漏水とは何故だという疑問が湧いてきました。リフォーム業者を問い詰めましたが、パイプスペース内は目視が出来なかったためだというのです。パイプスペース内の排水横引管は、誰が管理するのが妥当なのか、漏水の防止対策に視点を当て、再検討する必要があります。
 共用部分のパイプスペース内の区分所有者が専用している排水横引管は、共用部分として取り扱うのが妥当でしょう。


 

 共用部分の範囲は誤解があります
 専有部分の範囲は、マンション標準管理規約(以下「標準管理規約」という。)第7条は、次の通り規定しています。
専有部分の範囲)
第7条  対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする
 一方、共用部分は、標準管理規約第8条で次の通り規定しています。
共用部分の範囲)
第8条 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。
 別表第2 共用部分の範囲
1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」
2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管等専有部分に属さない「建物の附属物」
3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属 
 第7条3項の規定は、専有部分の範囲を規定しているため、ややこしい条文になっていますが、「専有部分の設備のうち共用部分内にある部分は共用部分とする。」と解釈できるのです。しかるに、別表第2で、各種の配線配管給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管専有部分に属さない「建物の附属物」と規定したため誤解が生じたのです。共用部分であるメーターボックス内やパイプスペース内に専有部分の配管が存在することになったのです。また、床スラブと下の階の天井裏との間にある配管については、判例で管理組合の管理責任を認めるなど、是正が必要となっています。

 劣化調査は、漏水の予防対策のひとつです
 給排水設備の劣化状況は、管種・管材の相違に加え、使用頻度や使用環境など様々な要因で、劣化速度は一様ではないことも明らかになっています。各マンション毎に、さらに同じマンションでも各住戸毎に劣化状況が異なる場合も少なくないのです。このことを認識しないと区分所有者の合意形成が難しいのです。通常、排水管の場合は、数年単位で全戸を高圧洗浄していますが、高経年マンションでは、高圧洗浄の結果、生活雑排水管の漏水の予兆を、高圧洗浄作業を行えば気付くことがあります。高圧のためサビが剥離し、漏水するこがあるのです。このような兆候がある場合、管理組合は、速やかに劣化調査する必要があります。劣化調査なくして適時・適切な改修工事はないのです。


 
 事前の全戸調査と全居住者の同意が必要です
 工事計画を立てる場合は、事前に全戸立入り調査をする必要があります、竣工図で想定図面が作成できますが、想定図面では着工できません。工事費用を予算化するにも、乖離が大きいのです。竣工図と異なる各住戸のリフォーム状況を確認する必要あるためです。また、給排水設備工事と同時に水回りのリフォームを希望するのか区分所有者の意向を把握する必要があります。勿論、理事会がやることになりますが見識がないため実施できない場合は、専門家に委託することが考えられます。このような取組の段階から全区分所有者の同意や協力は不可欠です。
 
 標準規約は改正されましたが?
 高経年マンションが増加する中で、専有部分の給排水管を共用部分と一体の設備として管理組合が費用負担の上、実施するという意見が多く出されるようになりました。そのため、国交者は、昨年9月の改訂で、標準管理規約第21条に、次の1項を加えて改正したのです。
(敷地及び共用部分等の管理)
第21条 敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の管理のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
2 専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。この規定だけで、管理組合が専有部分の管理ができると考えるのは、早計です。


 専有部分の給排水管を管理組合が工事?
 標準管理規約第21条2項を「専有部分である設備うち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要がある時は、管理組合がこれを行うことができる。」と定めると専有部分を管理組合が工事できることになりますが、運用に当たっては、条件が課せられています。区分所有者からの工事の依頼があったとしても、標準管理規約コメントが示す次の課題をクリアする必要があります。

①専有部分の配管の取替えを単独で行うより費用が軽減されることです。
 これはサブコンが受注するためには厳しい条件で、発注方法に工夫が必要です。管理組合が発注するから、区分所有者が発注するより費用が軽減されるとの主張は通用しません。CM(コンストラクションマネジメント)方式などの導入を検討する必要があります。競争入札で工事業者を選定しますので透明性が高いのです。必ずしも施工管理会社(元請)又は協力会社(下請)が落札するとはかぎりませんが、工事コストは、確実に低減できます。しかしGMr(コンストラクションマネジャー)の費用(フィー)の捻出が課題です。

②あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えを記載する。
 長期修繕計画において専有部分の配管の取替えを記載することは可能ですが、施設設備の劣化調査・診断を踏まえて工事費を積算する必要があります。勿論。国交省のガイドラインに基づいて作成することになりますが、建築専門家の活用が必要です。既存の計画修繕が後ろ倒しになる場合がありますので、制度融資を最大限に活用する必要があります。
③工事費用を修繕積立金から拠出できるよう管理規約で規定する。
 
長期修繕計画に専有部分の配管の取替えを記載すれば、標準管理規約第28条第1項第1号に該当することから改正する必要はありません。標準管理規約には、提案のような規定はなく、むしろ、改正すると②に反し、長期修繕計画と修繕積立金の制度趣旨を損なうことになります。
④先行して工事を行った区分所有者への補償の有無についても十分留意する。
 共用部分の工事費用のため積立てた修繕積立金を専有部分の工事費用に充当するため不公平感が生ずるとの指摘です。これまで拠出した修繕積立金は、共用部分の工事費用に充当するだけにして遡及させないことです。専有部分の工事費用はこれから拠出する修繕積立金を充当財源にすれば不公平感が解消されるのです。このため修繕積立金の制度を維持しつつ、特例加算や特例減額ができるよう制度改革をすれすればいいのです。補償が足かせになり、マンション再生に向けてのインセンティブが失われては本末転倒で、さらなる不公平感が生まれる恐れすらあります。
 仮に補償するにしても透明性や公平性を確保するためには、補償基準と補償金算定マニュアルをあらかじめ作成する必要がありますす。補償金は工事目的物の価値を減耗する時価額てなく、同タイプの精算工事費を参考に再取得価額で補償しなければ不公平感は解消できないのです。また、補償金についは、所得と見なされる場合がありますので、名称も含んで非課税となるよう検討すべきです。また、管理規約第60条に定める「組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割をすることができない。」に抵触する恐れがあることについて注意する必要があります。このようなことを考慮すると負担と便益の不均衡を是正する「清算金】と位置付けることが適切かもしれません。

 
 
 

この伝統の地に、永住感覚の住まい、デビュー


 マンションの所在地は、旧町名で言うと穀町(こくちょう)です。城下南の惣門から入つた奥州街道沿い町人町で、南部藩の御蔵米払下げの取引所が在ったため。穀物商が多く住んでいたことから穀町と呼ばれたそうです。
 太陽光パネルを壁面に設置した3階建の建物は、穀町ビルと呼ばれていますが、そのチャレンジ精神は、尊敬に値します。カーボンニュートラルの先駆けです。駐車している自動車の1台が日産の電気自動車リーフで、これに蓄電しているようです。


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かつての惣門。情緒豊かなたたずまいの一角に




 岩手の先人、平民宰相で知られた「原敬」の菩提寺である大慈寺の山門です。大慈寺は、江戸初期に日本に伝来した黄檗宗(おうばくしゅう)です。この山門、竜宮門と言われる形式で中国風です。境内はそれほど大きくないので原敬の墓所はすぐにわかります

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足がいいから、日日の暮らしひとまわり。悠々



 
 テレビ岩手社屋前庭の「盛岡枝垂れ」です。盛岡特有の桜です。散歩コースは楽しめていいのですが、生鮮食品の買い物に困っています。徒歩圏内のスーパーマーケットが無くなったためコープの宅配便やAmazonの定期オトク便が頼りです。冷蔵庫も大型に替えました.


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選抜きの設備群で、住まいの機能性をバックアップ


 





 排水横菅の漏水復旧工事の現場写真です。パイプスペース内の排水横菅の老朽化で、下階に生活雑排水が漏水したのです。キッチンの排水横引管は、床スラブではなく、床材の上に配管されており、少々の漏水では、下階に被害を与えることは無いのですが、今回は、パイプスペース内の排水横菅が腐食したため、排水立管が貫通している穴を通じて、下階に被害を与えたのです。こんな事例の場合、区分所有者及び管理組合はどんな対応が求められるのか、検討する必要があります。住宅設備は、年々老朽化し、陳腐化していきますので、適時・適切に改修工事ができるよう計画しなければなりません。

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